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日本だけがノーガード。TikTokで「中国から情報を抜かれ放題」になった国家の末路

情報漏洩防止の観点から、世界各国が規制を強化する中国系企業運営のTikTok。しかしながら日本政府の危機意識は相変わらず低いと言わざるを得ないようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、欧米を始めとする各国のTikTokを巡る動きを紹介するとともに、日本の対応の緩さを指摘。その上で日本政府に対して、早期のスパイ防止法制定を強く訴えています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年3月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】TikTokをめぐる日本の危機意識のあまりのお粗末さ

カナダ 政府端末でTikTokの使用を禁止 「安全性容認できない水準」

先週のメルマガでは、カナダの総選挙に中国が介入した疑惑を取り上げましたが、そのカナダ政府は2月27日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」について、政府が支給した携帯端末での使用を禁止すると発表しました。カナダ政府によれば、プライバシーや情報セキュリティの観点で「安全性が容認できないレベルのリスクがある」と判断したそうです。

【関連】もはや手遅れの日本。中国に「政治介入され放題」でも暴かれぬ不可解

TikTokについては、アメリカで昨年12月に、連邦政府のパソコンやスマートフォンでの仕様を禁止する法律が成立しましたが、バイデン政権はカナダ政府の発表の同日、連邦政府の機器からTikTokを30日以内に削除するように指示しました。

カナダ政府「TikTok」禁止、アメリカも30日以内に削除指示 「許容できないレベルのリスク」

こうした動きはヨーロッパでも加速しています。2月23日には欧州委員会が職員の携帯端末でのTikTok利用を禁止し、EU理事会でもこれに続きました。そして28日には欧州議会が職員の利用禁止を決定しています。

欧州議会も職員にTikTok利用禁止、中国への情報流出懸念拡大

もちろん、中国の直接の脅威に接している台湾やインドでも、TikTokをはじめとする中華アプリを公的機関が使用することを禁じています。情報漏洩の可能性があるのはもちろんのこと、フェイクニュースや民衆扇動の道具になってしまうからです。

台湾、公的機関でのTikTok使用を禁止=国家安全保障上の懸念で

もちろんTikTok側は事実無根と反論し、また、中国政府も「不当弾圧」と反発していますが、TikTokはかつて中国に批判的なコンテンツを検閲していた過去があります。その検閲は、中国のウイグル人イスラム教徒の窮状に関することにまで及んでおり、2020年11月に開催されたイギリス議会の公聴会では、TikTok側も検閲をしていたことを認めています。

イギリスのTikTok幹部、過去の検閲を認める…中国政府の関与は改めて否定

2022年11月、米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、数百万人に上るユーザーのデータやソフトウエアを管理する目的で中国政府がこのアプリを利用する恐れがあると警告、さらに、ユーザーが次にどの動画を視聴するかを決める推薦アルゴリズムは、「中国政府が影響力作戦を選択した場合に利用されかねない」と述べています。

FBI長官、TikTokに重ねて懸念表明-中国政府に利用される恐れ

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中国には、2017年に施行された「国家情報法」という法律があります。この第7条には「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する」と定められています。

TikTokを運営するのはバイトダンスという会社ですが、同社が中国企業であるかぎり、国の情報活動に協力を行わなくてはならないのです。中国の情報活動とは、つまりは、諜報や宣伝工作です。

TikTokの運営会社がいくら中国政府への情報提供や協力を否定しても、中国の法律がそうなっている以上、無理な話なのです。下手に拒否すれば、アリババグループのジャック・マーのように政府から圧力をかけられ、場合によっては逮捕や死刑もありえます。だから中国政府には絶対にさからえないのです。政府に顧客データの提出を求められれば、従わざるをえません。

さて、日本の動きですが、2月27日、松野博一官房長官は記者会見で、政府職員が使用する公用の情報端末のうち、機密情報を扱う機器を対象に利用を禁止していると述べました。

公用スマホTikTokなど禁止 松野氏、機密情報扱う機器で

「機密情報を扱う機器を対象にしている」とは、ずいぶん緩いと言わざるをえません。本来であれば、欧米同様、すべての公用情報端末で禁止すべきでしょう。

そもそも日本政府は昨年、デジタル庁がマイナンバー普及のために、TikTokと連携して広報動画を作成しました。そのときにも、情報漏洩の懸念から疑問の声が少なくありませんでした。デジタル庁の河野太郎大臣は「機密が漏れるというようなことは全くない。今回の利用について何か問題があるということはないと思う」と述べていますが、どこまで検証しているのでしょうか。

2019年から2021年にかけて、日本上空でたびたび確認された気球について、防衛省は今年2月になってようやく「中国の偵察用気球だと強く推定される」という見解を発表しましたが、これもアメリカ政府がアメリカに侵入した気球を「中国の偵察用気球だ」と断定して撃墜したから、今になって「安全保障上の脅威だった」と言い出したわけで、あまりにも頼りない態度です。

とくに2020年6月に宮城県上空で気球が目撃された際には、やはり当時の河野防衛大臣は「安全保障に影響はない」と説明し、気球の行き先について「気球に聞いてください」と答えていました。

河野大臣が「安全保障に問題はない」と答えた事案が、海外で次々と安全保障の脅威として浮上してきているわけです。あまりに能天気すぎるでしょう。あるいは、やはり父親と同様に媚中派なのでしょうか。

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河野大臣の父親・河野洋平氏は、慰安婦問題に火をつけることになった「河野談話」で有名ですが、中国に対しても徹底的にへつらう姿勢を続けてきました。

たとえば1995年、アセアン外相会議に出席するためにタイに向かう途中、台風に遭遇したため、台北の空港に緊急着陸したことがありました。このとき河野洋平氏は飛行機から一歩も出ませんでした。しかもそのことを中国の銭其シン外相に、「自分は台湾の地に一歩も足を踏み入れなかった」とわざわざ「ご報告」したのです。中国に忠誠を誓い、褒めてもらいたいという気持ちが現れています。

また、2001年に台湾の李登輝元総統が病気治療のため日本を訪問しようとした際も、中国の意向に沿うために、ビザ発給を頑なに反対したのです。このとき李登輝元総統は、「日本政府の肝っ玉はネズミより小さい」と批判しました。

河野太郎氏も、結局は中国の意向に忖度しているとしたら、これは日本にとって極めて危険なことです。サイバー空間という、中国に狙われやすい分野の大臣であるだけに、そうでないことを祈るばかりです。

いずれにせよ、相変わらず日本は危機感が希薄だと言わざるをえません。何度も繰り返しますが、日本は早期にスパイ防止法を制定すべきですし、日本国憲法改正も急ぐべきです。

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