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Taito City, Tokyo, Japan - June 24 2022: the exterior of Akindo Sushiro a conveyor belt sushi restaurant chain.

スシロー“ペロペロ事件”で幕を開けた今年の日本に「性善説」は通用しない

SNSで発信され、多くの人たちを騒がせている若者による飲食店での迷惑行為。メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』著者の吉田さんは、スシローのペロペロ事件から「哲学」について思いを馳せながら、それでも若い世代に対して期待を寄せているとしてエールを送っています。

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スシロー“ペロペロ事件と宮台氏襲撃事件

回転寿司チェーン大手「スシロー」の店内で、醤油ボトルや湯呑をなめて元の場所に戻すなど、客による迷惑行為が映った動画がSNSで拡散された。

倫理観もへったくれもない。

テレビ、新聞などのメディアが報じ、SNSでは当事者の個人情報が拡散されるなど大騒動になった。収拾の兆しが見えない。この動画は1月29日頃、SNSに投稿された。

見た方も多いと思う。僕はTwitterで最初に見た時に、Z世代のヤバさが恐怖にさえなった。勿論、これはZ世代すべての人がペロリストではないことは100も承知だ。

しかし、これは今に始まったことなのだろうか?それはないだろう。SNSが無かった時代だって、若くて頭の悪い人たちは存在した。人の迷惑なんて全く関係ない、今が楽しければそれでいい・・といった輩たちだ。

その動画は、スシローの店内ボックス席に座った金髪の少年が、周囲を警戒した様子でキョロキョロながら、手にしていた備え付けの醤油ボトルを舐める。撮影者は「えっ、キモっ」と呟くが、止める素振りはみられない。

一体、だれが、どんな気持ちで撮影したのか、そして、どこから拡散されたのかはよくわからない。父親が動画を撮っているなどという噂があったが週刊ポストの取材で本人は否定した。

金髪の少年は指を口の中に入れ、レーン上の寿司になすりつけようとするものの、寿司が回ってこず、「来い早く。来うへんなぁ」と苛立った様子を見せた。

すると、レーン上に積み上げられた湯呑みを手に取り、ベロベロと飲み口を舐め回し、再び元の位置に戻した。

ようやく寿司が回ってくると、幾度となく指先をペロペロと舐め、レーン上の寿司に何度もなすりつけた。48秒の動画は、カメラ目線の少年がキメ顔でグッドポーズをする姿で終えられていた。

この動画が投稿されると、SNSでは「スシローペロペロ事件」などと話題を呼び、またたく間に拡散された。

流出元になった動画は2月2日時点で3800万回以上再生されている。さらに、ネット上では金髪の少年の個人情報が拡散され、氏名だけでなく高校生であること、バイト先、中学校の卒業アルバムの写真まで流されている。

SNSの便利さと、そして恐ろしいほどのスピードが加速する。

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スシローを運営する「あきんどスシロー」は1月30日に当該店舗のすべての湯呑みの洗浄、しょうゆボトルの入れ替えを実施したことを公表。

2月1日に迷惑行為を行なった当事者と保護者から謝罪を受けたことを公表したが、被害届を提出し、「引き続き、刑事と民事の両面から厳正に対処する」としている。

そして、スシローの株価は1月31日だけで145円下落し、時価総額は170億円近く下がった。

スシローのみならず、回転寿司という業態そのものへの消費者の安心感とイメージを悪化させる重大な事態となった。この高校生は意気消沈し、猛省して、父親は泣きながら謝罪したという。

この状態をみていて、韓非子を思い出した。

中国の戦国時代、不朽の名著として知られる、韓非子の「形名参同」という書がある。

国家を強くするための具体的な方法が書かれているものだ。

ここでの「形」とは「実際にやったこと(実績)」を意味し、「名」とは「やりますと明言したこと(約束) 」を意味するのであるが、「形名参同」とは、

要するに、「家臣が実際にやったことと、やりますと明言したことが同じであったかどうかをちゃんと参照(比較)して評価しなさい」と言うことである。

韓非子は次のように説明している。

「形名参同」とは、言葉と事実を一致させることを言うのである。家臣が言説を述べ、王がその言説によって、仕事を授け、その仕事に応じた功績を求める。

功績がその仕事に当たり、その仕事がその言説に当たれば、賞し、功績がその仕事に当たらず、その仕事が言説に当たらなければ罰する。

故に群臣は、その言説が大きくとも、功績が小さいものは罰せられる。功が小さいことを罰するのではなくて、功績が名辞と当たらないことを罰するのである」

やってはいけないことをやってしまったら、きちんと罰を与えなさい。そうしなければ繰り返される。簡単に言ってしまえばこんな感じになる。

悪人はどこまでいっても悪人で、徒党を組み、悪党という集団となる。性善説って美しいが、そんな簡単に「すべては善から生まれてきた」とはいいがたい。

100億円以上の損害賠償を実際にスシローが求めるかどうかはまだわからないが、「刑事と民事の両面から厳正に対処する」としている以上、厳罰は免れないだろう。

勿論、支払えるわけはない。結局は自己破産しかないのだが、この種の悪行の支払い義務は一生残るという。ということは、父親も本人も一生損害賠償額の支払いをし続けなければならないということ。人生が一瞬で飛んでしまった。

スシローを運営する「あきんどスシロー」の株価チャートはこの事件をきっかけに大幅に間が空き下落した。ホリエモンは更に恐ろしいことをいっていた。ここで空売り仕掛けて大儲けする奴がでてくるのではと懸念していたのだ。

実際に頭のいい悪党集団は厄介だ。この事件を裏でわざと仕掛けて、ヒッソリと株価の影響で大儲けする悪党頭脳集団がいてもおかしくないなと思ってしまう。

間違いなく人間は性悪説に基づいて、2023年はスタートしてしまっているではないか。

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倫理観や哲学・宗教などは、 残念ながらビジネスには役立たない。だから、積極的には学ばない。しかし、今こそ、人間として良心の復興、道義、真心などを真に学ばなければならない時なのだろう。

あまり宗教チックになりたくないし、スピ系の話をするつもりもないので、「哲学」に焦点を絞りたい。

ただ、イメージ的に、そもそも哲学者って無職が多い気もする(失礼)

実際に過去の哲学者は、仕事もロクにしていないし、結婚もせずに生涯を終える…など、当時アウトローと呼ばれていた人がほとんどなのだ。

では、哲学書は一体誰に向けて書かれているのだろう?

“思考の物語”を楽しめる人に向けて書かれているのだろうと思う。要は考えることが好きな人向けだ。

そもそも「哲学」とは一体何だろう?

哲学とは、「考えるのってチョー楽しいじゃん!」が知れる学問ではないだろうか。一般的な「哲学」の英訳が「フィロソフィー(philosophy)」

「フィロソフィー(philosophy)」って何だろう?

これは「知恵を愛そう」、要するに「考えるのが大好き!」という意味らしい。「哲学って何ですか?」を簡単に答えたいときは、このフィロソフィーの意味を答えるといいのかもしれない。

つまり「哲学とは考えることを愛す学問ですよ!」ってこと。

もうすこし突っ込んでみると、「メタフィジックス」という言葉があった。「メタ」は上位、「フィジックス」は物質という意味で、これは、考えることで物質の新しい法則や本質、意味、価値に気がつくということ。

少し深掘りすると、

私たちの世界には、机やイスなどの触れられる物質、つまり「物」がある。この物をただ使うだけではなく、さらに上の思考、つまり物に触れたり見たりするだけではなく、「本質」を考える思考を指す。

たとえば原始時代を思い浮かべてみると・・・。周辺には石がある。そこで頭のいい人は、単純に石を使うだけではなく、石しかないという状況から新しい法則を考えはじめる。

新しい法則とはどういうことなのだろうか?

「石を落としてみるとみんな同じように下に落ちていく」というように、ただそこに転がっている石には「こんな落ち方をする法則があるんだ」と気がつく。

今まで物だけしかない世界で生きていた人たちが「あれ? これってなんだろう?」と気がつき、考えはじめる。それが「メタフィジックス」だという。

私たちは生まれたときから当たり前に、物の法則や価値を知っているが、「なんでこんな物があるのかな? 何ができるのかな?」と先祖が考えたことによって、法則や価値が生まれてきた。

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そして3つ目は、「哲学とは新しい価値・概念(言葉)を作り出す活動のこと」というのがある。これは飲茶という哲学関係の書籍を出している人の考えらしい。

「メタフィジックス」と似ているが、たとえばたくさんの石のなかに一つだけ綺麗な石があったら「ダイヤモンド」などの名前が付くはずだ。

草木なども一緒で、食べられる草だと分かれば「草」ではなく「ヨモギ」などと見分けるために名前をつける。

つまり価値を発見した瞬間に、新しい言葉や概念が発生するわけ。

「哲学=新しいものを生み出す考え方」とも言え、そう考えると、哲学のおかげで価値や言葉が生まれてきているともいえる。

哲学は「今ある価値を問い直す、更新する、正体を探ってバージョンアップする」というイメージだとよりわかりやすいかもしれない。

まさに、正気を失っている大馬鹿どもが学ばなければならないことなのだ。

哲学を学ぶメリットは「人間の思考の構造を知り、物事を俯瞰して見られるようになること」

「友情」や「愛」など、今僕たちが当たり前に知っていることが、何をきっかけにして生まれたのかを知ることもできる。

自分自身の思考を深めるために学ぶことは有意義だと感じてならない。そして、この部分こそ、現代人が欠落している部分だとも感じる。

特定の哲学者の言葉や考えを学び、それをそのまま自分に転用して活かすのではなく、哲学を通じて「思考の深め方」を知ることではじめて役に立つようになるのではないだろうか。

たとえば、堀江貴文さんはよく「イノベーション」という言葉を使う。それは、彼が「イノベーション」という言葉に価値を感じ、大切にしているからこそよく使っているだけということ。

だから使う言葉によって、その人が何を大切にしているかが見えてくるのではないだろうか。よく学び、言語化していくということは人間としてより高みへ昇るために避けては通れない。

そして、このようなくだらない所作から自分自身を回避していく方法の一つだろう。

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言葉の価値観は日本や海外でも大きく違う。

たとえば、海外では兄も弟も「brother(ブラザー)」という。

しかし、日本では「兄・弟」と分けている。これは海外では兄弟というものは年齢関係なくフラットに扱われるもので、日本では上下関係を重んじている…とも考えられる。

国々によって価値基準が微妙に違うことを知るだけでも立ち位置がわかるではないか。

知らず知らずのうちに、自分で言葉や物事の価値の取捨選択をしているのに気づいていくのも面白い。

資本主義社会システムの中で、「いかに売上を伸ばすか」という問いかけが疲弊している現在にこの事件は起こった。スシローの株価が急落してどうにかしたいという経営者の気持ちは痛いほど良くわかる。

でも、なぜ、ペロペロ事件が起こったのか?動機に関しては詳細に表に出てこない。個人個人の思想は自由だが、自由だからこそ、思考形態に関して、正しい見方、聞き方、生き方までもが評価される時代になってきた。

昨今の殺人事件しかり、なぜその人を殺さなければならなかったのか?殺したいという動機の検証がいま求められている。

その良い例が最近あった。

東京 八王子の東京都立大学で、教授で社会学者の宮台真司さんが刃物で襲われ重傷を負った事件だ。

容疑者とみられる41歳の男が事件から2週間余りあとに死亡していたことが警視庁への取材で分かった。

これを受けて宮台さんは1日、インターネット放送局の番組の中で心境を語った。

「気持ちのふんぎりがつきにくい。動機が分からないので釈然としない気持ちで、問題を解決できたという気持ちにならないまま先に進むのが残念だ」などと述べた。

自分が「襲撃」されたという事実よりも「動機」が知りたいと真っ先に語った。

更に、「いろいろな人がいろいろな状況で生きている中でことばが社会にどのような影響を与えたり、受け止められたりするのかが分かるのは僕にとっては非常に重要なことだ」と話した。

そして、最後に「憎しみよりも悲しい気持ちがある。人が死ぬのはどんな理由があれ悲しい。悲しみを受け止めるにはものごとの背景が分かり、どれが手当てできてどれができないのかがはっきりすることによってだ」とも話したのだ。

憎しみよりも悲しい気持ちがある。

とても含蓄のある、深い言葉だった。

だからこそ、倫理・哲学・宗教などをきっかけとして、自分自身が自分自身に対して考え続けることで、見いだせるものが必要なのだ。

忘れ始めている「道義」 というものをしっかりと見失わないように、地に足をつけて、思いやりのある、一歩を踏み出す存在が増えればいい。

そのための韓非子的な処罰だと飲み込んだ。

次世代を担う、Z世代に対して心から応援する・・・拙いオヤジの独り言でした。

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医療機器メーカー勤務を経て、2000年7月に整体院にて独立開業。 一日200名以上の整体院に成長。その後7店舗展開。独立専門整体スクール開校し、生徒は全国で活躍している。 15万2000人以上を施術。整体スクールは650名以上の整体師を輩出。現在も施術及び施術指導継続中。 店舗立ち上げから閉鎖まですべて体験し、やりたくないことをやめ、やりたいことにエネルギーを集中させる人生へのシフト。 医療機器メーカー時代に得た生活習慣病に対する知識と経験を踏まえてヴィッシュ整体法を創始。 著書に「集客革命」「でも、大丈夫!!」「ぶっちぎり集客力」すべて現代書林刊がある。 JPMA日本理学手技療法協会代表理事 フィットバランス療術学院 学院長 エネルギー整体Vitsyu-Yoga 院長 趣味はトレイルWalking&Running。愛犬はアメコカ女の子“アビィ”

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