米大統領選挙とは?
アメリカの大統領選挙は夏季五輪が行われる年、つまり4年ごとに行われる。そして大統領選の投票日は「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と法律で定められている。2024年の投票日は11月5日だ。
アメリカでは民主党と共和党の二大政党制が確立しており、両党が指名した候補者を差し合わせるのが基本。
指名候補を選ぶ方法は党や州ごとに異なるが、手続きは新年から本格化する。その候補者たちは一般党員の代理人である「代議員」の獲得数で競い合う。
そして全米50州とコロンビア特別区などで党員の支持を結集するのが、地域の学校などで行われる党員集会や、有権者が投票する予備選だ。
現職の大統領が2期目に挑む場合、民主党のように各州で党員集会や予備選が行われるが、有力な対抗馬がいないことが多く、今回も形式的な手続きとなりそう。
一方、共和党の候補者選びは、来年1月15日に予定されるアイオワ州党員集会から始まる。アイオワ州と次に予備選が行われるニューハンプシャー州で勝った候補者は、そこから注目を浴びることになる。
共和党は7月、民主党は8月に全国党大会を開催。ここで正式に選ばれた指名候補が、11月5日の一般投票で大統領の座を争う。
投票は各州単位で集計される。しかし全体の得票数ではなく、ほとんどの州で勝者がその州に割り当てられた選挙人を総取りし、合計の選挙人数が多い候補が大統領となる。
選挙人は全米で538人いる。これが各州の人口などに応じて、カリフォルニア州には55人、テキサス州には38人などと割り当てられる。
しかし、リベラルが強い州では民主党が選挙人を総取りし、保守色が強い州では共和党が総取りする傾向が続く。
事実、1988年以降、全体の20州と特別区で勝利した政党は同じ。そのため、選挙の度に勝つ政党が違う「スイングステート」と呼ばれる州の結果で全体の勝敗が決まる。
来年の選挙では約5つのスイングステートが全体の結果を分けることになりそう(*2)。
バイデン、苦戦 若者からの支持失う
来年の大統領選まで1年となった5日、米紙ニューヨーク・タイムズが報じた世論調査が大きな話題を呼ぶ。接戦州6州のうち5州で、民主党のバイデン氏がトランプ氏に対し、4~10ポイント差でリードを許したためだ。
米大統領選では、限られた接戦州の結果が全体の勝敗を左右する。前回は、6州すべてでバイデン氏が接戦を制して当選を果たしたが、逆にこれらの接戦州を落とせば再選は難しい(*3)。
バイデン氏の苦戦の理由として指摘されるのが、若者や黒人、ヒスパニックといった有権者層からの支持の低迷だ。この層は本来、民主党の支持基盤だったはずだが、バイデン氏はつなぎとめに苦労する。
ニューヨーク・タイムズの世論調査では、「非白人の40歳未満」の有権者層でバイデン氏が大きく支持を落としたことが判明した。この層は、2020年大統領選ではバイデン氏対トランプ氏で68%対29%と、圧倒的にバイデン氏を支持していた有権者層だが、現在は49%対42%と、接戦に持ち込まれている。
また、若者の間では、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突で大きく動揺する中東情勢について、バイデン政権の対応に不満を持つ声が多い。若年層では、イスラエルよりパレスチナを支持する傾向が顕著。
パレスチナ自治区ガザ地区での人道危機を止めることができなければ、バイデン氏が若者層の支持を失う展開も考えられる。インフレ(物価高)をはじめとする経済問題がバイデン氏の不人気につながっているとの見方も根強い(*4)。
ウクライナ問題についても予断を許さない。バイデン氏の息子ハンター・バイデンが取締役を務めるブリスマ・ホールディングスは脱税など多くの不正疑惑を抱いたウクライナの検察当局の捜査対象となっていた。
ウクライナ情勢悪化の背景に、息子ハンター氏のスキャンダルを揉み消す狙いがあったとの声もある。
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