午前10時半ごろからの販売ですが、昼ごろには売り切れてしまうほどの人気です。
電車内での予約販売やイベント的な販売はありますが、かなり少量なので、この駅に来ることでしか手に入らないと言っても良いでしょう。
なので、全国からたくさんの人が、九州の端までわざわざやって来るのです。
そこに行かなければ買うことができない商品というのは、それだけで非常に高い付加価値を有しています。
買うことが目的の旅をする人も多くいます。
しかも、数が限定となると、我先にと頑張ってしまうものです。
この駅弁は、家族とパートさんだけで細々と作っているので、たくさんはできません。
付加価値を高めるために、わざと少量にしているわけでもありません。
できることを一所懸命にやっていた結果、注目度が高まり、さらに人気が出て、毎回売り切れになってしまうのです。
しかし、店主は事業を広げる気はありません。
たくさん売れるからと、ここで、従業員を増やし、事業規模を拡大したりすると、大きな危険が待っています。
「どこでも買うことができる」「いつでも買うことができる」となってしまうと、付加価値は無くなります。
また、製造量が増えると、質の低下が心配となります。
美味しさが保たれたとしても、そこに“有り難さ”はなく、「幻の駅弁」が「普通の弁当」になってしまうのです。
かつて一世を風靡した駅弁がありましたが、駅での販売ができなくなったという事情はあるものの、レストランなどで幅広く販売するようになってからは、売り上げは確保できてはいますが、注目されない存在となってしまいました。
そうならないためにも、事業拡大などせずに、希少性・付加価値を守るべきだと考えます。
それが、長く繁栄することに繋がるのです。
幻の駅弁であり続けることが大切なのです。
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