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あなたの店が“差別化”を図るとき「絶対にハマってはいけない戦略」とは?

他店に勝つための戦略、あなたのお店では取り入れていますか?  無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんは、小売店が差別化を図るための「4つの戦略」と、そのポイントを紹介しています。

4つの「差別化戦略」とは何か?

1.4つの差別化戦略

あなたのお店では、他店に勝つために、どんな戦略を取り入れているでしょうか。

他店との競争に勝つには、差別化が必要です。

その差別化には、次の4つの差別化があります。

・製品の差別化
・価格の差別化
・サービスの差別化
・ブランドの差別化

製品の差別化とは、文字通り製品の差別化に力をいれる戦略です。

有名なところでは、ソニー、ホンダ、アップル、ナイキなどが、それに当たります。

価格の差別化とは、低価格戦略のことです。

この差別化を戦略にする会社はたくさんあります。

ディスカウントストアを筆頭に、スーパー、家電販売店、ファストファッション、ドラッグストアなどにとっては、重要な戦略です。

サービスの差別化では、お客様への接し方や、利便性、買いやすさ、ファンづくり、特約店化、金融サービスなどを戦略とします。

トヨタやパナソニック、アマゾンなどは、サービスでの差別化を図っている企業と言えるでしょう。

ブランドでの差別化は、すぐに出来るものではありません。

時間をかけて信用を積み上げてきた製品や企業が手にすることができます。

ルイヴィトン、ミズノ、アディダスなどが、それに当たるでしょう。

ブランド力があれば、たとえ価格が高くても買ってくれます。

そして、ブランド差別化が出来ていれば、市場の変化を乗り越えることも可能です。

あなたの扱っている製品は、どうでしょうか。

では、この4つの戦略の中で、最も取りやすいものはどれでしょう。

そう、低価格戦略です。

2.差別化戦略と製品ライフサイクル

その理由を製品ライフサイクルから考えてみましょう。

面白いことに、この4つの差別化戦略は、製品ライフサイクルに沿っているのです。

製品の導入期、成長期前期には、製品の差別化によって市場に入り込み、拡げて行きます。

成長期後期から成熟期にかけては、サービス差別化が中心です。

そして、成熟期になってしまうと、価格差別化に入っていきます。

ブランド差別化は、成熟期を経て、安定期に入ることで到達する製品サイクルです。

例えば、ナイキの厚底シューズのサイクルを見てみるとよく分かります。

2018年、ナイキはヴェイパーフライという画期的なランニングシューズで製品差別化をし、市場に打って出ました。

ランニングシューズは薄底、という常識を破ります。

次々とマラソンの世界記録を更新していきました。

競合他社も、対抗しようと研究しますが、なかなかヴェイパーフライに追い付けません。

最近では、何社かがナイキと似たような機能を持った製品を開発して、市場に投入しています。とはいえ、差別化にはなっていません。

製品差別化戦略は、一定期間内では有効です。

他者も含めて、厚底シューズがあふれ始めると、もういけません。

ナイキの旧モデルが低価格で売られるようになります。

このように、製品の導入から始まった差別化は、またたく間に成熟期になり、低価格戦略に入ってしまったのです。

そして、ナイキは、次の差別化商品の開発に入っています。こうなると、他社はどんどんと置いてきぼりです。製品差別化は、難しいですね。

ところで、ナイキの差別化戦略では、抜け落ちているものがあります。

それは、サービス差別化戦略です。

顧客を固定客化する戦略が、あまり打ち出せてはいません。

一方、ナイキは、ブランド差別化のうまい会社です。

ですから、安心してしまっているのかもしれません。

そこは、ぜいたくな要望ということに、なるのでしょうか。

やはり、ナイキにとって重要な戦略は、製品の差別化ということになりそうです。

3.製品差別化戦略が重要

メーカーさん、問屋さん、小売店さんにとって、製品差別化は重要な戦略です。

優れた商品は、利益をもたらしてくれます。

ですから、どうしても製品差別化に行くのでしょう。

製品の差別化をするには、どうしたらいいでしょうか。

それは、お客様の本当のニーズを知ることです。

例えば、車ならば「安全に快適に走りたい」、家電ならば「便利で操作が簡単」、というのが本当のニーズかもしれません。

では、スポーツショップに来られるお客様の、本当のニーズは何でしょう。

例えば、こんなことかも知れません。

・うまくなりたい
・強くなりたい
・格好よくなりたい

そのためには、どんな製品を販売したら良いでしょう。

今まで扱っていた製品の中にも、これらのニーズに合った製品があります。

それらの製品を売ることが、差別化です。

また、製品をカスタマイズしたり、修理したりするのも、「格好よくなりたい」お客様のニーズに合っています。

そして、まだ取り扱っていない製品で、お客様のニーズに合ったものを販売することも必要です。

例えば、上手くなったり、強くなったりするためには、自分の技術レベルを分析すると良いでしょう。

そのために、スマホアプリで簡単に撮影が出来て、自分の動きや能力を分析できるツールがあります。

また、選手のけが防止やコンディション管理に役立つアプリもたくさん市場に出ていますので、ご存知でしょう。

これからも、ITを利用した、うまく、強く、格好よくなるための製品は登場してきます。

これらの製品を扱うことが、製品の差別化となり、サービスの差別化につながっていくわけです。

差別化をすることで、お客様に喜んでいただけますが、くれぐれも価格戦略だけには、はまらないようにしましょう。

そうすれば、じわじわとお店のブランド差別化が出来ていきます。

4つの差別化戦略、分かっていただけたでしょうか。

■今日のツボ■

・他店との競争に勝つには、差別化が必要である。
・製品差別化、価格差別化、サービス差別化、ブランド差別化がある。
・スポーツショップは、価格差別化戦略にはまってはいけない。

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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