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「遺伝子組み換え」の文字を消したがる米国。日本の食品表示が“変更”された深い闇

食品のパッケージに記されている遺伝子組換え表示に関する制度が、今年4月1日から大きく変わっていたことをご存知でしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔さんが、遺伝子組み換え食品の表示変更が行われた理由を紹介するとともに、その危険性を徹底解説。さらに日本では表示義務の対象外となっているゲノム編集食品のうち、国内で流通している3品の「実名」を挙げています。

またも国民の命を売り渡し。アメリカの圧力に屈して食品表示を大幅変更の消費者庁

皆様よくご存じの通り、安保条約で同盟関係にある日本は、アメリカの「属国」も同然です。

防衛費をGDPの1%(5.4兆円=2022年)から、2%(11兆円=2027年)にしろーーといわれれば、唯々諾々と日本政府は従います。専守防衛もへったくれもありません。

敵基地攻撃のために、米国の旧式ミサイルでも、何でも買わされ放題だからです。

このため、とうとう米国の「オフショアコントロール戦略」に乗せられて、中国による台湾侵攻の有事が起きた際には、日本の自衛隊が先頭に立って対処しなければならなくなりました。米中の正面衝突を避けるためです。

ちなみに、日本のこの大軍拡に明確に反対の立場をとる野党は、「日本共産党」と「れいわ新選組」だけです。このことはよく覚えておきたいものです。他の野党は条件付きで政府に追従しているのですから。

日本の食品表記から「遺伝子組み換え」という言葉自体を消したい米国

日本の食品表示方法で、アメリカの要請で大きく変更されたものに、1995年4月の「製造年月日表示」の廃止があります。

その時点から「賞味期限」と「消費期限」の記載に変更になったのです。

製造年月日表示では、米国から輸入される食品の輸送期間が長いため、日本の店頭に商品が置かれた時には、製造年月日が日本製食品よりも古いことになります。

それでは、米国の食品販売が不利になるため、変更を迫られたからでした。

今回の遺伝子組み換え食品の「表示変更」も米国からの要請です。「遺伝子組み換えでない」という表記の食品が多いと、遺伝子組み換えの米国産大豆が使われにくいからです。

米国は、日本の食品表記から「遺伝子組み換え」という言葉自体を消したいのです。

大豆の加工食品である「豆腐」「納豆」「味噌」「醤油」「つゆ」などの食品表示から、「遺伝子組み換えでない」という表記がほとんど消え、「分別生産流通管理済み」とか「遺伝子組み換え混入防止管理済み」という 意味不明の表記に代わったのです。

「何のこっちゃ?」という消費者の戸惑いが増えているでしょう。

消費者団体や生協などからも、「わかりにくい」という否定的な声が上がっています。

消費者庁が、米国の圧力に屈して、表記をわざわざわかりにくくした──と批判されているのです。

全輸入量の7割。米国産大豆の93%が遺伝子組換えという衝撃

日本での大豆の年間需要量は350~360万トンですが、国産自給率はわずか6%にすぎません。

ただし、国産大豆の遺伝子組み換え比率は、ほぼゼロです。

つまり、大豆加工食品の多い日本ですが、そのほとんどが輸入品なのです。

大豆の輸入先は、米国73%、ブラジル16%、カナダ10%の順ですが、このうち遺伝子組み換えの生産比率は、米国93%、ブラジル90%、カナダ80%となっています。

海外での農産物の主流は、すでに遺伝子組み換え(GM)なのです。

家畜の飼料になるトウモロコシにおいても同様です。

家畜が遺伝子組み換えのトウモロコシを食べて育ち、人間に食べられるわけですが、その時の肉の表記には、遺伝子組み換えの穀物を食べて育った家畜──といった表記は、まったくありません。

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米に逆らえぬ日本だけが大幅に緩める残留毒性などの基準値

カナダの調査研究では、こうした肉を食べた人たちで、93%の妊婦、80%の胎児の血液から、遺伝子組み換えトウモロコシに含まれるBt毒素(害虫を殺す成分)が発見されています。

おそらく日本でも、同じ結果が出るのではないでしょうか。

海外の穀物生産に、なぜ遺伝子組み換えが多いのか──といえば、主に雑草対策で、次に害虫対策、ウィルス病対策、生産性の向上が挙げられます。

雑草が多いと収穫量が減り、雑草を省く手間も増えます。

たとえば大豆ですが、除草剤を使用しても、「枯れない大豆」を遺伝子組み換えで作ったのです。

トウモロコシや小麦、ジャガイモについても同様です。

雑草対策や病害虫対策で、どんどん遺伝子組み換えの強い作物が作られてきました。

しかし、代表的な除草剤である旧モンサント社のラウンドアップなどのグリホサート系(どんな植物も根まで枯らす非選択性のアミノ酸系)除草剤にも、やがて耐性をもった雑草が生じてしまいます。

そのため、除草剤の効力が落ちると、さらに別の強力な除草剤を使用することにもなります。

すると、その除草剤にも枯れない穀物を作るために、さらに遺伝子組み換えでの作物の種子を作るなど、農業現場ではイタチゴッコがすでに起きているのです。

ちなみに旧モンサント社は、米国に本社を置く巨大多国籍企業であり、世界最大のバイオ化学メーカーです。

世界の遺伝子組み換え市場の9割ものシェアを握っているのです。

1970年代のベトナム戦争時には、ジャングルを掃討するために強力な枯葉剤を作り、100万人以上のベトナムの人々に外形的障害、遺伝疾患、ガンなどの後遺症を残したことでも有名です。環境活動家からはモンサントは「モンサタン(悪魔のモンサント)」などとも呼ばれていました。

現在はドイツの多国籍化学・製薬メーカーのバイエルに買収されて、有名な「モンサント」という企業名は2018年に消えています。

前述の旧モンサント社のグリホサート系除草剤ラウンドアップに対する訴訟は、1万4,000件をこえていますが、バイエル社がこれらを引き継いでいます。

ラウンドアップの散布禁止、販売禁止、使用禁止は世界中の国々に広がっており、北欧諸国、EUでは、厳しく規制されています。豪州、南米でも規制が強化されています。

ベトナムが輸入禁止措置を打ち出した際には、米国の農務長官が激怒し、「世界の農業に壊滅的な打撃を与えることになる」とわざわざ声明まで出しています。

世界の潮流が、発がん性などの疑いが強いとして、規制を強化する中、アメリカに逆らえない日本政府だけが、「発がん性や催奇形性、遺伝毒性は認められなかった。安全性は確保されている」として、大幅に残留毒性などの基準値を緩めています。

このままでは、薬害エイズの二の舞になる──として有識者は批判しています。

海外では、前述の遺伝子組み換えの飼料を食べた家畜の問題だけでなく、遺伝子組み換え作物を食べることで、アレルギーなどの免疫疾患やガン、不妊など、さまざまな健康被害が出ている──といった調査結果が続々と報告されています。

遺伝子組み換え問題は、食品による健康被害が危惧されるだけではありません。

前述の除草剤の空中噴霧により、ガンや白血病、出生異常などの健康被害も数多く報告され、除草剤製造企業へのさまざまな訴訟が数多く行われています。

大豆やトウモロコシの他、小麦の栽培にもグリホサート系の除草剤が使われていることで、食パンからもグリホサート成分が検出されています。

日本人の毛髪検査でも、輸入穀物由来のグリホサートの検出率が68%という研究結果もあるのです。

国産小麦粉からは、グリホサートは一切検出されていません。

食パンを買う時は、国産小麦粉を使った食パンが、安心安全ということになります。

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遺伝子組み換えメ-カーがなかなか触れようとしないこと

厚労省も農水省も消費者庁も、科学的評価で安全性が確認された遺伝子組み換え作物や食品しか、国内流通を認めていない──と主張しています。

しかし、米国の圧力で「遺伝子組み換え表示」そのものを意味不明の表示に変えようとしているのですから、信用できません。

遺伝子組み換えメ-カー自体も、遺伝子組み換えの作物は、他の特定能力をもった植物の遺伝子を取り込んだだけなので、自然界で起きる植物の交配と変わらない──とも主張します。しかし、取り込んだ遺伝子によって、その植物が本来もっていた他の遺伝子への影響については、なかなか触れようとはしていません。

そもそも遺伝子組み換え技術は、自然界では交配しない別の生物から遺伝子をもってくるという、従来の掛け合わせによる品種改良とは大違いの技術なのです。

未知の領域に踏み込んでいるのですから、厳格な取り扱いが必要でしょう。

曖昧な表記にして、「遺伝子組み換え」という言葉そのものを消し去ろうとするかのような動きは断じて許されないはずです。

日本に流通する表示義務すらない「ゲノム編集食品」3品の名

ゲノム編集食品は、「表示義務」の対象外!

危険な動きは、まだあります。

遺伝子組み換えは、他の生物から遺伝子をもってきて、新たな遺伝子を生物に取り込む技術ですが、いっぽうで「ゲノム編集」という技術もあるのです。

これは、植物や魚、家畜のもつ特定の遺伝子を、人工酵素で切断し、突然変異を起こさせる技術です。

遺伝子組み換えは、別の遺伝子の注入ですが、ゲノム編集は特定の遺伝子だけを取り除く技術なのです。

自然界で起こる紫外線や放射線による突然変異は、DNA遺伝子のどの部分が切れるかはわかりません。

しかし、「ゲノム編集技術」はピンポイントで、狙った遺伝子の働きを失わせるのです。

これまた、他の遺伝子にどんな影響(オフターゲット変異)を与えるのかも、未知の領域なのです。

このゲノム編集技術を使った食品が、すでに日本でも流通しはじめているものの、消費者庁は、こちらについては「表示義務」の対象から外してしまいました。

私たちは、今後知らないうちに「ゲノム編集」が施された食品を食べさせられるかどうか、わからなくなったのです。

表示義務をつけると、またアメリカからの外圧で混乱するので、最初から逃げ腰になっているのかもしれません。

ゲノム編集され、日本で流通している食品は、今のところ3品です。

リージョナルフィッシュ社が開発した肉厚の「22世紀鯛」と成長速度が速い「22世紀トラフグ」、そしてサナテックシード社が開発したギャバを多く含んだトマトです。

ギャバとは、アミノ酸の一種で、リラックス作用や降圧作用があるといわれる物質です。

日本の回転寿司チェーンまでもが、特色のある魚を生み出そうと、魚類の品種改良のために、ゲノム編集技術をもった企業への投資を始めています。

これから、遺伝子組み換えの作物や食品だけでなく、ゲノム編集された寿司ネタなども増えていくことでしょう。

消費者が「選ぶ権利」をもてるように、消費者庁は「ゲノム編集表示」を行うべきなのです。

何でも米国の言いなりでは、日本の主権がますます崩壊してしまうからです。私たちは、もっと大きな声を上げるべきです。

以上、今回はここまでといたします。

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image by: Shutterstock.com

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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【著者】 神樹兵輔 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週月曜日

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