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教員らの暴走、校長の嘘。いじめ被害者を迫害する小学校「異常対応」の証拠写真

本来なら子供たちを守るはずの学校が、いじめ被害者に対して目と耳を疑うような対応を行っていたことが明らかになりました。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、和歌山県海南市の小学校で起きたにわかに信じがたいいじめ事案を紹介。担任教師の被害児童に対する異常行動を、独自に入手した写真とともに白日の下に晒しています。

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和歌山海南市市立小学校で「重大事態いじめ」

Aさんは現在小学6年生の女子児童である。

実質的には、幼稚園のときから、加害者Bから暴力行為などを受け続けている。しかも、同級生の中には他の被害者も多くいる状態だという。

Aさんの母は、幼稚園の時の暴力行為を話してくれた。

「幼稚園の年中さんのときのことです。娘が靴を履き替えようと座っていると、背後から走って勢いをつけて蹴り倒されました。地面に這いつくばるようになった娘の髪の毛を鷲掴みにして引き起こし、何度もグーで殴ったのです。

幼稚園の担任と私で、止めに入りましたが、暴力を止めず、結局、担任がBを羽交い絞めにして、私が娘を抱きかかえて止めました。

この時の異常な様子は、今でもはっきりと覚えています」

小学生に上がるも学区制であるため、同じ小学校にAさんもBも入学することになる。当然に住んでいる場所も近いため、同じ登校班などになるわけだ。

入学して間もなく、事件はすぐに起きた。

周辺は田んぼが広がり、長閑な田舎風景がひろがるといった地域である。

田んぼには水を引くために用水路がある。入学のシーズンは田植えの時期でもあり、田んぼの水位も流れもあるような状態、用水路にも水が流れている。

この用水路では、すでに事故があり、小学1年生が落ちて骨折をした場所でもあった。

この用水路に、BはAさんらに降りるように脅したのだ。たまたま、Aさんの母親が、この近くを通りかかったため、ランドセルをもって降りるように強要されていたAさんらを引き上げた。

それ以外にも、Bによる被害はAさんのみならず他の児童にもあった。Aさんに限って書けば、「ランドセルを無理矢理開けられ、携帯電話を取り上げられる」「言うことを聞けと怒鳴る」「言い返しても、Bはしつこく言ってくるので、皆言い返すのを止めた」など。

この目撃と救出から、Aさんの母は小学校の担任に、いじめについての報告と対応を求めた。

しかし、その後のBによる暴力行為も強要行為も何も改善されることはなかった。

こうしたことから、Aさんの保護者らは、仕事があるのに、交代で学校の迎えにいくようになったのだ。

しかし、2年生にAさんらが進級しても担任は「迎えに来ているから大丈夫でしょ」と何らの改善策も打たなかった。さらに引継ぎすらされていないことも発覚している。

そして、さらに異常な事態が発生する。

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教員らの暴走

2018年5月2日、Aさんが小学2年生のときである。

この日、遠足が中止になったが、映画鑑賞の時間があった。こどもにとっては楽しみな時間だ。

しかし、AさんらBから加害行為を受けている被害者らにとっては、地獄のような時間になったのだ。

映画鑑賞の時間、Aさんらは、教員らに呼び出されていた。これまで、Aさんらは、学校にいじめの被害を訴え続けていたから、きっと先生が助けてくれるんだと思ったそうである。

B(加害者)、Aさんら被害者は、映画鑑賞会が行われた体育館の外に呼び出され、教員らから、被害者側に「Bに何をされたか?」Bの面前で言えと迫ったという。

教員らは、加害者にはそれに対して謝らせようとしたとのことであったが、Aさんらによれば、事実は、教員らは被害者らに対して「あんたらが仲良くしないのが悪い」と言い放ったという。

つまり、助けを求めていじめの被害を申告した被害者らは、助けてくれるはずの先生らから、「加害者に謝れ!」「お前らが悪い!」と言い放たれたのである。

こうした事態に対して、担任らと教頭は、保護者への説明として「全く関係のない事でも、謝らせることが教育です」と保護者に言い放ったという。

ここまで読んで、訳が分からないという感想を持つ読者もいることだろうが、直接話を聞いた私も、はじめてきいた時は登場人物を混同したし、何度も確認をした。

率直に評価するならば、異常ないじめと異常な学校の対応が続いていたのである。

校長の嘘

さらに、その後校長が被害者ら保護者を呼び出して、校長室でBに対して指導をして、Bの保護者にも伝えたとの説明をした。

校長は、指導としてBに被害者らに「接触するな」と言ったということであるが、その後、学校にきたBの保護者は泣きながら「うちの子のせいなん?」と言って学校を訪問したと説明した。

しかし、その場をAさんら保護者はしっかり目撃していたのである。実際は、Bの指導に不満を持ったBの保護者が、学校に怒鳴り込んできたのだ。

これを指摘されると、校長は「話している途中でBの保護者は涙ぐんでいた」と説明をすり替えたのだ。

当初の校長の説明では、BもBの保護者も反省して、泣きながら学校に謝りに来たというニュアンスだ。しかし、実際は、Bは納得ができず泣き、Bの保護者は学校に怒鳴り込んで、抗議の間、感情が高ぶって涙ぐんだのだ。

また、校長は下校時のBの加害行動から、Bに対してAさんらに「接触するな」と指導したはずなのに、Bの保護者にはこうした説明をしていなかった。

理由は、直接確認できていないから、であった。

直接確認できていないことで指導はしても報告はしないのである。

こういう対応を「詭弁」というのだ。

こうした詭弁を入学当初から聞き続けていた被害保護者らは、「また嘘か!」「また言い訳か!」と思ったに違いない。

ちなみに、小学1年生の時の用水路に降りるように強要した事案を、学校は認めなかったが、学校側は独自の調査によって複数の目撃証言を得て、事実自体は認めた。

ただし、加害児童が「ミッションであった」などと言い訳をするなどしたため、「いじめ」ではなく「遊び」の延長だと捉えて、いじめについては認めなかった。

ちなみに、この経緯をみる限り、この判断は、いじめ防止対策推進法違反である。

なぜなら、いじめ防止対策推進法第2条定義にある、「一定の関係性」「行為」「被害側の心身の苦痛」という要件をすべて満たしており、加害側が後から下手な言い訳をしても、それ自体が法律の定義を否定する要因には、当然になり得ないからだ。

つまり、これは学校側の法律違反行為であると同時に、保護者にも児童にも不誠実な対応をしたということのみならず、加害側児童の更生を阻害するという教育の機会を喪失させたことを意味するのだ。

「誰得?」という事態であるが、結果こういう嘘はバレるわけだから、誰も得をする事はない。

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Aさんの被害はさらに続く

こうした被害と二次被害を同時に受け、友人らがBの行為が怖くて登校できない状態が続くようになった。逃げ場がなくなり、八方塞がりの状態が続いたわけだ。

こうした被害が起きているとき、大人の中には簡単に「ああすればいい」「こうすればいい」と勝手な解決策を与えようとしたりするが、考え得る事は全てやっているのだ。

また、こどもの被害だからと軽くみる大人も中にはいるが、大人であればこれまでの経験などで乗り越えられることも多くあるが、こどもの場合、そうした経験もなければ、回復していこうというノウハウもない。選択肢の幅も多くは無いのだ。当然に、こどもの方がより深い傷を負いやすいのだ。

この時期の診断書をみると、Aさんには専門医から「登校停止が指示」されている。

また、専門医は「他児からの暴力、迫害により不安、退行、回避、解離の症状」と明記しており、学校に行くこと自体が危険であると判断していることがわかる。

このような診断書は、専門医が自分のクリニックという看板と氏名を書いて発行する。診断書を頼まれたから書くというものではなく、事実として認め得る状態であるから書くのだ。

特に地方だと、学校や教育委員会の力が強く、その権力に負ける形で診断書自体は断る医師も少なくはないものだ。

こうした状況の中でも、勉強や友達が好きなAさんは様々な形で登校を試みた。

フラッシュバックが起きるなどして、教室に入れないというときでも、いじめによって発症してしまった聴覚過敏などのヘッドレストをつけながらも、廊下で授業を受けたのだ。

ところが、さらに事件は起きる。

本来であれば、学校の落ち度によって酷いいじめになり、二次被害まで起こしてしまった中、その一番の被害者が子どもながらに必死に頑張っていることを支援して行くのが教師の姿であろう。

しかし、この和歌山県海南市の市立小学校では、真逆のことが起きたのだ。

この学校では、教室と廊下の仕切りはガラス戸になっている。よって、ガラスの先から教室の黒板も見えるわけだが、担任は、このガラスに全て紙を貼って塞いでしまったのだ。

行動のみから、読み取れば、授業を受けることを担任が妨害したということだ。

Aさんとガラスに紙を貼られてその隙間から授業を受ける様子=Aさん家族提供

Aさん、教室に入れないため廊下で勉強をする様子=Aさん家族提供

こんなことが起きていて、全く何を考えているのだろうか。ハッキリ言う。

この担任は、今すぐ教壇から降りるべきだ。そして教育に今後一切関わらないでもらいたい。

児童と生徒が不幸になる。

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重大事態いじめを認めない海南市教育委員会

さて、Aさんは現在6年生である。

小学1年生から本格的ないじめ行為を受け続け、私がAさんの保護者さんから見せてもらった診断書だけでも、6枚にもなる。一部には「心的外傷関連障害」と病名がつくものもあり、いじめ被害からいわゆるPTSDと同等の精神的苦痛を強いられたのである。

登校できない期間もあり、条件としては、完全に「重大事態いじめ」にあたる。

しかし、和歌山県海南市教育委員会によれば、「Aさん本人からの書面はあっても聞き取り自体ができていないことと必要十分だと思われる対応対策を学校がしたことなどから重大事態ではない」と判断するという主旨の書面を発行している。

重大事態いじめについては、文科省からガイドラインも出ているから、判断するのは、いじめ防止対策推進法に基づいたものでなければならない。

Aさんは学校からのアンケートなどに回答しているし、直接教委の担当者が話そうが、この意見は事実経験である以上、変わることはない。

書面を出している状態で、意見を聞けていないからというのは、やはり前述の校長同様、世間を欺く詭弁であろう。さらに、学校が何を対策しようが重大事態いじめの評価には影響しない。なぜなら、すでに起きてしまっていることだからだ。

こういうのを後の祭りと言うのだ。

ただし、他の保護者らに聞けばわかるが、学校が何を教育委員会報告したかは不明瞭であるが、教育委員会が重大事態ではないとAさん保護者に回答した内容から推察する限り、その学校の報告は、やはり前述の校長が複数の被害保護者の対応に使ったような「詭弁」と「嘘」の集合体であると言えよう。

1つ、付け加えるとすれば、和歌山県教育委員会発行の書面によれば、「海南市教育委員会に対して、重大事態として対応すべきであると助言している」とされている。

つまり、海南市教育委員会は、管轄内でいじめ重大事態が起きていることを放置し、「学校の運営に保護者如きが口出しするな」としているのだ。さらに、和歌山県教育委員会が、本来出張るところではないけれど、あまりに酷いので、「それ、重大事態いじめだよ、ちゃんとやろうよ」と指導しても、「うるせー、海南市の事は海南市がやるんだ!」と教育委員会が独立した行政機関であることを盾に反発しているのだ。

自然豊かな海南市、だが、確かに異常な事件も発生しているという。一体、この長閑な田舎で何が起きてしまっているのだろうか。

私には、小さな権力者が誰にも理解できない何かの見栄で、誰を泣かせようが批判されようが守っているというようにしか見えない。

Aさんは近々運動会と運動会後に社会見学や海南市合同陸上記録会などが予定されているが、加害者がいる空間では精神的ストレスが増大し、とても立っていられない等の状態になることから、長期欠席をせざるを得なくなる。

学校は、「みんなが参加できるように」とアナウンスしているとのことだが、そのみんなに「Aさん」は入っているのだろうか?

今でも、頑張って登校できる日は登校し、長期の欠席は学習の穴ができて成績が下がるのが普通であるが、ものすごく頑張って独学で勉強し、成績は上位であるAさん、彼女と彼女の保護者、また、同地区にいて同様の状態になってしまっている複数の被害者は、この市立小学校の児童ではないのか?私は教員一人一人に、どうして教師になったのか?問いたいところである。

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編集後記

いじめが常態化し、指導がきちんとされないと、やられるくらいなら、やる方がいいと普段大人しかった子が荒れるケースが多々あります。

文科省などは否定したいでしょうが、いじめの不対応から学級崩壊が起きるケースを、私は何度も見ています。

学級が崩壊する頃、完全に効果的な対策が施せない状態になった頃には、校長は転勤で、「さようなら」、どういうわけか元凶を作った教員らは出世するなどして、他の学校に「さようなら」です。

残ったのは、よくわからないまま学校に赴任してきた教員や管理者に当たる教頭や校長です。当事者ではないことから、責めるに責められず、なあなあのまま、こども達は進学して学校を去るわけです。

学生は期限がありますから、いわゆる期限切れということです。

こういう状況を経験する保護者や被害生徒は、全国的にこうした事態があることを知ると、まるで自分のケースを見るようだと感じ、マニュアルでもあるのですか?と思うわけです。

調べる限り、こうした対応マニュアルというのは確認できませんが、似た対応は制度的な共通性などから発展したものだと思われます。

今後は文科省がやるのか、こども家庭庁がやるのか、どうするのかよくわかりませんが、やるならば、いじめ防止対策推進法違反行為を自治体が平気で行えないようにしてもらいたいところです。

こういう希望を言うと、誰が取締るの?とかひねくれたことをいうバカが少数出てきますが、穿ってみる前に、被害者をみろ!バカと思います。それでも同じことが言えるなら、あんた人間か?と問いたいところです。

本件については継続的に被害家族と連絡を取り合い、対応していきます。

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image by: 海南市役所 - Home | Facebook

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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