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教育費を削って大軍拡?狂った岸田政権が加速させる「公立学校ブラック化」

国の未来を大きく左右すると言っても過言ではない公教育。しかし日本においては、その質の担保が困難な状況になりつつあるようです。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔さんが、我が国の公立学校の教員を取り巻く厳しい現実を紹介。その上で、彼らの待遇を改善することなく軍拡に走る岸田首相を強く批判しています。

過労死ライン超の残業時間でも手当なし。教師をブラック職業にした「悪法」と公教育を見捨てた自民党政権

一般に教育費には、各家庭が支出する分と、国や自治体が税金から支出する分の2通りがあります。

後者の支出を「公的教育費」といいますが、なんとGDPに占める割合で比較した公的教育費で、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟38ヶ国の中でも、ほぼ最低ランクに位置しているのです。

ちなみに、これは各国のGDPに占める割合ですから、金額の大小を表してはいません。あくまでも国力(国内総生産)における比率を表したものなのです。

2022年の10月3日にOECDが発表した2019年時点の教育機関への公的支出では、日本はGDPのたったの2.8%でした。

最下位は2.7%のアイルランドでしたが、前年の2018時点では、日本が最下位のビリだったので、最下位争いのドングリの背比べの数字となっています。

OECD加盟38ヵ国の平均は、4.1%ですから、いかに日本が公教育にカネをケチっているかがわかります。

最も高かったのは、ノルウェーの6.4%で、デンマーク、アイスランド、スウェーデンなどの北欧諸国が上位を占めています。

教育は、国家の屋台骨を形成する重要な使命を帯びた分野です。

政府が真剣に取り組まなければならない分野でありながら、日本の文科省の対応は非常に鈍いものになっているのです。

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首相も国会もイカレ放題。教育を蔑ろにして進める狂った大軍拡

たとえば、岸田政権は、2027年までに防衛費を、現時点のGDP比1%(5兆円)から2%(11兆円)にしようと暴走していますが、公教育をボロボロにしておいて、軍拡に向かっていこう──というのですから狂気の沙汰なのです。

物価が高騰し、国民生活がますます苦しくなる中、大学生の5割が奨学金(貸与型)という借金を背負わされて社会に出ていく──というのが日本の高等教育の現実でもあります。

軍拡のために、増税までを口にする世襲3代目の岸田首相は、名門の開成高校出身ながら、2浪までして早稲田に入学した経歴をもつボンボンです。

庶民の生活の苦しさなど露ほどにも感じていないのでしょう。

ちなみに、こうした岸田政権の大軍拡に明確に反対を唱えているのは、日本では、野党の「日本共産党」と「れいわ新選組」のたったの2党しかない──というお寒い・恐るべき状況にも瞠目(どうもく)すべきでしょう。

国会も相当イカレた状態になっているからです

2021年時点で日本の軍事費は世界で9位です。

これを、GDP比2%の軍事費にしたら、アメリカ(約103兆円=GDP比3.5%)、中国(約38兆円=GDP比1.74%)に次ぐ、世界の軍事費で第3位(約11兆円=GDP比2%)にまでなってしまいます。

今さら軍事費を増やして、何がしたいのでしょうか。

ロシアのウクライナ侵攻、中国の東南アジアでの軍事的挑発行動、北朝鮮のミサイル乱射などで危機を煽られるままに、アメリカの言いなりの政治が強まるばかりです。

すでに本メルマガでも言及していますが、日本の軍拡は、アメリカの兵器を買ってアメリカを儲けさせ、中国や北朝鮮による有事の際には、アメリカが同盟国の日本だけを先頭に立たせて戦わせる「オフショア・コントロール戦略」に導かれたものになってきています。

つまり、米中の全面戦争を避けるため、日本を盾とする軍事戦略です。

ウクライナの二の舞のような状況を日本にも招く、日本を戦場にするかのような軍拡に他ならないのです。

敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有などという「先制攻撃」ととらえられかねないミサイルを発射すれば、返り討ちで日本の58基の原発には次々と膨大なミサイル攻撃がなされるでしょう。

またたくうちに放射能汚染で、あっというまに日本国中で住めるところがなくなるのです。

現職の浜田防衛大臣でさえもが、報復攻撃をされることで、日本にも甚大な被害が起きる可能性がある(2023年2月6日衆院予算委員会)──と認めているのですから、どう考えても気が狂った大軍拡なのです。

【関連】原発にミサイル直撃なら日本国民は全員死亡。自民党が推し進める「軍拡」のお先真っ暗

これが日本の正しい防衛戦略といえるのでしょうか。

世襲ボンボンだらけ(約4割)の自民党の驕慢(きょうまん)政治に、結果的に国民が殺されることにもなるのです。

国民は今こそ目覚めなければならないでしょう。

貧困が連鎖する格差社会の日本で、これ以上に軍拡にカネを使うより、他に使うべきところが山積しているからです。

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現場が見えない文科省も盛大に大外し。「教師のバトン」大炎上で見直し迫られた「給特法」

2021年3月、文部科学省は、教師自身に「教師の魅力」を次世代に発信してもらい、教師のなり手不足の解消を目指そうと、「教師のバトン」というTwitterやnoteなどSNS上におけるプロジェクトをはじめました。

ところが、教師自身による「仕事の魅力」の発信どころか、現場の教師からの過酷な労働現場の実態を訴える投稿が相次いで、たちまちSNSは大炎上してしまいます。

そして、その結果、文科省からは「長時間労働の改善、部活動の負担・顧問制度の廃止、給特法の改正、教職員定数の改善、免許更新制度の廃止」といった問題点がまとめられ、改善に取り組むべく趣旨が返答されて、ようやくSNSの大炎上は小康状態に落ち着きます。

ところで、こうした改善が求められる課題のうちの「給特法」というのはいったい何なのでしょうか。

これは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称です。

教育現場をブラック職場にした「給特法」という時代錯誤の悪法

敗戦後は、教員も一般労働者と同様に労働基準法が適用されていたものでした。

しかし、教員の仕事は自発的な職務も多く、勤務時間の管理が難しいので、さまざまな問題が生じ、時間外手当を求める訴訟が連発される事態にまでなったのです。

そのため、これを解決すべく生まれたのが、52年前の1971年に制定された「給特法」でした。

教員の「職務の特殊性」に基づき、当時月間の時間外労働が8時間程度とされていたので、これを残業時間に相当させようと、4%の月額教職調整額を「給特法」で支給することにしたのでした。

これにより、時間外勤務手当や休日勤務手当は支給しないと定めたのがこの法律だったのです。

そのため、公立学校では、労働基準法の残業代支払い義務がなくなりました。結果的に、これが労働管理を野放しにします。

特別に残業代が認められるのは「校外実習など」「修学旅行などの学校行事」「職員会議」「非常災害時に関する業務」の4項目だけとなり、これら以外は、建前上教員は残業を命じられることがなくなったのです。

つまり、教員は限りなく、自主的な勤務による「サービス残業」が強いられることになったわけです。

しかし、現在の公立学校での教員の仕事は、この「給特法」が出来た時代の1971年と比べ、圧倒的に多くなっています。

92時間34分。過労死ラインを遥かに超える残業時間

公立学校の教員の仕事は50年前と比べ激増している!

なぜ、教員の仕事が増えたのでしょうか。

本来の業務である授業の他に、複数の部活顧問の対応、保護者との連携対応、いじめや不登校児童への対応、貧困・虐待を抱える家庭の児童への対応、外国人児童への対応、インクルーシブ教育(発達障害などの有無にかかわらず、全ての子供を受け入れる教育)への対応、道徳教育の拡充、パソコンを使った一人一台端末環境の推進やデータ活用への対応、進路指導、キャリア教育への対応……などなど、教員の仕事は今日激増しているのです。

土曜・日曜・祝日などの休日出勤まで余儀なくされるので、ふつうの休暇さえ満足にとれていないのが現実です。

OECDの調査でも、「日本の公立学校教員の激務は世界一」と認定されるにいたっています。

その結果、全日本教職員組合の発表によれば、小中高の教員の1カ月当たりの平均残業時間が92時間34分にのぼります。

過労死ラインとされる80時間をゆうに超えているのです(過労死ラインの前提は一日4時間以上の残業で月に20日勤務の場合)。

かつて、教員の仕事は「やりがいのある魅力的な仕事」でした。

しかし、こうした厳しい現実を知れば、公立学校の教員を目指す人は減少していきます。

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志望者激減で懸念される「教員の質」と急がれる待遇改善

文科省の発表では、2022年度採用の小中高の公立学校教員採用試験の倍率が、全体で3.7倍という過去最低の水準になりました。

小学校は2.5倍(過去最低)、中学校は4.7倍、高校は5.4倍だったのです。

不景気の時には、10倍以上の競争率になったこともある公立学校教員採用試験が、こんな緩い状態になった結果、今日では「教員の質」が懸念される事態にまで及んでいます。

待遇改善が急務でしょう。

それには公的教育への大幅な予算措置が必要なのです。

軍拡に莫大なカネを回している場合ではないのです。

公立学校の教員の残業代をまともに支払えば、およそ1兆円にまで及ぶ──という識者の試算もあるのです。

また、教員の待遇を改善するためには、教員の数を増やすだけでなく、教員の補助者の増員も必要です。

もはや、公的教育への財政支援を強化するしか、解決策はないのです。

こうした問題を遅々として改善しない政権与党の自民・公明両党には、来たるべき統一地方選挙で一発かましてあげる──のが妥当ともいえるでしょう。

統一教会とズブズブだった自民党政権では、文科省による統一教会への「質問権行使」を昨年11月から4回も行っていますが、いっこうに統一教会への解散命令請求を行いません。

近々、5回目の質問権行使を行う──という堂々巡りです。

これはどういうことでしょうか。

統一教会の不法行為は数々の判決で明らかにもかかわらず、ぐだぐだと統一教会への質問権を行使しているのは、時間稼ぎにしか見えないでしょう。

世論が忘れてくれるのを待って、 統一教会の生き残りを画策している ──としか、筆者には思えません。

日本人のカネを奪い、韓国の教団や北朝鮮にまで流して潤わせてきた統一教会の悪徳の極みの所業は、いまや明白です。

にもかかわらず、統一教会の延命を図ろうとする自民党なのですから、反日・亡国・売国の徒と断罪されてしかるべきです。

統一教会にどれだけ自民党は弱味を握られているのか、統一教会解散の行方にも注目していきたいところです。

以上、今回はここまでといたします。

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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【著者】 神樹兵輔 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週月曜日

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