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クラウド同期できるノートツールのサブスク料と機能を比較してみた

デジタルノートツールにもAIの波が押し寄せ、無料で使える範囲やサブスクリプション契約の内容もさまざまで、“乗り換え”を検討していい時期にきているのかもしれません。今回のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』では、Evernote活用術等の著書を多く持つ文筆家の倉下忠憲さんが、Evernoteの料金改定のお知らせをきっかけに、ほかのツールと機能や料金を比較。AIの利用にサブスクリプションを課したNotionの方法は、デジタルツールにお金を支払うのをためらう人たちの背中を押す「動機づけ」になると注目しています。

枯れたノートツールを使う

Evernoteの料金改定が発表されました。
Evernote の価格プラン改定と今後の機能強化に関するお知らせ | Evernote 日本語版ブログ

通常の個人ユースで使われる「Evernote Personal」であれば、年額9300円。月額なら1100円です。さて、この値段は安いのか高いのか。ちなみに月額1100円だとNetflixとだいたい同じくらいですが、動画サービスと比べても仕方ありません。

対抗馬としてよく名前を挙げられているNotionのPlusプランは年払いで96ドルなので、1ドル136円だとすれば、Notionの方がはるかに高くなります。

ただしNotionは個人ユースなら無料プランでも問題なく使えます。その意味ではNotionの方が安いかもしれません。しかし、Notion AIを使うならサブスクリプションが必要で、だったら総合的には同じくらいの料金感覚だと言えるでしょう。

ちなみに、Mac OSなどで使える「Craft」というドキュメントエディタは、Proが年間60ドル。1ドル136円なら8000円くらいで、まあまあの値段感ですが、ストレージの容量が50GBという点には注意が必要でしょう。

Craft Pricing Plans

日記アプリで有名なDay OneのPremiumは月当たり2.92ドルで、12倍したらだいたい35ドルで136をかけて4700円くらい。頭一つ抜けて安い感じがあります。しかもUnlimitedと書いてあるので、容量の上限は(今のところは)なさそうです。
Day One Premium

これらのツールからどれを選ぶのかは個人的な価値観の問題ですし、そもそもこれ以外にもクラウド同期できるノートツールはたくさんあります。だから皆さん好きに選びましょう、という話なのですが、EvernoteとNotionを比べてみたときにEvernoteはそこまで高い金額ではない、という点だけは確認しておきたいところです。

もちろん、先ほど述べた通りNotionは基本的な利用であれば無料でOKです。たとえばMacのメモ帳よりは高機能なものを使いたい、くらいのニーズならそうしたプランでも十分でしょう。

しかし、いずれデジタルノートにおけるAI利用の話を無視するわけにはいかなくなるでしょうし、仕事で使うならなおさらその話は避け難くなってきます。となると、EvernoteもNotionもさほどかわらない、とは言えるかと思います。

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ちなみに、マーケティング的な観点を述べておけば無料プランでの機能を削減してきたEvernoteに対して、新参者のNotionはフリープランの機能強化によって大幅にシェアを伸ばしてきました。しかし、そのようにしてフリーミアムに拡大するだけではビジネスはままならない、という点はすでに(速すぎる歴史から)理解されていたのでしょう。

そこに登場したのがAIです。そのAIの開発にNotionがどれだけコストを投下しているのかはわかりませんが、「AI機能を使いたいなら追加でお金を払ってね」という構図には無理やりな感覚がありません。言い方を変えれば、フリーミアムに慣れ切っているユーザーにとっても「わざわざお金を払う理由」をうまく作り出せていると言えます。

これまでのデジタルノートツールが行ってきた、機能を部分的に使えるフリープラン、拡張的に使えるプレミアムプランという切り分けにおいては、ユーザーは「部分的に使えればいい」となってしまって、ツールにお金を払うことに動機づけを持ちません。しかし、AIという「新しい機能」であればまだツール利用に対するパラダイムが確立されていないので「まあ、そういうものか」という感覚でお金を払う人は一定数出てくるでしょう。

圧倒的な成長で無料ユーザーを獲得し、そこからAI利用によって「課金」(最近の意味で使っています)を促す。非常に優れた構図がそこにあるような気がします。

閑話休題。Evernoteがそこまで高いものではない、ということを確認した上で、さらにEvernoteのAI機能も私は気になっているので、Evernoteから離れて別のツールに移行しよう、という気持ちはほとんどありません。

一つにはEvernoteに蓄えた情報が多く、それを別のツールに移行させることの手間が気になる点があります──(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2023年5月22日号より一部抜粋)

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image by:The Bold Bureau/Shutterstock.com

倉下忠憲この著者の記事一覧

1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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【著者】 倉下忠憲 【月額】 ¥733/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日 発行予定

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