本来ならばいじめの被害者に寄り添い、問題解決に向け全力で取り組むべき教職員や教育委員会。しかし神戸市に限っては、その役割を完全に放棄しているようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、重大事態いじめを隠蔽するどころか、被害者に対して脅迫まがいの行為を行った神戸市立小学校と同市教育委員会の呆れた実態を紹介。さらに被害社宅を何度も訪れたという男の顔写真を公開しています。
神戸市小学校いじめ隠ぺい事件
問題続きの兵庫県神戸市の市立小学校で、2020年、重大事態に当たるいじめが起きていたことがわかった。
被害者は当時1年生であった男子児童で、明るく元気で勉強にも前向きに挑む子であったが、酷いいじめと学校と市教育委員会が行った隠ぺいや脅迫めいた行為によって、不登校の状態になっている。
いじめは被害男児が椅子に座る瞬間に加害者が椅子を抜き取り、お尻に大あざができるほどの尻もちをつかせ頭を打つなどの他、登下校の駅のホームで絵本バックを振り回して叩かれて、追いかけられるなどの行為を受けて、この暴力によって、被害男児は歯が取れてしまう被害を受けた。
つまり、いじめの態様は殴られたり叩かれたりするなど暴力的な行為であり、いじめが行われた環境や方法、被害状況からすると、頭を打ったり、ホームという一歩間違えば命の危険がある場であることから、被害男児本人も「怖かった」「痛かった」と答えている。
一方、学校はこうした事態が起きても、保護者に連絡しない等の対応の他、加害児童に軽く「ごめんね」程度の謝罪をさせて、被害男児に「いいよ」と無理やり言わせるなどして、何もなかったことにしていた。
この学校においては、文科省の調査への回答でも事実上「不登校ゼロ」と回答しており、加害行為をしてしまった児童への指導はおろか、被害児童のケアなどはしたと評価できるものはなかった。
結果、学校の対応に不信感を抱き、被害を受け続けることを拒絶した被害男児本人は、身の安全と平穏を確保するために、学校に行かないことを決断した。
原級留置(留年)を持ち出す
酷いいじめを受け、学校に対応を求めたけども、何もせず、むしろ被害側が責められるという状況の中、身の安全を確保するために、ホームエディケーションによる学びを選択し、学校に行かないことを選択した被害者と被害家族だが、平穏な日々は続かなかった。
校長からの手紙が届くようになるが、謝罪はわずかに3行のみ、他は、不登校で学校を休むのは良くないという説教であったという。
「その後です。神戸市教育委員会、学校経営支援課というところから、学校長が、なぜ不登校かわからない原因不明の長期欠席をしていると扱われているとして、就学の催告状を職場に送るぞと圧力をかけられたのです。学校で起きた出来事を伝えても、教育委員会であるのに、学校と解決しろの一点張りで、連日、手紙と電話で圧力をかけられたのです」(被害保護者)
そして、神戸市教育委員会は、被害側に究極の選択を迫る。
転校するか登校するか、原級留置(留年)をするか除籍か
つまり、酷いいじめを受け、あからさまな隠ぺいを受けて、それを訴え出ても、本来取り扱うべき行政委員会が法を無視して全く応じず、留年させるぞと脅されたわけである。
被害者を支援するNPO法人が登校圧力をかけているという指摘や市教委の行動が、より被害側を追い詰めたり、不信感を募らせる結果になっていると静かに指摘をしても、校長は「いじめ、不登校はない」と嘘をつき、次の嫌がらせをするようになったのだ。
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父親のいない日を狙い被害者宅を訪れる男の正体
不登校からしばらく、3学期に入ると、登校圧力というレベルではない事態が発生する。
そもそも多くの教育関係者が、被害男児の元気な姿を見ているのにもかかわらず、「不登校だから、安否確認が必要」だとして、神戸市教育委員会は昼夜を問わず、被害者の家に押し掛けるようになる。
いわゆる朝駆け夜討ちである。およそ業務が終わっているだろう19時過ぎ、父がいない残業の日を狙って、母子だけの家の呼び鈴を激しく鳴らし、ドアを叩いたり、長時間に渡って家の周りを歩き回るなどしたという。
「まるで昭和の時代の借金取りのようでした。息子は訪問に怯えて、外出をものすごく警戒するようになってしまいました」(被害男児の母)
これは教育委員会の意に添わぬ被害者を一方的に貶め、虐待であると無理矢理こじつけ、自らの権限と職権をフル活用して、「虐待」だとする、全国的に起きている教育委員会による親子への人権侵害の典型と言えるだろう。
実際、このしつこい訪問は、一時保護を目的としていたことがわかっている。つまり、安否は現認され、虐待が無いことが明らかだったのに、市教委と校長が「虐待だ!」「安否が不明だ!」と騒ぎ続け、訪問を名目に、抵抗があっても制圧できる母子だけがいる時を狙って、無理やりにでも親子を引き離そうと画策したわけである。だまし討ちでも、引き離せばいい。こどもの気持ちなど一切考えない蛮行を行おうとしていたのである。
実際、私は2022年にだが、直接親子との面談もしている。対面して、当時は、すごく怖かった、という話も直接被害男児本人からも聞いている。対面しての印象は、好奇心旺盛で学ぶ意欲や活発に話す小学生であったし、仲の良い親子だと感じた。
そもそも、教育委員会のみならず、校長や教職員が、きちんと安全確保をしたり、いじめ法やガイドラインに則った行動を最低限行っていれば、親子とはきちんと対面で話せたであろうし、交流も持てたはずだ。
神戸市についてはまたかよというところではあるが、この杜撰な対応を超える異次元の違法対応は、この市教委の十八番なのだろうかと思えてしまう。
本件は、被害側に代理人弁護士が就き、かなりの時間がかかったが、やっと第三者委員会要望が市教委に通り、第三者委員会の設置が決まった。
しかし、第三者委員会の設置でも被害家族に苦難が襲い掛かる。
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最も重要な調査を拒絶した第三者委員会サイド
記録によれば、神戸市の教育長が第三者委員会へ委嘱したのは、令和3年12月3日である。
被害保護者は当初から違和感があったようだ。
「第三者委員会の委員の中に神戸市教委の児童生徒課が推薦するという委員がいたはずなんですが、いつの間にかに推薦者が別の職能団体になっていたんです。メールには、学識経験者について当課からの推薦者を含めて検討中とあります。」(被害保護者)
さらに、第三者委員会は、よくある方法だが、被害者とうまくコンタクト取れないから、調査不足で確認ができないからいじめは認定できないという場合があるが、被害者本人の聞き取りを第三者委員会自体が不要と判断したというのだ。被害側には第三者委員会の質問に本人が答える準備は確かにあったが、大人の聞き取りをするような体制で第三者委員会は聞き取りを要求してきたという。被害側が求めていたのは安全配慮であったが、その安全配慮は無視され続け、ついには、もう話も聞く必要がないから、答えなくていい。と第三者委員会側が最も重要な調査を拒絶したわけだ。
これでは、必要な調査が行われず、瑕疵ある調査活動とその認定評価となろう。
被害者側の受難は続く。
調査からかなりの時間が経ち、報告前の中間報告について被害側から要望を出した際の録音によれば、委員は中間報告をしないと突っぱねている。
その理由を被害者側が尋ねたところ、こう答えている。
「ガイドラインについては読んだ。ガイドラインを見ても中間報告というのが、義務とは謳っていない。被害者に寄り添ってとはあるが。しないというのがこちらの意思」
被害者に寄り添うという表れとして、中間報告をするわけだし、調査報告書に添えて被害側から意見書(所見)を出すのにも先に内容がある程度わかっていなければならないなど、必要な事であるから他の第三者委員会では行われるのだが、この委員会は中間報告をなぜ拒むのだろうか。
これは、もはや文科省の重大事態いじめ調査に関するガイドラインを無視すると被害者側に宣言したことになるだろう。
果たして、この第三者委員会はどこに進むのだろうか。
次回は、被害保護者から直接その言葉を皆さんに届けたいと思う。
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神様になったかのようにジャッジ。偽物第三者委の特徴
神戸市はこのような酷い隠ぺいが多いという印象があります。
市議会はこうした事態を重く受け止め、市教委を監督するなり、是正する機関を設けたり、検証する委員会をもって、二度とこうしたことが起きないように、徹底すべきであり、その成果は必ず上げなければならないのではないでしょうか。
一方、第三者委員会などは偽物のいじめ推進員会と本物の正当な第三者委員会に大きく分けることができるというのもあります。
第三者委員会は、原則的に独立した組織ですが、その設置要綱を独自に定め、独立性と公正、中立性に担保する条文を持たねば、基本的に偽物です。稀に委員の属人的な性質が強く教委などの設置者に従わないというケースもありますが、基本的には被害者のためにその真相を突き止める性質が強くなければなりません。
偽物委員会は、いじめ防止対策推進法に基づくいじめの定義をあくまで定義上だとして、法を軽視し、恣意的に加害行為が故意であるかなどを神様になったかのようにジャッジするという特徴があります。
今回のケースはいずれも隠ぺいと不正が蔓延るままであると考えてもいいのではないかと思えます。
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