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Bent down guy carrying a big heavy clock on his back. Overloaded student tired of daily tasks, and difficult burden. Time pressure and management concept, schedule efficiency, planning and control.

デキる営業マンは相手にしない。「時間と労力」を奪うお客様を見極める方法

一人のお客様に時間と労力を奪われてしまう─。営業で、そんな経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。今回のメルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』では、著者で営業コンサルタントの菊原智明さんが、時間と労力を奪う客を見極める方法とその対処法について語っています。

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 時間と労力を奪うお客様を見極める方法

ダメ営業スタッフ時代のこと。クロージングを苦手としていた。苦手という意識があるため、できる限りの準備はした。

・予算にあう見積書
・クロージングトーク
・最後の一押しでサービスするオプション

などなど。いろいろと準備して臨んだものだ。

しかしアッサリ失敗に終わる。「クロージングはなんて難しいんだ」と頭を抱えたものだった。

一番きつかったのは“奥の手を出してから値引き交渉される”といったこと。

値引きしてからの「今決めて頂ければこのオプションをサービスします」といった作戦。これがアッサリかわされる。

お客様にもてあそばれて捨てられる。そんな感じだったのだ。

あるお客様とのこと。商談を繰り返し、クロージングポイントになった。私は準備した見積書を提出する。

この見積書にはすでにマックス値引き。決済を取り付けるのにも苦労した。

私 「この金額でぜひお願いします!」

お客様 「う~ん、なるほどねぇ」

私 「予算内に収めております。いかがでしょうか?」

お客様 「悪くはないけど、決め手に欠けるというか」

私 「ではこのキッチンのグレードをワンランクアップさせて頂きます」

お客様 「それはいいですね」

私 「これで決めて頂けないでしょうか?」

お客様 「う~ん、もうひと声かな」

私 「これ以上は難しいと思いますが…」

このような展開になる時点で契約率はかなり低い。奥の手を出してからの値引き要求。これは泥沼化する。

仮に決済が通ったとしても、「これで検討しておくよ」と言われ、決めてはもらえない。これではどうにもならないのだ。

結局、お客様から「これで検討しておくから」と言われたまま、それっきりになってしまう。

次に連絡が取れた時は「ごめんね、他に決めちゃったよ」と言われるだけだった。

“何社も競わせて商談を進める”こういったお客様と商談していると営業は苦しい。お客様主導で進むため、言いなりになる。

こういったお客様に手を出すと痛い目にあう。時間と労力をかなり取られる上に契約にはならない。

しかも、こういったお客様に一度手を出すと「じゃあここで手を引こうか」と思えなくなる。

手間暇をかけてしまった。だから諦めがつかなくなる。こうして泥沼にハマっていく。

まさにコンコルド効果。コンコルド効果とは「それまでに費やしたものを惜しんで投資がやめられない」といったことを言う。できればこういったお客様に深入りしないほうがいい。

初めから「うちは5~6社見積もりを取って決めるから」と言ってくれればいい。こういったお客様は最小限で付き合う。

とにかく“営業をいいように使う”といったお客様をしっかりと見極めた方がいい。

トップ営業スタッフ時代の私はこの手のお客様をできる限り手を出さないようにしていた。時間は限られている。貴重な時間はいいお客様に投資したほうがいい。

私がこういったお客様に引っかからないためにやっていたことがある。その方法とは“スケジュールで本気度を見極める”といったやり方だ。

まずは、検討して頂くお客様に対して“どのように検討していくか”を視覚的に見せながら説明する。

例えば

・ヒアリング(間取り、資金計画)→調査→ご提案1→ご提案2→見積→ご契約

といった流れを丁寧に伝える。

そこで「来週にたたき台のプランを提出します。その翌週に…」といって2週間先の予定を決めていく。

こちらに好意的なら「じゃあ、来週は10時からで、再来週は11時からでお願いします」と時間を決めてくれる。

ここで“相見積もり目当てのお客様”は渋ってくる。

スケジュールを見ないうちに「ちょっと予定が分からないし」とごまかす人もいる。

こういったお客様は怪しい。真剣に検討するなら予定を空けるはずだ。

予定が分からないといった時点で“あなたの会社への優先順位”はかなり低い。

分かりやすい例は「いい条件を出してくれれば前向きに考えるから」などと言ってくるお客様。こういったお客様が契約になった経験はほぼない。

こういったお客様は切るのも失礼なので、後輩に回していた。経験の浅い営業スタッフには勉強になる。

また会議で「見積を提出するお客様がいます」と発表もできる。お互いにメリットがあったのだ。

自分の時間を守るためスケジュールで見極めをした。そのおかげでトップ営業スタッフ時代はこういった“手間のかかるお客様”に手を出さずに済んだ。

そのかわり、営業レターで育てたお客様に時間を使った。私の場合、営業レターで信頼関係を築くといった方法があっていた。競合に競り勝って契約するのは無理だった。

営業レターで関係が出来ていたお客様との商談は楽しい。同じ値引きにしても「無理だったらいいんだけど、このオプションだけサービスできない?」といった感じだった。

サービスしても、しなくても契約になったもの。サービスをすればかなり感謝してもらえる。競合が多いお客様とは大違いだった。

商談前に流れを説明してアポを取る。これでお客様の見極めをする。契約する気がないお客様にもてあそばれてはならない。いいお客様に時間と労力をつぎ込んで確実に結果を出して頂きたい。

【今日の課題】

・商談前に時間と労力を奪うお客様を見極める
・商談の流れを説明できるツールを作る

image by: Shutterstock.com

菊原智明この著者の記事一覧

群馬県高崎市生まれ。工学部機械科卒業後トヨタホームに入社し、営業の世界へ。 自分に合う営業方法が見つからず7年もの間クビ寸前の苦しい営業マン時代を過ごす。 お客様へのアプローチを訪問から「営業レター」に変えることをきっかけに4年連続トップの営業マンに。 2006年に独立。営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。 現在、上場企業への定期研修、講演、コンサルティング業務、経営者や営業マン向けのセミナーを行っている。 個人の営業マン向けとして【営業通信講座】や個人コンサルティングも実施。 2010年より関東学園大学にて学生に向け全国でも珍しい【営業の授業】を行い、社会出てからすぐに活躍できるための知識を教えている。 また(社)営業人材教育協会の理事として営業を教えられる講師の育成も取り組む。 2019年までに56冊の本を出版。ベストセラー、海外で翻訳多数。

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