実はこの裁判ですが、最初は全く逆の判決が出ていました。
最初の裁判での判断は次の通りでした。
・個人が自認する性別に即した社会生活を送ることができることは重要な法的利益として保護される
・(この職員は)女性ホルモンの投与を受けており、女性に性的な危害を加える可能性は低い
・トイレの構造から性器等を露出する事態が生ずるとは考えにくい
・性自認に応じたトイレ等の利用に対する国民の意識や社会の受け止め方は変わってきており、トラブルが発生する可能性は低い
・上司の面談中の発言は違法
いかがでしょうか?
この「トイレ問題」は実務的には非常に難しい問題かも知れません。
具体的な解決策と言えば使用者の性別を限定しない「男女共用トイレ」の設置になるのでしょうが、費用やスペースの問題もありすべての会社でできる方法では無いでしょう。
もちろんだからと言って実際に困っている人がいるのであれば、そのままで良いとも思いませんが悩ましい問題ではあります。
ただ、今回のトランスジェンダーの職員のような「LGBTQ」と呼ばれる人たちに対する取り組みはすべての会社ですべきでしょう。
今回の裁判でもトイレの使用に関しては結論は分かれましたが
「個人が自認する性別に即した社会生活を送ることができることは重要な法的利益として保護される」
と、共通していましたし、面談中の上司の発言についても共通して「違法」としています。
LGBTQと言われる人は人口約10人に1人と言われます。
単純計算で、10人の部署であれば部署に1人、100人の会社であれば会社に10人です。
日本で一番多いと言われる「佐藤さん」より多いことになります。
同じ職場や、取引先などどこにいてもおかしくないということです。
例えば、取引先の担当者がLGBTQの当事者でそれに気が付かずに差別的、もしくはセクハラ的なことを言ってしまったら…
おそらく会社的にも大問題になってしまうでしょう。
そうならないためにも定期的に研修を行ったり、全社員に周知していくことが必要です。
万が一の場合は、「知らなかった」では、すまされないのです。
(無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』9月21日号より一部抜粋)
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