日本は医学部の定員を大幅に拡大し「地域医療確保奨学金」を導入した。医大定員の一部を別途選考で選抜し奨学金を与えるが、通常10年内外の病院・医院が不足した地域で義務勤務させる制度だ。これは2020年7月文在寅政府が発表したが、医療界の激しい反発に直面して保留した「地域医師制」と類似している。
制度導入初年度の2007年には地域医療確保奨学金を受ける医大生が183人で、全体医大生の2.4%に過ぎなかった。しかし2020年には1679人(全体の18.2%)と大幅に増えた。急激に減っていた農村地域の医師も2010年から反騰し、2018年には8年前より12.1%増加した。
しかし現地の専門家たちは、この制度が「地域医療崩壊」の急場しのぎの火を消すのに役立ったとしても、必須医療科目の忌避問題まで解決できなかったと指摘した。国士舘大学医学部の田中秀治救急医学科教授は、「日本でも皮膚科、整形外科が大きな人気を集めているのに対し、救急医学科、産婦人科などは『4K』(日本語で『きつい・汚い・危険・かっこ悪い』の略語)職業とされ、医師が忌避する」とし「必須医療分野に対する待遇を高めなければ解決しにくい問題」と述べた。
これは医学部定員拡大の「落水効果」だけでは必須医療問題を完全に解決できないことを示唆する。必須医療分野の勤務条件を改善する一方、救急患者から診療を受けるようにしなければならない。
オーストラリアは情報通信技術(ICT)を積極的に活用している。オーストラリアのウェスタンオーストラリア州のアンドリュー・ジェイミソン地域医療局長は「私たちも医師たちが小都市勤務を敬遠している。代わりに大型病院の熟練した医師が「遠隔協力」を通じて不足している地域の医療人材を補完している」と述べた。
医学部入学時の成績だけでなく、医師になろうとする理由やボランティア経歴など、人間性評価を実施するカナダの事例も参考になるという指摘が出ている。
カナダ・アルバータ州カルガリー圏域急性期分野の責任者スコット・バンクスは「カナダでも皮膚美容分野の医師がお金をより多く稼ぐことはできるが、このため必須医療分野が人手不足を経験することはない」とし「もし医大卒業生の大多数が所得のために非必須医療分野を選ぶならば、それは医大入学生選別の失敗だ」と話した。(東亜日報ベース)
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