露国民は猛反発。なぜプーチンは「部分的動員」の暴挙に踏み切ったのか?

Military boots on the legs of soldiers in a row.
 

共同9月12日。

ウクライナ軍は東部ハリコフ州で反攻を強め、ゼレンスキー大統領は11日、要衝のイジュムを奪還したと宣言した。イジュムはロシア軍の補給路となっており、戦略上、大きな戦果となった。米シンクタンクの戦争研究所は10日、ロシア軍が統制の取れていない形で敗走していると分析した。

この大敗は、プーチンをはじめとするロシアの支配者層に大きな衝撃を与えました。プーチンは、「このままだと俺は敗北し、権力を失う」と恐怖したに違いありません。どうすれば、戦況を変えることができるのでしょうか?2つしか方法はありません。

1.動員令を出し、兵士の数を大幅に増やす
2.化学兵器、戦術核などを使用する

それで、仕方なくプーチンは、動員を決意したのです。

同時に、南部ヘルソン州、ザポリージャ州、ルガンスク州、ドネツク州で、「ロシアへの編入の是非を問う住民投票が行われる」ことが決まりました。23~27日に行われ、「圧倒的多数が編入を支持した」と宣言されるでしょう(実際、ウクライナ政府と内戦していたルガンスク、ドネツクでは、ロシアへの編入を望む人が多数派でしょう。一方、ヘルソン州、ザポリージャ州の住民がロシアへの編入を支持することはないでしょう。ですが、「大多数が編入を支持した」と発表されるはずです)。

この住民投票の意味はなんでしょうか?おそらく今月末あたり、ルガンスク、ドネスク、ヘルソン、ザポリージャは、「ロシア領」になります。その後、ウクライナ軍がこれらの地域を攻撃すると、ロシアは「自衛のための戦い」と主張できる(普通に考えたら、めちゃくちゃな論理ですが、ロシア側のプランはそうなっています)。すると、何が変わるのでしょうか?

ロイター9月25日。

ロシアのラブロフ外相は24日、国連総会出席のため訪問している米ニューヨークで記者会見し、ウクライナ東部と南部で住民投票が実施している地域がロシアに併合された場合、ロシアの「完全な保護」下に置かれると述べた。

また、核戦力使用に関する方針を盛り込んだ軍事ドクトリンに言及し、併合した地域の防衛に核兵器の使用もあり得ると示唆した。

ロシアは、「自衛戦争のためなら核兵器を使える」のです。だから、今月末に「ロシア領」になる4州を守るためには、「核兵器も使えるのだ」と。

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