露国民は猛反発。なぜプーチンは「部分的動員」の暴挙に踏み切ったのか?

Military boots on the legs of soldiers in a row.
 

破滅にむかうプーチン政権

なぜ、プーチンは動員を決断したのか?もちろん、「ウクライナ戦争で苦戦しているから」です。彼は3月時点で、「動員はしない」と断言していました。それが今回は、「部分的動員」という詭弁を使って、事実上の総動員体制に移行しつつある。プーチンは、全ロシア国民をだましたことになります。

今、ロシア全土で、「反動員」の大規模デモが起こっています。ナワリヌイ逮捕時のように、ウクライナ戦争開始時のように、今回の大規模デモも、武力によって鎮圧できるかもしれません。しかし、ロシア国民の「心」は、完全にプーチンから離れていきます。

ある男は、奥さんをDVで従わせることができるかもしれません。事情を知らない近所の人から見たら、二人はごくごく普通の夫婦です。しかし、奥さんはすでに心の中で夫と離婚しています。これを「内的離婚」といいます。夫が怖いので、「外的離婚」には踏み切れません。ですが、機会が訪れたら、必ず離婚するでしょう。

プーチンとロシア国民の関係も、そのようなものです。愛、信頼、尊敬、神話による統治は終わっている。今あるのは、力と恐怖による統治だけ。プーチンとロシア国民の「内的離婚」は、起こっています。時間差はありますが、内的離婚は、外的離婚に進んでいく。そういう意味では、プーチンの時代は、「終わりにむかっている」といえるでしょう。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年9月26日号より一部抜粋)

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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