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「中国からの影響」世界ランク52位の日本。進む中国・習近平政権離れ

台湾の市民団体により12月8日に発表された、世界各国に中国の影響力がどれほどの程度で及んでいるかを調査した「中国の影響力指数2022」。日本は82カ国中52位とのことですが、この結果をどう見るべきなのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、9分野に渡る調査結果を詳しく紹介するとともに、日本の中国離れを「成功」に導いた要因を考察。さらに西側諸国における対中戦略の中で、日本が果たすべき役割を記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年12月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】各国における中国の影響力比較を発表、日本は「52位」の衝撃

「中国の影響力浸透」韓国は13位…パキスタン1位、日本52位

12月8日、台湾の市民団体である「台湾民主実験室」が、「中国の影響力指数2022」を発表しました。これは、どの国にどれくらい中国の影響力が浸透しているかを指数化したもので、世界82カ国を対象にし、政治、経済、軍事、法、外交、学術、メディア、社会、技術の9分野に中国が及ぼす影響を調査したものです。

実際のランキングや調査結果は、以下で見ることができます。

China Index 2022

それによると、総合でもっとも中国の影響力が強いのはパキスタンでした。インドから独立したパキスタンはもともと親中国として知られ、両国は、中国の新疆ウイグル自治区とパキスタンのグワダル港を鉄道とパイプラインで結ぶという「中国・パキスタン経済回廊(CPEC)」で締結しており、やはり親密度が高いことが示されました。

以下、2位がカンボジア、3位シンガポール、4位タイ、5位ペルーと南アフリカ、7位フィリピン、8位キルギスタン、9位タジキスタン、10位マレーシアと続きます。

その他、主要な国でいえば、台湾は11位、韓国は13位、アメリカ21位、日本52位となっています。

台湾は、メディアと社会の分野において、1位でした。社会については中国からやって来た外省人が多いこともあり、これは順当な結果と思われますが、問題はメディアで中国の浸透工作が進んでいることです。

中国資本あるいは親中資本によるメディア買収により、あからさまな親中論調のメディアも少なくありません。くわえて、台湾では中国によるフェイクニュース流布が大きな問題にもなっています。

中国、台湾にフェイク攻勢 ウクライナに乗じる

ちなみに、それぞれの分野での1位の国を並べると、

政治:南アフリカ
経済:オーストラリア
軍事:カンボジア
法:カンボジア
外交:パキスタン
学術:アメリカ
メディア:台湾、
社会:台湾
技術:パキスタン

となります。

台湾民主実験室の分析によれば、中国にとって、目標の国・地域に「親中」政策を促す上では、圧力をかけるよりもネットワークのつながりを築くことの方が効果的である一方、GDPや1人当たりGDPが高く、汚職の程度が低くなるほど、中国は圧力によって影響力を及ぼそうとしていると分析しています。

たしかに、それぞれの項目でも、汚職が起こりやすい国ほど、内政への中国の影響力が高いことが示されていると思われます。つまり、中国は汚職によって他国の政治に介入しているということです。

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一方、学術分野では、1位のアメリカを筆頭に、2位ドイツ、3位シンガポール、4位カナダ、5位フランスと、欧米勢がランキング上位を占めています。これは孔子学院の有無や、千人計画への参加実績、中国からの留学生・研究員の数などが関係していますが、やはり、欧米の学術部門への浸透工作が進んでいることがわかります。

また、メディアの分野でも1位は台湾でしたが、2位はカナダ、3位ペルー、4位はオーストラリアとドイツ、6位イギリスと、やはり他の分野にくらべて、上位に欧米勢が多く入っています。欧米に対して中国はメディアと教育を通して影響力を強めているということなのでしょう。

一方、日本の総合順位は意外に低い52位でしたが、社会と教育の2つは、各国平均を上回っていました。華僑や中国移民の多さに加えて、やはり孔子学院の数や千人計画に参加する学者、あるいは中国批判を検閲するような組織があることなどが、その要因です。

学術面への中国の浸透は、技術のスパイ工作に加え、親中勢力を育成することにもつながっています。たとえば日本の中国史研究者にしても、中国の意向に沿った意見にしなければ、中国での現地調査の許可が下りないということがあり、侵略史観に染まってきた過去があります。日本学術会議などの動きも、より注意深く観察しておく必要があると思われます。

ただ、他国と比較して、日本での中国の影響力が落ちているのは確かでしょう。背景として、安倍政権の安全保障・対中政策が寄与したことが大きいと思います。

もっとも、日本は長い日中関係のなかで、接近と離反を繰り返してきました。それだけに、潜在的に中国に対する警戒感があると思われます。元中国人の石平さんも、『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP)という書籍を出していますが、日本は894年に遣唐使を廃止して以降、国風文化が花開いていくのです。

現在、日本人の9割が中国の印象を「良くない」と考えています。そうした民間の意識が、政治やメディアにも影響し、かつてのようなあからさまな中国礼賛は少なくなってきているのでしょう。

中国印象「良くない」89% 共同調査、日本の感情悪化

今年は日中国交回復50周年で、10月20日には記念レセプションが開催されましたが、その式典について日本のメディアでの報道も少なく、また、報じられていても、論調はお祝いムードに欠けた、むしろ微妙なものが少なくありませんでした。

日中国交正常化50年「新たな未来を」 祝賀ムードでも透ける温度差

一方、日本人の台湾に対する意識調査では、約8割が台湾に親しみを感じると回答しています。一方、台湾人の60%がもっとも好きな国として日本を挙げておりすべての国でトップ、しかもその割合は過去最高になっています。

約8割が「台湾に親しみ」 日本人意識調査、「友好的」「民主主義」で信頼
台湾 意識調査「最も好きな国」 日本60%で過去最高

日本は、中国の影響よりも台湾の影響のほうが大きいといえるかもしれません。

それはともかく、これからは西側諸国がいかに中国から離れるか(デカップリング)ということが大きなポイントとなっていきます。今回の調査からは、日本はそのトップランナーにいることがわかったと言えるでしょう。

安倍元首相のインド太平洋戦略同様、対中戦略において西側諸国をリードするのは日本なのです。

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