「台湾有事は日本有事」という言葉が日本の政治家らから聞かれるようになって久しいですが、万が一、中国が台湾に侵攻するような事態が生じた場合、日本はどのような行動をとるのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、香港の有力紙の記事を引きながら、「台湾有事」の際の日本の行動について、米国の出方に関する「ある予測」を記しています。
台湾有事で議論される日本の役割
台湾有事に日本が関与するかどうかを世界が注目しています。
これについて今週に台湾で開催された安全保障フォーラム(Taipei Security Dialogue 2023)で活発な意見が交わされています。
香港のサウスチャイナモーニングポスト紙11月11日 の記事をみて見ましょう。
日本、台湾防衛の一翼を担う意思表示を促される
元米政府高官が台北で開催された安全保障フォーラムで、日本や他の同盟国は中国に対する「集団的抑止力」に従事すべきだと語った。
しかし日本の学者は「台湾防衛を正当化する法律はない」「直接関与の可能性はゼロ」と反応した。
台北で開催された安全保障フォーラムに出席した専門家によると、北京との戦争が勃発した場合、日本が台湾を防衛するための支援を行うことは大きな意味を持つが、現段階では日本が直接関与する可能性は低いという。
アメリカのマット・ポッティンジャー元国家安全保障担当補佐官は、「抑止力は戦争よりも安上がりである」と指摘し、「日本と他のアメリカの同盟国は、北京からのいかなる侵略に対しても集団的抑止力に取り組むべきだ」とフォーラムで語った。
米国の安全保障上の同盟国である日本は、1895年から1945年まで日本の植民地だった台湾と緊密な関係を維持しているが、中国を外交的に承認している。
「台湾有事は日本有事である」つまり台湾が人民解放軍に攻撃された場合、日本が関与する可能性が高いという考え方は、近年注目を集めている。
しかし公式には、日本は中国を刺激しないよう、紛争が勃発した場合に台湾防衛に協力するとは明言していない。
ポッティンジャー氏は、 日本は、中国が台湾を攻撃することを抑止する方法として、また日本が米国の安全保障上の同盟国であることを考慮し、立場を明確にすべきだと述べた。
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
解説
元米国国家安全保障担当補佐官が、「日本は有事で台湾側につく」立場を明確にしておくべきだと言っているのです。
しかしながら米国はしたたかです。
バイデン大統領は2021年の就任以来、このような「台湾を守る」発言を4回もしていますが、そのたびにホワイトハウスは発言を撤回しているのです。
最初はバイデン大統領の失言かと思いましたが、これだけ続くと台本が決まった漫才の掛け合いのような気もします。
我々は米国がこのような曖昧な姿勢を取り続けていることを認識しておく必要があります。
日本が断固とした姿勢を表明した後で、米国に梯子を外される可能性は十分にあるのです。
参照:
https://www.scmp.com/news/china/military/article/3241077/japan-urged-signal-early-it-would-be-part-taiwans-defence-war-beijing
https://indsr.org.tw/en/index
(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』11月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)
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