数年のうちにロシアの崩壊を目の当たりにする人類
プリゴジン氏は、それを見越して、今回の行軍を行なって、ロシア国民の様子を見たのである。6月初めに彼はロシアの地方各地を訪問し、住民を前に演説。「誰かが真実を述べる必要がある」として軍部や政権批判を繰り返した。これは今回の蜂起の伏線である。彼はプーチン後のロシア政局の主役に躍り出ようとしている。
プーチン大統領がそれを許すはずはなく、すでに暗殺指令が出されたと実しやかに囁かれているが、プリゴジン氏は承知の上であろう。親衛部隊がガードしているはずであり、暗殺は成功しないと考えられる。
このように見てくると、武装した精鋭の軍隊2万5,000人以上を手元に置き、国民の英雄として人気を集めているプリゴジン氏を中心にして、ロシア政局は流動化していく。来年3月に予定されている大統領選挙で、プーチン氏が再選される目も危うくなってきたと言える。
ロシアのウクライナ侵略に端を発したロシア封じ込めも、インドや中国などの非協力にもかかわらず、じわじわと一定の成果をあげ、そしてロシアからは、多数の技術者や学者、若者などが流出し、もはやロシアは一国で安定的に国家を維持する力を失いつつある。
元々、古代や中世とは異なり、現代の国家は、ヒト、モノ、カネ、技術等の国際的な交流なくして存立はできない。
私たちは、数年のうちに、ロシアの崩壊を目の当たりにするであろう。なお、ウクライナ戦争が核戦争に発展する恐れはない。このことは「宮司のブログ」に書いておいたが、もう一度記しておく。
もちろん、核戦争ともなれば、話は違う。しかし、核兵器は使用できない。なぜか?それは、以前のブログでも述べたように、権威主義の国家支配層にとっては、西側の世界こそが本当に住みたい楽園なのであるから、それを核兵器で破壊してしまったら生きる意味がなくなってしまうからである。彼らは、財力を得るために権威主義の世界に住み、自分たちの家族は自由主義の世界に住まわせている。もし、プーチンが錯乱して核兵器を使おうとすれば、当然、自由主義世界を残すために周りが止めに入るはずである。
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