韓国は信用できるか。低支持率と中国の牽制に揺れる尹錫悦大統領

2022.09.27
 

低支持率と中国の牽制。見極めるべき韓国の対日姿勢

だが、ここにきて不穏な空気が漂っている。1つに支持率だ。ユン政権は発足してまだ4ヶ月しか経っていないが、既に支持率が大幅に低下している。8月12日に韓国ギャラップが明らかにした最新の支持率によると、ユン大統領の支持率は25%、不支持率は66%となり、就任時の支持率52%から大幅に低下していることが判明した。支持率低下の背景にはいくつかの要因があろうが、日本との結束強化によって支持率が低下しているということであれば、ユン大統領も対日路線の変更を余儀なくされる。これまでのように日本との関係強化という姿勢を打ち出せなくなる可能性もある。

もう1つが中国の存在だ。中国の王毅外相は5月16日、韓国の外相とオンライン会談を行い、(米国か中国か)陣営に分かれて対抗するべきではないと中国側の懸念を伝えた。王毅外相がこのように懸念を伝えた背景には、韓国のユン新政権が米国や日本との協力を重視し、日米韓の連携で中国に対抗してくる可能性があるためと思われる。今日、中国側はユン政権の動向を極めて念入りに注視している。韓国経済にとって中国は最大の貿易相手国であり、いくら安全保障上の同盟国が米国であっても、中国は切っても切れない関係にある。経済で中国というカードを失えば、それは韓国経済の停滞に繋がる。韓国は日本以上に米中対立の中で難しい立場にあるといえよう。

そして、8月にペロシ米下院議長が台湾の次に韓国を訪問した際、ユン大統領は休暇中という理由でペロシ氏と会わなかった。米下院議長とは米国ナンバー3ともいわれ、日本国内ではこの事実に多くの専門家が驚いた。岸田総理もペロシ米下院議長が訪日した際にはランチを共にしており、日本の政治家たちからも、「こういったご時世だがやはり韓国は信頼できない」、「台湾有事の際も韓国は頼れない」などの声が聞かれた。

韓国の大統領は1期5年であり、またユン政権の外交安全保障政策を評価することは時期尚早かも知れない。しかし、支持率低下、中国という問題によってユン政権の対日姿勢を慎重に見極める必要があろう。

image by: 尹錫悦 - Home | Facebook

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

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