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「女子中学生髪切り事件」の被害者宛に届いた“嫌がらせ年賀状”の写真と文面

2016年に山梨市内の中学校で起きた、女子生徒が教員に工作用のハサミで髪を切られたという許し難い事件。両親が市を相手取り起こした損害賠償訴訟は被害者側の勝訴が確定していますが、事件発生から6年が経った現在も誹謗中傷が続いています。今回のメルマガ『伝説の探偵』では現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、被害者宅に届いた匿名の嫌がらせ年賀状を誌上公開。さらに学校事故やいじめの被害者に対するこうした行為が絶えない現状を訴えるとともに、彼らの救済のために私たち一般市民ができることを紹介しています。

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山梨「女子中学生髪切り事件」後日談

山梨県山梨市の市立中学校で2016年6月、女子生徒が教員らに工作ばさみで髪をザクザク切りにされ、その後不登校になったという事件があった。

いわゆる「山梨髪切り事件」である。

「伝説の探偵」でもこれを報じている。

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報道によれば、2021年11月30日、被害者の両親が山梨市に770万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、一部の損害を認めて、「教諭が工作用ハサミを使った方法も不適切で職務上の法的義務を違反している」と指摘した、とされている。

その後、控訴されることもなく、この判決は確定した。

この判決には、これまでにはない画期的な判断があり、今後に対して大きな影響を与えるだろうと言われている。

一般に、これで一件落着と思うだろうが、被害者はその後も嫌がらせをされているというのだ。

匿名の嫌がらせ年賀はがきが届く

写真は、この髪切り事件被害者宅に2022年に届いた年賀はがきだ。

1つは、被害者宅の自宅の写真と自家用車、勤務先が推測できるものが写ったものであり、「監視しています」との宣言だとも言える。

もう1つは、文面で被害者側の主張が嘘だという内容になっている。

さらにネットでは、不審な人物からストーカーのように付け狙われたり、送った覚えなのないDMが拡散されるという嫌がらせを受けているというのだ。

ちなみに、調査を進めてみたところ、「山梨県内」からの発送だということまでが分かった。

推測に過ぎないが、利害関係者が嫌がらせを目的に被害者宅に送り付けたということだろう。陰湿を通り過ぎて、その思考は犯罪者そのものと言っても過言ではないはずだ。

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学校事故の被害者やいじめ被害者への嫌がらせが絶えない

私は数多くの学校事故や体罰、不適切指導の被害者に会ってきた。いじめの被害者やご遺族はもちろんのこと、多くは家に訪問させてもらって、事情を聴く。

そうした中で、ほぼ全てと言っていいほど大なり小なり嫌がらせを受けている。

山梨の髪切り事件の被害者は、ストーカー被害とも言えるような陰湿で執拗な嫌がらせを未だに受け続けているし、高知県小学生水案事案の岡林さんもネットで偽情報を流されるなどの陰湿な被害を受け続けている。

交通事故のご遺族がネットで誹謗中傷を受けることもあるし、もはや社会問題であるとも言えるだろう。

類似した被害を書き出せば枚挙に暇がない。

こうした被害は、被害者をさらに追い詰めるものであり、想像以上に精神的な苦痛を受けるものだ。

一度被害を受けると、日常生活では通常感じることのない警戒心を持つようになったり、フラッシュバックで急な心拍数の高鳴りを感じるなどするのだ。

これは二次被害でもあり、深刻な新たな被害であるとも言える。

被害者救済制度の拡充を求めたいところだが、こうした社会問題はヒアリングすら、あまり行われていないのが現実なのだ。まず、私たち一般市民が、被害者がさらなる被害を受けているということを知ることから始めないといけないだろう。

そして、いつ誰が被害者になるかわからないということを忘れてはならない。

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編集後記

どこかで見たことがあります。真の国の豊かさの指標は、経済でも優れた社会的システムでもないというのです。真の豊かさは、「弱者に対していかに手厚いか?」だというのです。

もしも、これが真の基準であれば、日本という国はどうでしょう。

私も最近、ものすごい誹謗中傷を浴びました。表面上は落ち着きましたが、調べを進めて確証を少しづつ得ています。それについては、いずれ明らかになると思いますが、私も被害を受けたとき、両親の死などで私の精神状態が良くない時を狙われたこともあって、本当にこうなると人は死を意識するのだということを知りました。

周囲からは鉄の心と言われている私ですら、そこまで落ちたわけです。そうでない人がと考えたら、ぞっとします。こういうことに加害行為を実行する者、それを指示する者などは思いがめぐらないのでしょうね。その残酷な仕打ちは一生心に残ります。

あのとき、私は色々な人に支えてもらいましたが、本来機能するはずの行政の動きの悪さや相談対応の悪さなどは、その最悪の心の状態をさらに貶めるものであったというのが私の率直な感想です。

だから私の体験からしても、相談を受ける被害者の皆さんの話からしても、弱者になったときにはじめて、「あー、あるのは見せ掛けの仕組みか」と思えるほど、手厚さは感じないということです。そうでない人もいるでしょうが、きっとそれは運が良かっただけだと思います。

被害者というのは、自動で誰かが守ってくれるわけではなく、何か仕組みがあっても、被害を自ら証明したり、強く冷静に主張しなければなりません。しかし、被害を受けていれば、冷静になるのは難しいし、強く主張することも難しいのです。

よくヘルプの出し方とかSOSの出し方が悪いという人もいますが、実際に被害を受ければわかります。その論調がいかに本末転倒で心が無いかということが。

本来必要なのは、アウトリーチです。

被害者は弁護士さんを探すのも大変です。なんとか見つかっても、お金もかかれば時間も手間もかかります。いじめ被害の保護者の中には仕事を辞めた人もいます。

そうやって、被害者ばかりが苦労をするのが、現実です。その上で、被害者は目立てば目立つほどバッシングも喰らうし、プライバシーも侵害されます。

真に日本が豊かであるならば、被害者を支援する仕組みやオンブズマンやアドボカシーが制度化されていてもよいと思います。

なぜかプライバシーの話になると、加害者のプライバシーの話に偏るのかわかりませんが、被害者のプライバシーこそ守られるのが大前提だと思うのです。

いつも私は被害者の横にいたり盾になっていたします。はしごを外されたり、後ろから刺されることもありますが、人間は弱いのだから仕方がないと思うようにしています。

私が居なくなったら困るという人たちから、辞めないでといつも声をかけられていますが、私もそろそろ現場は引退を考える時期かと思ってます。とはいえ、現場も全部やるという立場ではなく、人材を育成し、現場は彼らに任せてその監督をするような立場になった方が、より多く、より広く活動ができると考えてことです。

そこで、NPO法人ユース・ガーディアンでは、12月予定で「いじめGメンプロジェクト」という人材育成プログラムをはじめます。

初回の基礎講座はWEBからも受けられるように調整中です。志のある方はぜひともご参加いただきたいと思っています。

いじめGメン育成プロジェクト

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image by: 伝説の探偵

阿部泰尚この著者の記事一覧

社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
まぐまぐよりメルマガ(有料)を発行するにあたり、その1部を本誌でレポートする社会貢献活動に利用する社会貢献型メルマガ。

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