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ジャニーズ事務所を切り捨てても中国には“すり寄る”矛盾だらけの日本企業

ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、同事務所の所属タレントとのCM契約を打ち切る企業が続出しています。しかしその一方で企業サイドに、少数民族らに対して人権侵害を続ける中国との関係を見直す動きが見られないのも現実です。この状況に異を唱えるのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で今回、かような日本企業の姿勢を厳しく批判するとともに、中国もジャニーズ事務所同様、いつ瓦解が始まってもおかしくないとの見解を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年9月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

ジャニーズとの関係精算するも中国には接近。人権侵害に加担する日本企業

ジャニーズの創業者・ジャニー喜多川氏による性加害問題で、大手企業が広告の契約を見直す動きが広がっています。とくにアサヒグループホールディングスの勝木敦志社長が、「取引を継続すれば人権侵害に寛容ということになる」「人権を損なってまで必要な売上は1円たりともありません」と朝日新聞のインタビューに答えたことが発端となって、ジャニーズとの契約打ち切りを宣言する企業が急増したようです。

アサヒ社長「ジャニーズ起用継続すれば人権侵害に寛容ということに」

こうした関係精算自体は、企業のリスクマネジメントとして理解できます。ただ、そこまで人権を尊重する姿勢を打ち出すなら、世界最大の人権侵害国家、中国との付き合いを見直すべきでしょう。国連人権高等弁務官事務所は、昨年8月31日に新疆ウイグル自治区に関する報告書を公表し、深刻な人権侵害が行われていると発表しています。

中国新疆で「深刻な人権侵害」、人道に対する犯罪も 国連が報告書

ジャニーズ問題では、サントリーもジャニーズとの広告契約を終了することを発表しています。その一方で、同社は中国での事業拡大を拡大させる計画も発表、ネットでは、「本当に人権問題に真摯に向き合っているのか」という疑問の声も噴出しているようです。

サントリー新浪社長、中国事業拡大を計画-ビジネス界は対話継続を

サントリーホールディングス社長で経済同友会の代表幹事でもある新浪剛史氏は、ジャニーズ事務所が「真摯に反省しているか疑わしい」としながら、サントリーもジャニーズのタレントを起用し続けてきたことについて「(性的加害について)噂としてあったが、私は聞いたこともなかった。感度が低かったことを反省しなければならない」と語ったそうです。

性加害「真摯な反省、疑わしい」 同友会・新浪氏、感度の鈍さ自省も

もしそうなら、ぜひ中国の人権侵害についての感度も上げてほしいものです。こちらは噂レベルでもないですし、知らないはずもありません。それでも中国でのビジネスを拡大するというのであれば、それは感度が低いのではなく、確信犯的に人権侵害に加担していることと同じでしょう。

私は戦後の日本の企業に対しては、日本人の人権も他国の人権も軽視してきたと考えています。たとえばかつて経団連や経済同友会などは、中国との関係が悪化して商売に差し障るからと、首相の靖国神社に反対していました。カネのために、日本人の誇りや先人たちの労苦を踏みにじる態度です。

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ジャニーズ同様、いつ瓦解が始まっても不思議ではない中国

ジャニーズ問題にしても、これまで性被害は噂されており、さらに2004年には最高裁でジャニー喜多川氏のセクハラ被害の真実性が認められていたにもかかわらず、メディアや企業はそれを見ないふりして、これまでジャニーズの成長に加担してきたわけです。

これは、中国の人権侵害や独裁政治を見ないふりして、忖度し続けてきた結果、中国の巨大化、凶暴化に加担してきたのと同じ構図ではないでしょうか。

ネットなどでは、いまになってジャニーズを「尻尾斬り」するのは、たいそう立派な人権意識だとの批判も多いですが、それはともかく、これが中国ではそう簡単にはいきません。

もともと、中国では悪名高い「民事訴訟法231条」により、外国企業が債務不履行や労働問題で民事訴訟を起こされた場合、責任者の出国が制限されるという法律があり、撤退が非常に難しくなっています。

加えて今年7月には改正「反スパイ法」が施行され、国家機密に加えて国家の安全や利益に関わる文献やデータ、資料、物品の提供、窃取、買い集めなどが取り締まり対象となりました。これにより、海外の企業の社員が恣意的にスパイだと認定される可能性が高まっているのです。

日本企業〝中国撤退〟反スパイ法施行1カ月の惨状 日系企業の高度技術「丸裸」「強奪」要求 意的な摘発・拘束の脅威

とりわけ、長く中国と関わるほど、多くの中国人と知り合い、さまざまな情報を得ることで、スパイと認定される恐れるケースが増えると言われており、中国での事業を拡大することは、いわば自殺行為ですらあるわけです。

言うまでもなく、これまでレアアースの輸出規制、福島第一原発処理水の放出に伴う水産物輸入停止など、中国は経済を人質に自らの要求を他国に飲ませようとすることを繰り返してきました。

この中国による経済的恩恵と制裁といったアメとムチに翻弄され、ついには中国を怒らせないことばかりに気を配り、中国の言いなりとなり、日本の国益を損ねてまでも中国におもねる企業や政治家が大量に出てきてしまったわけです。

一方でジャニーズは、自社タレントの出演を餌に、テレビ局などに対してスキャンダルの封印や他社タレントの出演NG、不祥事隠蔽などを迫ってきたと言われています。また、メディア側も忖度し続けてきました。たしか、ジャニーズのタレントが事件を起こしたとき、テレビは「◯◯容疑者」ではなく「◯◯メンバー」と呼んでいたこともありました。一般人とは違う、特別待遇をしてきたわけです。

ただ、盤石だと思われたジャニーズも、創始者の死去以降、少しずつ瓦解が始まり、ついに大きく崩れだしました。

中国も、いつ瓦解が始まってもおかしくありません。それは指導者が交代するときかもしれませんし、不動産バブルの崩壊で、すでに始まっているのかもしれません。

これまで中国を礼賛し、中国にすり寄ってきた企業や政治家が、そのときになって掌返しして自分だけ逃げられるのか、それとも一緒になって沈むのか。私は後者のほうが可能性が高いと思っています。

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