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カスハラ対策ポスターへの“理不尽な言いがかり”にウンザリ?「またツイフェミか」「毅然と無視を」モンスターフェミクレーマーへの正しい対処法広まる

厚生労働省がホームページで提供している「カスタマーハラスメント対策啓発ポスター」のイラストが、ネット上で思わぬ批判を受けている。店員に迷惑行為を働くモンスター客のイラストが女性だったため、「男目線の女性差別だ」と一部で反発の声があがったのだ。しかし一方で、「それはさすがに考えすぎでは?」「迷惑客は男ばかりなのになぜ、と怒ること自体がカスハラにあたる」「店員としての経験でいうと迷惑客は男女半々」など反論も。一体なぜこのような騒動が起きたのだろうか?

そもそも、カスハラ対策ポスターは1パターンではない

厚労省によると、「カスタマーハラスメント」略して「カスハラ」とは、店や企業に対して顧客や取引先などが過剰な要求を行ったり、商品やサービスに不当な言いがかりをつける悪質なクレームのことを指す。

今回、話題となっている「カスハラ対策ポスター」は、厚生省のサイトから誰でもダウンロードすることができる。

問題になったポスターは3月8日に追加された「デザイン1」で、小売店舗向きのもの。レジの前で中年女性が怒鳴り散らしているところを、男性従業員が平身低頭で謝っている姿が描かれている。

キャッチコピーは「暴力、暴言、土下座の強要…そのクレーム、やりすぎてませんか?」で、カスハラ女性のセリフとして吹き出しに「慰謝料払ったら許してやるよ」「SNSにアップしてやるよ」「つべこべ言うな! 言われたとおりにしろ!」「土下座しろ!!」「お客様は神様じゃないのか!」といった罵詈雑言が書かれている。

だが実はこの啓発ポスター、この1種類だけではなく、2月25日版ではスーツ姿の男性2人(一方がガミガミ怒鳴り、一方は身体を90度に曲げて謝る姿)のもの。3月8日版の「デザイン2」では、飲食店で老紳士が女性従業員に怒鳴る姿。「デザイン3」では、配達員が納品先で怒鳴られる姿。「デザイン4」ではカスタマーセンターのお客様対応係の女性に対して電話越しで怒鳴る女性の姿が描かれていた。

さらにネット上の情報によると、病院で医師や看護師に怒鳴る老男性のバージョンが存在したというが、これは「老人をクレーマー扱いするのか!」との批判があったのか、現在は提供されていないようだ。

いずれのデザインもキャッチコピーと吹き出しのセリフは同じで、イラストだけが別のものになっており、さらには「任意のイラストを追加できるもの」まで用意されている。

厚労省公式ホームページより

現在確認できるポスターの「モンスターカスタマー」の男女比率は4:2だったが、小売店舗用のモンカスとして女性が描かれていたために、悪目立ちして批判されることになったのが真相のようだ。

モンスターフェミの勇み足、「お母さん食堂」の再来?

今回は、たまたま「デザイン1」だけがモンスターカスタマーならぬモンスターフェミクレーマーの目に止まり、その画像がSNSで拡散されたことで、すっかり女性だけをモンカスとして扱っていると誤解されたようである。ネット上では、「女はヒステリックと思っている人が作ったポスターだ」「カスハラは男がするものという考えは正しい認識」など、ポスターは1種類のみと勘違いした早とちりな女性たちから批判の声が相次いだ。

2021年10月、「お母さんの温かさをファミマの惣菜に」とファミリーマートが展開した「お母さん食堂」が、「お母さんが食事をつくるのが当たり前というアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を助長しかねない」などと、女子高生3人が発起人になった署名活動により、結果的に名称変更になったという騒動があった。今回の件も似たような事例であり、こうした「モンスターフェミクレーマー」たちは、常に不用意な言葉に目を光らせているようだ。

瀬地山角・東京大学教授著「炎上CMでよみとくジェンダー論」(光文社)によると、「お母さん食堂」は炎上CMの4つのパターンの中で「性役割の固定化・強化と受け取られたパターン」にあたる。この文脈でいうと今回の厚労省カスハラポスター「デザイン1」は、女性を間違った性役割に誘導していると受け取られたと考えられるが、そもそも厚労省は他にも男性をモチーフにしたポスターを多数用意している以上、いわゆる“ツイフェミ”の勘違いが引き起こした理不尽な過剰反応だったと言えるだろう。

接客現場からは「男女半々」「お前のほうがクレーマーだ」の声も

モンスターフェミクレーマーたちが「カスハラ客はほとんど男性」と抗議するのに対し、実際に接客をしている人たちからの反応はどうだろうか?

ネット上には「クレーマーに男も女もない、年齢も関係ない」「男女半々だよ」「そういうイチャモンをつけてくる女性のほうがよほどクレーマーだ」など手厳しい意見が多数見られる。

また、実際に接客をする当事者にとって、今回の「カスハラ対策ポスター」は救いになっているようで、「うちの店にも貼ってほしい」という声も相次いだ。

実は厚生省が進めているカスハラ対策は、こうしたモンスターカスタマーを違法行為にしたり、排除したりするための施策ではない。あくまでも企業内のパワーハラスメント対策の一環であり、企業に対して「カスハラで苦しんでいる従業員をちゃんと守りなさい」という取り組みなのだ。

カスハラに負けてたまるか。任天堂の事例とは?

厚生省が発行するカスハラに関するリーフレットによると、労働者が過去3年間で受けたハラスメントのうち、カスハラがセクハラをしのいで、パワハラに継いで2位だったという。しかも、「ただの苦情」なのか「カスハラ」なのかという境界線が曖昧で、パワハラ、セクハラのように明確な基準がないのが現状。判断基準は各企業に任されている。

あの任天堂が10月に「カスハラがあった場合は修理サービスを行わない」と、修理サービスに関する規定を明記したように、毅然とした態度でカスハラ対策する企業もあれば、あくまでも「顧客第一主義」を掲げる企業もある。

従業員の本当の願いは、カスハラがなくなることよりも、カスハラに対して会社が従業員を守ってくれることなのだ。カスハラ問題は、社内の少数の人間に押しつけられている場合が多い。カスハラを受けた従業員はパフォーマンスが低下し、頭痛、睡眠不良、精神疾患、耳鳴りなどの症状に苦しみ、やがて休職、退職へと繋がることが多い。

企業にとっても大きな損失になるが、カスハラ対策は企業側が自主的におこなったものではなく、厚生省からの要請で行われている。これからカスハラ対策が進むかどうかは、企業が本気で取り組む姿勢があるかどうかにかかっている。

そのためにも、「カスハラ対策ポスター」は重要な役割を持っている。店舗に貼られたポスターのイラストに対して、客から文句を言われるのも、また従業員である。今後、モンスターフェミクレーマーたちが理不尽なクレームを入れないことを願うばかりだ。

Twitterの反応


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image by: 厚生労働省ホームページ

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