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asian elementary school student studying in classroom.

開いた口が塞がらない。韓国の教育課程が改正になった深刻な事情

韓国で今の若い世代(MZ世代)の文章読解力が深刻な問題となっているようです。その問題が表面化した「事件」と、今後の教育課程の改正について、韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『 キムチパワー 』の中で紹介しています。

「退屈な謝罪」って何だ?

最近「心からの謝罪」を一部ネチズンが「退屈な謝罪」という意味で誤解して受け取り怒りまくるという「事件」が発生し、今の若い世代(MZ世代)の文章読解力論難が提起される中、2022改正教育課程で国語教育を強化する見通しとなった。

「退屈な謝罪」論争は、最近ソウルのあるカフェが謝罪文で「シムシムハン謝罪を申し上げる」と書いてふくらんだもの。韓国語では、「心からの」も「退屈」も、「シムシム」という単語を使うため、ハングル文字で書くと表面上は区別がつかない。

普通は文脈の上から判断できるわけであるが、今回の「シムシムハン」問題は、この文脈からわかるはずの真の意味をMZ世代は理解できないほど国語(=韓国語)理解の能力が落ちているという指摘なわけだ。

漢字で書くと実は一発でわかる。「心からの」の場合は「甚深(シムシム)」の字であり、「退屈」のほうの「シムシム」は純粋な韓国語なので相当する漢字はないからこちらはハングルで書くしかないけれど。「心からの」を漢字で書いたら一応はわかるはずであるが、どっこい、漢字教育がほぼゼロの韓国の学生が「甚深」を「シムシム」と発音することができるかどうか、さらに発音できたとしてもその意味(心からの)までわかるかというと、残念ながら保証できるほどではない。

当時、カフェ側は公式ツイッターを通じてウェブトゥーン作家のサイン会予約過程でシステムエラーが発生したことと関連して「予約過程中に不便をおかけした点をもう一度深く(シムシムハン)お詫び申し上げる」と書いた。

ここで「シムシムハン」は非常に深く切実にという気持ちを表現する意味だが、一部の顧客がこれを「退屈だ」という意味で誤って理解してしまい不満を爆発させた。

一部のネチズンは「退屈な謝罪」という表現に怒りくるい、「退屈な謝罪?オレは一つも退屈じゃない」、「なんでなんだ、そっちが落ち度があるのに退屈な謝罪とは」、「まともな謝罪をするわけでもなく、何が退屈な謝罪か」と非難を浴びせた。

これを契機に「クムイル(今日)」を「金曜日」に間違えたり、「コジシクハダ(きまじめ、頑固)」を「高い知識(high+Knowledge)」に、「サッフル」を「4日」と思っていた(本当は3日のこと)など、類似の事例が登場し、MZ世代の文章読解力論難が水面上に浮上した。クムイルをなぜ金曜日と間違えるかというと、金曜日の発音がクムヨイルであるためだ(発音がかなり似ているから。このメルマガサイトは韓国語表記ができないためくわしい綴りなどは説明できない。コジシクハダの部分などは詳しい説明ができるとかなりおもしろいところなのだけれど…)。

30日、教育部が公開した2022改正教育課程試案によると、2024年から順次的に適用される2022改正教育課程では高校単位制に合わせて高等学校授業時数が調整され、初等学校(小学校)国語科目では基礎読解力教育が強化される。

今年末に最終確定・告示される2022改正教育課程は、2017年生まれの子らが初等小学校(小学校)に入学する2024年から初等学校1~2年生に適用され、現在中学1年生が高等学校に入学する2025年から中学・高校に順次適用される。ただし、この日公開された試案はまだ確定した事項ではないと教育部は付け足した。

昨年11月に教育部が発表した2022教育課程総論によると、生徒が希望する科目を選んで授業を受ける高校単位制に基づいて授業時数が調整される。

高校の全体授業量は現在204単位(計2,890時間)から192単位(2,720時間)に減る。国語・数学・英語は現行の10単位から8単位(科目別に1学期4単位)に減り、1科目当たりの授業時間が現行141.7時間から106.7時間に35時間ずつ減る。3科目の総授業時間は105時間減少することになる。

初等学校には選択科目が導入される。今回公開された試案を見れば、国語科目では基礎読解力教育が強化され、このために初等学校国語授業時間34時間が増える。

高校の選択科目に「文学と映像」、「メディアコミュニケーション」を新設し、メディアリテラシー(文字化された記録物を通じて知識と情報を獲得し理解できる能力)教育も強化される。「読書と作文」、「テーマ探求読書」、「読書討論と作文」等、主体的・能動的読書活動科目も新設される。ただ、漢字教育をもっとやるのかどうかについてはコメントはない。

数学科目の場合、高校基本数学を改編して共通科目を代替できるようにする。高校単位制などを反映して特性化高校では職務数学を新設する。

社会科目の場合、初等段階では学習量が32%減る。現行の「理解する」、「探求する」等で叙述された成就基準が探求機能・実践中心に変わる。高等学校では経済、法と社会、国際関係の理解、韓国地理探求、都市の未来探求など実生活連携科目とともに金融と経済生活、気候変動と持続可能な世界などの選択科目が新設される。

科学科目は小・中学校で物理、化学、生命科学、地球科学など4科目を均等に分割していたことから抜け出し、学校・学年別に再び構成する。高等学校では「科学の基礎」、「物質と規則性」、「システムと相互作用」、「変化と多様性」、「環境とエネルギー」、「科学と未来社会」の6つの核心概念を中心に科学基礎素養と統合的内容要素を追加する。

英語科目の場合、デジタル、人工知能(AI)教育環境と実生活と連係した色々な教授・学習評価方法を導入する。選択科目の場合、メディア英語、世界文化と英語、英語発表と討論などの科目を新設する。

教育部は同日、試案を公開し来月13日までの15日間、これに対する国民の意見を収集する。提示された意見は、教育課程試案開発政策研究陣と国家教育課程改正推進委員会が議論・検討し、教育課程試案に反映して補完する。公聴会結果などを反映した修正案は教育課程審議会と行政予告などを経て12月末までに国家教育委員会審議・議決後に最終確定する。(ソウル新聞を参照した)

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年8月31日号)

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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