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国益ガン無視。岐路に立つ日本を再び「敗戦国」にする、中露の肩を持つ人々

米中覇権戦争やロシアによるウクライナ軍事侵攻など、一昔前には予想もつかなかった出来事が現実のものとなってしまった世界。日本が今後も独立国家として主権を守り続けてゆくためには、どの方向に進んでゆくべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、自身の基本的立場を明確にする過程で昨今の国際社会の変遷を解説。さらに日本を再び敗戦国にしないために注意を払うべきポイントを明示しています。

北野の基本的立場は親欧米、親中、親ロではない

今回は、ちょうどいい機会ですので、私の基本的立場を明確にしておきたいと思います。

私は、親欧米でしょうか?違います。私は、親中国でしょうか?もちろん、違います。私は、親ロシアでしょうか?全然、違います。私は、親欧米でも、親中国でも、親ロシアでもない?では、なんなのでしょうか?私は、【 親日本 】です。【日本の国益のみ】を考えて、情報を発信しています。

北野の情報発信、基本的な流れ?

実際にどんな情報を発信してきたのでしょうか?メルマガ創刊から23年。メインテーマは、時と共に変わってきました。

1冊目の本『ボロボロになった覇権国家アメリカ』を出した2005年当時。私のメインテーマは、「アメリカ発の危機が起こって、アメリカは没落する」でした。実際、2008年に危機が起こり、アメリカ一極時代は終わったのです。

ちなみにこの本には、「中国は、08~10年に起こる危機を短期間で克服し、2020年頃まで成長をつづける」とあります。実際に、08年に危機が起こった。中国は短期間で危機を克服した。そして、2020年まで成長をつづけたのです。

さて、既述のように、08年の危機で「アメリカ一極時代」が終わりました。そして、「米中二極時代」がはじまったのです。

私は、08年出版の『隷属国家日本の岐路 ~ 今度は中国の天領になるのか?』の中で、「尖閣から日中対立が激化する」と書きました。実際、2010年に「尖閣中国漁船衝突事件」があり、2012年の「尖閣国有化」で、日中関係は戦後最悪になったのです。

反日統一共同戦線戦略との戦い

ここから、次の大きなテーマに移っていきます。中国は2012年11月、ロシアと韓国に【 反日統一共同戦線創設 】を提案しました。

● 証拠→反日統一共同戦線を呼びかける中国

中国は、ロシアと韓国に

私はこの情報を知って、「嗚呼!日中戦争がはじまった!」と思いました。そして、中国の【 反日統一共同戦線戦略を無力化させること 】が私の大きなテーマになったのです。

具体的にはなんでしょうか?

中国の戦略は、日米関係、日ロ関係、日韓関係を破壊し、日本を孤立させ、破滅させることです。だから、日本がとるべき大戦略は明らかでした。日米関係、日ロ関係、日韓関係を改善することで、中国の反日統一共同戦線戦略を無力化できるのです。

日米関係はともかく、日ロ関係を改善すること、日韓関係を改善することには、強い抵抗があります。それでも私は、ブレることなく、同じ情報を発信しつづけてきました。

そして、安倍総理は、まさに「反日統一共同戦線戦略を無力化するために」行動してくださったのです。2015年4月、「希望の同盟」演説で、日米関係は最良になりました。安倍総理は、リベラルのオバマさん、保守のトランプさん、お二人と親友になったのです。

2015年12月、慰安婦合意で日韓関係が一時改善されました。「どうせ韓国が裏切る」と反対の声も多かった。しかし私は、「反日統一共同戦線を無力化する」という立場から、支持を表明しました。

2016年12月、プーチンが訪日し、日露関係は劇的に改善されました。安倍総理について、背景を知らない人は、「結局、北方領土は戻ってこなかった」などと批判します。しかし、そもそもプーチンは、北方領土を返す気が全然全然ありません。だから、誰がやっても結果は同じです。

それでも安倍総理は、ロシアとの関係改善に尽力されました。反日統一共同戦線戦略を無力化するためです。そして、安倍総理は、成功したのです。

2018年10月、ペンス副大統領の「反中演説」から「米中覇権戦争」がはじまりました。安倍総理の功績で、日中戦争は、米中戦争に転化しました。日本は救われました。しかし、油断はできません。日本には、親中派の政治家がたくさんいて、油断するとすぐ中国の方に行ってしまうからです。

私は、感情的反中派ではありません。ですが、中国が、【 日本には沖縄の領有権はない!!! 】と宣言していることを知っています。だから、親中にはなれません。

北野は、「親ロシア、親プーチン」なのでは?

さて、私は、

ということで、私がファナテックな親米や親中でないことは、ご理解いただけるでしょう。

ところが、一つ疑念が残ります。「北野は、親ロシア、親プーチンなのではないか?」です。私は、親ロシア・親プーチンなのでしょうか?それとも親日本なのでしょうか?

ウクライナ侵攻に対する私の言説を見れば、はっきりわかります。私は、ウクライナ侵攻がはじまる前から、二つのことを主張しつづけてきました。

実際、ロシアはウクライナに侵攻し、戦略的敗北を喫することが確実な情勢になってきています。

ウクライナ戦争がはじまった時、もし私が親ロシア・親プーチンであれば、ロシアを支持したことでしょう。実際、日本にも「親ロシア」の論陣をはっている人がたくさんいます。彼らのロジックは、「プーチンは、悪のグローバリスト(あるいはディープステイト)と戦う、ナショナリストの英雄だ!」というものです。

私は、プーチンがグローバリストと戦っていることは否定しません。ですが、「プーチンが善だ」という主張には絶対同意できません。

もしプーチンがグローバリストに勝利し、新世界秩序をつくる権限を得たとしましょう。彼は、どんな新世界秩序を作るのでしょう?もちろん、「彼がロシアを支配しているように、世界を支配する」となるでしょう。つまり、言論の自由が全然ない世界。「反戦」と書いたプラカードをもって外に出れば、逮捕され、最長懲役15年の実刑を受ける世界。

私は「親プーチン派」に問いたいと思います。「日本が、ロシアみたいな国になっていいのですか?」「ロシアみたいな世界になっていいのですか?」と。

というわけで、どうも北野は「親ロシア、親プーチン」ではなさそうです。

私は、ロシア外務省附属モスクワ国際関係大学を卒業しました。そこで、「国益をすべての中心に据えて考える習慣」をつけさせられました。私は、「ロシアの国益」ではなく、「日本の国益」を常に第一に考えて情報を発信しています。そして、その国益は、「長期的」「大戦略的」「大局的」なものです。

今、日本は岐路に立たされています。日本国内には、親中派と親ロシア派がたくさんいます。もちろん、日本には言論の自由がありますから、何をいってもいいでしょう。しかし、日本が独裁国家側につけば、日本は【また敗戦国】になります。私は、日本が戦勝国になり、真の自立を成し遂げる方法を常に示しつづけていきたいと思います。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年10月25日号より一部抜粋)

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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