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統一教会と変わらぬカルト?あのトム・クルーズが信じる新興宗教の謎

1986年に大ヒットとなった『トップガン』の36年ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』も興行収入14億ドルを記録するなど、60歳を超えてなお世界的な人気を誇るトム・クルーズ。そのトム・クルーズといえば新興宗教「サイエントロジー」の信者としての顔を持っていることも広く知られた事実ですが、ではサイエントロジーとは一体どのような団体なのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、日本ではあまり知られていないサイエントロジーについて深掘り。その「トンデモ」と言って差し支えない教義を紹介しています。

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だから日本人はカルトに弱い!『トップガン』続編公開で再び注目される、トム・クルーズと新興宗教サイエントロジー 教祖はSF作家のトンデモ理論

トム・クルーズ主演作『トップガン マーヴェリック』の人気が衰えない。公開から2ヶ月以上経っているのにもかかわらず、いまだ一部ではチケットの争奪戦が行われているという。

作品を何回も鑑賞する「追いトップガン」なる言葉も生まれている(*1)。

「20代カップル:「僕は5回目になります」

 

60代夫婦:「16回目ぐらいだと思う」

 

男性:「きょうで39回目になります」「圧倒的な爽快感と没入感が体に染み付いて、中毒の症状です」

追いトップガン7回 50代:「臨場感がものすごくあるし、本当に自分がコックピットにいるような感じは受ける」(*2)

なかには84回も観る人も。

追いトップガン84回 40代:「つらいので、きょうは観に行くのやめようと思っても、夕方になるとちょっと元気出てきて。やっぱり、きょうも行こうかなって思って、行ってしまう」(*3)

しかしだ。そもそもトム・クルーズといえば新興宗教「サイエントロジー」の熱心な信者ということは世界的に知られたこと。

現在、日本においても旧統一教会の問題が明らかなっている今、トム・クルーズとサイエントロジーとの関係は無視してよいのか。

目次

サイエントロジーとは? カルト? ビジネス? 新宗教? 今もってその実態は不明

サイエントロジーは、アメリカのSF作家L・ロン・ハバードによって考案。カルトや新宗教、単なるビジネスなどさまざまな指摘があるが、その実態は今なお、定かではない。

ハリウッド・スターの信者としては、トム・クルーズのほか、ジョン・トラボルタが有名だ。

1950年に出版されたロン・ハバードの著書『ダイアネティックス』が出版され、ベストセラーに。

そこに書かれてある、

「人生をより良くしていくためのユニークな方法論」(*4)

をハバ─ド本人から直接学ぼうとする人々が集まり、それが教会の発端となった。サイエントロジーの核となるのが「オーディティング」なるもの。

「マンツーマンで行うカウンセリングのようなメソッド。これを受け、自分の成長を無意識に妨げている、過去のトラウマなどの原因を発見し、すべて取り除くことで『クリア』という段階に到達することが目的」(*5)

だという。

サイエントロジーの問題は、露骨に精神医学を敵視している点。

トム・クルーズはじめ、信者は精神医学を「ナチスの偽医学」とみなし、代替医療を進める。サイエントロジーは、精神医学を不適切で虐待的なケアであるとしてきた。

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トム・クルーズとサイエントロジー

トム・クルーズ自身、サイエントロジーとのかかわりを一切隠そうとしていない。それどころか、出演作選び、あるいは自身の振る舞いに”布教”の匂いもする。

2014年、トム・クルーズは、テレビ番組で、

「自分の人生を本当に助けてくれたものだね。30年以上もサイエントロジーの信者なんだ。それなしでは、自分はここに達してなかったと思うよ。本当に美しい宗教なんだ。本当に誇りに思うよ」(*6)

と発言。

長年、学習障害の一種であるディスレクシアを、ロン・ハバードが生み出したという方法により克服したというのは有名な話。

トム・クルーズは、1987年から1990年までに結婚していた最初の妻であるミミ・ロジャースにサイエントロジーを紹介されたという(*7)。

だが、9歳でサイエントロジーに入信し、2013年に脱会した女優のリア・レメニは、トム・クルーズに

「騙されちゃダメ」「彼には裏の顔がある」

という(*8)側面を強調。彼女は、トム・クルーズがこれまでサイエントロジーやその信者を利用し陰で様々な悪事を働いてきたとも明かす。 

トンデモSF教義

日本におけるサイエントロジーの知名度はイマイチであるが、しかし欧米を中心に教会は瞬く間に拡大していった。熱心な勧誘も一因であるが、従来の宗教からみて特別な位置にあることもかかわってくるという(*9)。

サイエントロジーの主張では、人間には肉体と心のほか、「セイタン」という要素があり、それをEメーターなる機械によって測る(オーディティング)ことが出来るとする。そして日々の修行によってセイタンのレベルを上げ、精神を解放していくのが重要であると説く。

修行の度合いによって教会でのOT(オペレーティング・セイタン)という階層が上がっていき、上位のものだけに明かされる秘儀もあるとも。

BBCの記者がサイエントロジーや脱退した元信者たちに取材を重ねていくルポルタージュである『ハリウッド・スターはなぜこの宗教にはまるのか』(亜紀書房)では、「ジヌー」という単語がたびたび出てくる。

ジヌー(XENU)は銀河連合の独裁者であり、7,500万年前、宇宙の人々を“冷凍”し、地球まで運搬していった。そしてハワイの火山に投げいれた彼らを、水爆によって殺してしまったという、トンデモSF理論だ。

引用・参考文献

(*1)テレ朝news「【独自】“追いトップガン”ハマる理由 84回鑑賞した強者も…自衛隊に“志望者”倍増」Yahoo!ニュース 2022年8月24日

(*2)テレ朝news 2022年8月24日

(*3)テレ朝news 2022年8月24日

(*4)「第5回 トム・クルーズも信仰しているサイエントロジー教会を知ろう!」シネマトゥデイ 2006年11月2日

(*5)シネマトゥデイ 2006年11月2日

(*6)「トム・クルーズ、自身の成功はサイエントロジーのおかげ!」デイリー 2016年10月28日

(*7)デイリー 2016年10月28日

(*8)TechinsightJapan「『トム・クルーズは長年“いい人”を装い続けてきた』『騙されないで!』 元サイエントロジー信者の女優が激白」exciteニュース 2020年8月1日

(*9)吉田悠軌「トム・クルーズやトラボルタもハマる宗教『サイエントロジー』の恐るべきカルト性」LITERA 2015年3月3日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年8月28日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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image by: Stefano Chiacchiarini ’74 / Shutterstock.com

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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