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Piano keyboard with headphones for music

YOASOBIも米津玄師も。流行の「タイパ」が商品開発に必要なワケ

「コスパ」という言葉はすでに浸透していますが、最近では「タイパ」(タイムパフォーマンス)もという言葉も流行語になっています。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では、MBAホルダーの理央 周さんが、 製品の開発に「タイパ」を取り入れる方法について、音楽業界を事例にして解説しています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

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真似のできない“差異化”をしよう!タイパを付加価値にするアーティスト

今号では、「ニーズとしての時短」、について考えていきたいと思います。

少し前から、時間の使い方って大事だ、という認識が増えている気がします。

コロナでの巣ごもりの時期を経て、家の中で過ごす時間が増えたことにともなって、家の中、自分がやることを、見直す機運が高まってきました。

さらにリモートワークが普及し、通勤時間を含めた移動する時間が減り、自分で“コントロール”できる時間が、増えました。

そして、コロナ禍が収まりつつある中での、その動きは元には戻りませんよね。

こんな消費者の環境の変化に伴う、行動と心理状態の変化の中、「自分が使える時間」は増えたはずです。

となると、人間は欲が出て、「もっといい時間の使い方があるはずだ」などと考える人も増えたのでしょう。

時間に対する見方が変わり、時間に対する価値観も変わってきています。それに伴って、時短の方法が、少し変わってきているのです。

以前、日経新聞に面白い記事が載っていました。ヒット曲のイントロが短くなっているそうなのです。私が若い頃のヒット曲でいえば、泳げたいやきくんは21秒、ラブストーリーは突然には39秒だったそうです。イントロ当てクイズも流行ったように、イントロを聞くだけで何の曲かわかりますよね。

ところが、ここ最近のヒット曲では様子が違います。

YOASOBIの『夜に駆ける』とか、米津玄師さんの『M八七(えむはちじゅうなな)』なんかはイントロゼロ、とのことです。

いきなり曲が始まる、という感じですよね。

これでは、イントロ当てゲームもできません…。

この背景には、スポティファイやアマゾンミュージックなど、サブスクの聴き放題サービスが普及し、気軽に次の曲にスキップできるようになったため、サビまで待ちきれないときは、飛ばされてしまう、というような背景もあるそうなのです。

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これって、音楽を聞く時だけに限りませんよね。

Tverのような、テレビの見逃し配信も、ネットで見る時には、気に入ったところまで飛ばしてみることもできます。これはYouTubeで動画を見るときなんかも同じです。

隙間時間で見たり聞いたりする中、ITのおかげで便利になり、このようにスキップすることで、使いたくない時間は使わない、といった風潮になってきている、ということなのです。

このような現象を、品質とお値打ち価格をどう見るかという尺度の、コストパフォーマンスと同じように、「タイムパフォーマンス」と呼びますよね。

略してコスパと呼ぶように、“タイパ”と呼ぶそうです。

音楽の事例を出しましたが、この動きはいろいろな業界で見らます。

キッコーマンは、調理時間を減らせる調味料を出していますし、家電メーカーも、入れる洗剤をいちいち測らなくてもいい機能を、洗濯機につけていたりします。

マーケティングって、いいものを作ることが大前提なのですが、物や情報が溢れている今、私たちの周りには「いいものだらけ」ですよね。

そんな中で、「同じいいものなら、時間がかからないものにしよう」という、時短に価値観を見出す人が増えているのです。

そして、ここが大事なのですが、単なる時間短縮、という機能的なことだけではなく、時間を「コスト換算」するように、自分が得るものと、犠牲にするものとを比べて、お得感を考える“タイパ”で、考える層が増えてきていることが重要なポイントです。

マーケティングで最初にすべきは差別化なのですが、製品やサービスを開発するときに、時間という軸を取り入れて、開発する時代になってきたのです。

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image by: Shutterstock.com

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ビジネス・仕事に大事なのは、情報のキモに「気づき」どう仕事に「活かす」かです。トレンドやヒット商品には共通する「仕掛け」と「思考の枠組み」があります。このメルマガでは、AI、5G、シェアリングなどのニュースや事例をもとに、私の経験とMBAのフレームワークを使い「情報の何に気づくべきか?」という勘どころを解説していきます。現状を打破したい企画マン・営業マン、経営者の方が、カタくなっている頭をほぐし情報を気づきに変えるトレーニングに使える内容です。

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