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Businessman stand in front of maze entrance. Business problem solving, making decision, finding solution and challenge concept.

まずは孤独にならないこと。なぜ挑戦する人の周りには常に人がいるのか?

物事を成功か失敗かの二択で見ている人は「挑戦」をしなくなる。そう語るのは、ロングセラー『君と会えたから』『手紙屋』などの著者として知られる作家の喜多川泰さん。では、挑戦は何のためにするのでしょうか? メルマガ『喜多川泰のメルマガ「Leader’s Village」』で今回、その「挑戦」について掘り下げています。 

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徳は孤ならず。挑戦の結果、得られるものは「成功」でも「失敗」でもない

高校生にもなると「挑戦」するのを怖がるようになる。失敗するのが嫌だからです。

「失敗すると恥ずかしい」
「失敗すると立ち直れない」
「失敗するとカッコ悪い」

こう思っている人が多いんですね。まあ「周りの目を気にしている」からなんですが、実際に気にしているのは「自分の目」だという話を以前このメルマガでもしました(Vol.8「他人の目が気になって不自由を感じたら」を再読あれ)。

でも、ほとんどの人にとって「失敗」とは「今の自分にとって都合が悪い結果」でしかなかったりするんですよね。逆に「今の自分にとって都合がいい結果」を「成功」と呼んでいる。その程度の価値観で「成功」と「失敗」を分けて、「失敗したくない」と言っているだけなんですね。

テスト結果が悪かった生徒は答案用紙をもらった瞬間に、「うわぁ、失敗した!」と言いますが、それは失敗ではない。ただの当然の結果。まあ、今の自分にとって都合が悪い結果なのは間違いないでしょうが、でも、未来の自分にとっても都合が悪いかどうかはわからないでしょ。

挑戦の結果得られるものは「成功」でも「失敗」でもなく「出会い」なんです。そしてその出会いが未来を拓く。

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成功か失敗かという価値観で物事を見ている人は、そもそも挑戦をしなくなる。
行動する前から、頭の中でシミュレーションをしてみると、そうそう思い通りになんてならないでしょ、という結論になることがほとんどだからなんですね。

例えば、子どもの頃からの夢がパン屋を開くことで、その夢を実現すべく挑戦してみようと思ったとする。まずどうするか。どこでやるか、店舗を作るのにいくらかけるか、どんなコンセプトでどこまでこだわって、どんなパンを作るのか。店の規模は。そのために銀行からいくら融資を受けるのか。材料はどうやって仕入れて、それぞれの値段はいくらにするのか。どうやって人を雇うのか。宣伝はどうするか。考えることは山積みです。そして、そのパン屋を経営するために、一日当たりどれくらいの売り上げが必要か。

最初は夢や希望が詰まった想像も、この辺りから「そんなに売れるかな」「借金返せるかな」と不安になることが増えてくる。「そもそも、そんなに簡単にうまくいくんなら、みんなパン屋やってるでしょ」なんて思い始めて「あそこのパン屋もやめた」「あっちのパン屋もあまり繁盛していない」「国際情勢が不安定で小麦粉などの材料費が高騰している」という情報ばかりが耳に入ってくる。

結果として「う~ん、今はやめておこう」となって、動かずに終えることになる。そうやってたくさんの夢はシミュレーションの段階で霧散するんですね。行動されることなく。

挑戦は「成功」という結果のためにするという価値観で生きていて、そうやって「成功」つまり「予想通りうまくいく」を積み重ねることによって、自分の未来はひらけていくと考えているんですね。

ところが、挑戦は「成功」のためにするのではない。

では何のためにするのか。

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もちろん「出会い」のためにするのだ。

先ほどの例で言うと、どれだけ事前にシミュレーションしても、実際に店を始めてみなければわからないことがある。それが「それをやることで誰に出会えるか」なんですね。そしてそうやって出会った人によって未来が拓かれていく。

新しい挑戦をすると、必ずそこには新しい出会いがある。そして、その新しい出会いが新たな可能性の扉をもたらす。すべての人の人生は、そうやって人生は拓けていくんですね。だから、新しい挑戦をしない人に未来の可能性の扉なんて現れない。

この理屈が腹落ちすると、本当にそれまでの人生を変えるほどの大発見になるんですがね。

だって、それまで挑戦や行動は「成功」のためにするものだと考えて「失敗」しそうなものには動けないようになっていた人が、「出会いのためにする」となった瞬間から、どんどん行動できるようになるわけですから。何もしないで家で考えていても出会いはないですからね、そんな時間があったらすぐにでも行動して誰かと出会ったほうがいいって、アクティヴな人に変われるきっかけになるんです。

まさに、価値観の変容。パラダイムシフトです。

ところが、高校生にそんな話をすると、最近はパラダイムシフトにならない。なぜか。

「誰かと出会って、その人と繋がることでしか未来は拓けない。逆を言えば、誰かと繋がることでこの世界はどこまでも広がっていけるんだよ」

と伝えると、

「出会った人と繋がるのが苦手なんです。自分コミュ症なんで…」

だって。そもそもコミュ症の定義を僕は知らないけど、本来そうではない人でも、自分でそう思い込んでる人につける薬はない。

そういう人は、「なるほど出会いのために挑戦するのか」というのが分かったところで、未来に明るい光が差してこないんですね。出会ったところで人と繋がるのが苦手なので結局誰ともつながらないで一人でいるほうがいいって思っちゃう若い人が多いんです。

だから、講演などでももう一歩先まで話をしなければならなくなった。

無理して繋がろうとしなくていいんだということを。

何を隠そう、村長も人と繋がるのが苦手なんですね。挑戦や行動は日々していますから、たくさんの人とは実際に出会っているんですが、その辺の若い人なんて目じゃないほど、仲良くなるのが苦手なんです(笑)。それでも、未来はどんどん拓けていきました。

なぜか。

「徳は孤ならず」

だからです。

文字通り「徳」を積んで生きている人は「孤独」になることなどはないということ。世の中の人は放っておかない。みんなその人にしかできない役割があることに気づいてしまうから。ただ、自分でなかなか「私は徳を積んで生きてますよ」なんて言えるもんじゃないというのが大方の人でしょう。

僕は、これまで出会った「徳のある方だなぁ」と感じる人を拝見して、「徳を積むとは」とはどういうことなのかということが、なんとなく分かったんですね。

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「徳のある人」ってどんな人だ?って考えるとき、ものすごい社会貢献をしたり、寄付をしたり、無償でたくさんの人助けをした自己犠牲の人をイメージしがちだけどそういうことじゃない。僕の知っている「徳のある人」は、みなさん

「どんな時でも、自分の最善を相手に提供しようとする人」

でした。そして、それなら僕もこれまでずっとやってきたという自信があった。だから、授業であれ、仕事であれ、講演であれ、小説を書くのも、このメルマガも、一冊の本にサインをするのも、自分の最善を相手に提供しようとしています。それが他の人より劣っているものであったとしても問題ない。大事なのは「自分の最善を提供したい」という心なんです。

出会った人と上手に話して仲良くなるというのが難しい人もこれならできるでしょ。

それは年齢なんて関係ない。授業をしているときに、自分の最善を相手に提供しようとして話を聞く生徒がいますね。背筋を伸ばして、頷きながら、目を輝かせて、人の話を聞いてくれる。彼らを見れば「徳は孤ならず」となるのは当然だとわかりやすいでしょ。そういう生徒には、仕事だからという思いを超えて、なんとかしてあげたくなる。

自分の最善を相手に提供しようという思いなどまったくない生徒もいますね。自分本位と言いますか。でも本来はそっちの方が普通なのかもしれません。だからこそ、常に自分の最善を相手に提供しようとする人には徳が備わるのでしょう。

というわけで今日の一言。

「徳を積もう(自分の最善を常に相手に提供しよう)」

すべての出会いが、あなたの未来を拓く出会いになるから。そこまで踏み込んだ話を、若い人たちには伝えてあげてほしいと思います。

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image by: Shutterstock.com

喜多川泰この著者の記事一覧

1970年生まれ。2005年「賢者の書」で作家デビュー。「君と会えたから」「手紙屋」「また必ず会おうと誰もが言った」「運転者」など数々の作品が時代を超えて愛されるロングセラーとなり、国内累計95万部を超える。その影響力は国内だけにとどまらず、韓国、中国、台湾、ベトナム、タイ、ロシアなど世界各国で翻訳出版されている。人の心や世の中を独自の視点で観察し、「喜多川ワールド」と呼ばれる独特の言葉で表現するその文章は、読む人の心を暖かくし、価値観や人生を大きく変えると小学生から80代まで幅広い層に支持されている。

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【著者】 喜多川泰 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 金曜日

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