一般のサラリーマンにとって確定申告は基本的に必要ありません。しかし、実は確定申告をすることで税金が戻ってくる場合もあるそうなのです。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では著者で現役税理士の今村仁さんが、還付を受けられるケースとその方法を紹介しています。
確定申告「還付」のツボ
■5年前までさかのぼれる
年末年始の大掃除で、3年前の生命保険料控除証明書がでてきたということもあるかもしれません。
実は、確定申告をしていない一般のサラリーマンの場合、過去5年さかのぼって確定申告(還付申告)をすることができます。
例えば、生命保険料や個人年金保険料、介護保険料を支払っていたのに過去年末調整で証明書を出し忘れていて控除を受けていないとします。
生命保険料及び個人年金保険料、介護保険料は満額で12万円の控除が受けられますので、それが5年分となると、12万円×5年=60万円の控除合計となります。
税率を20%として、税金還付額を試算すると、60万円×20%=12万円となります。
ちょっとした旅行がいけてしまう金額ですので、過去の控除忘れはぜひ還付申告をオススメします。
ちなみにこの過去5年さかのぼれるというのは、医療費控除や扶養控除もOKです。
過去の還付申告は5年以内であればいつでも税務署は受け付けてくれます。
よく確定申告は2月16日から3月15日が受付期間といわれますが、これは事業をやっている人などを主な対象としています。
税金が戻る還付申告については、翌年1月1日から受付は開始されていて、早く申告すれば早く税金が戻ってきます。
■マルっと所得が高い方で控除を受ける
例えば、医療費控除については、その年1月1日から12月31日までに負担した医療費について、確定申告を通じて税の恩典を受けることができる制度ですが、自分が負担したものだけではなく生計一親族が負担したものも合計して対象とすることができます。
例えば、自分や妻子だけではかかった医療費が少なくても、生計一の親に多額の医療費がかかっていた場合は、それらを集計して医療費控除を受けることができます。
ちなみに、生計一親族とは、同じ財布で生活している6親等内の血族及び3親等内の姻族を指します。
同居している場合は普通問題となりませんが、別居している場合でも、「仕送りをしている親の医療費」、「東京の大学に行った息子の医療費」、「同居していた娘の結婚前に支払った医療費」などは対象となりますので忘れず集計しましょう。
またよくある勘違いですが、医療費控除の適用を受けられるバーを「年間10万円」だと思っているケースですが、これは厳密には間違いで、正しくは、「年間10万円」か「総所得金額等の5%」を超えて医療費がかかった場合に対象となります(どちらか低いほう)。
例えば、年収250万円のサラリーマンの場合、所得は167万円でその5%は167万円×5%=83,500円となります。
この場合、年間10万円以下でも医療費控除を受けることができます。
さらには、自分の年収が高く妻や親の年収が低い場合で、医療費の1年集計が10万円以下であれば、妻や親で医療費控除を受ける確定申告をしてみるのも一考です。
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