『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』などのベストセラーを数々発刊している小宮一慶氏が代表を務める小宮コンサルタンツのエグゼクティブコンサルタントの最新刊は、これもまたビジネスに役立つ雑学がたっぷり入った一冊になっています。無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者土井英司さんが、その面白い切り口のビジネス解説を称賛しながら紹介しています。
ビジネス雑学。⇒『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』
『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』
平野薫・著 ダイヤモンド社
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、小宮一慶氏が代表を務める小宮コンサルタンツのエグゼクティブコンサルタントが、ビジネスに役立つ雑学をまとめた一冊。
小宮一慶氏といえば、ベストセラーとなった『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』が有名ですが、本書はこの『「発見力」養成講座』に、同じくベストセラーとなった『スタバではグランデを買え!』と『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を足して3で割ったような内容。
これまでに2000社の財務分析を実施してきたという著者が、いろんな企業のビジネスモデルを紹介し、経営やビジネスのヒント、生活者目線から見たお得なお買い物のコツを紹介した、読んでためになるビジネス雑学です。
・なぜセブンカフェのラージサイズはホットよりもアイスの方が高いのか?
・なぜ温泉旅館はビジネスホテルより割高なのか?
・なぜ鉄道会社には航空会社のようなステータス会員がないのか?
・なぜラーメンの大盛は有料なのに、つけ麺の大盛は無料なのか?
・なぜすき家を経営するゼンショーは多角化を進めるのか?
「そういえばなぜだろう?」と疑問に思うトピックに、目からウロコのビジネス解説が付されていて、読めば「なるほど」の連発です。
小宮コンサルタンツでは、小宮さんのDNAを引き継いだコンサルタントがちゃんと育っているんですね。
いちいち切り口が面白いのと、ビジネス解説が丁寧で、これから期待の著者だと思います。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
価格差の理由はアイスコーヒーのカップの形態にあります。ホットの場合は普通の紙コップなので重ねてバックヤードに入れておけばいいのですが、アイスは氷がカップに入った状態で冷凍ケースに保管されているため、冷凍庫での保管費用や冷凍物流の費用も掛かります
国税庁の資料を見ると、課税価格の合計が2億円、配偶者と子供が2人の場合、3人合計で2700万円の相続税が発生します。しかしその遺産が「店舗併用住宅」であれば、評価額が2億円×0.2=4000万円となり、基礎控除の範囲に収まります
(ガソリンは)製油所や油槽所から遠いエリアほど仕入価格は高くなり店頭価格も上がる
観光庁の出している全国の宿泊施設の稼働率のデータを見ると、ビジネスホテルと旅館の稼働率は約2倍の差があります
旅館は週末は稼働率が高いものの平日の稼働率はかなり低い
旅館は高齢者とインバウンドを取り込み稼働率を上げるべき
本当に優秀な競走馬はレースで稼ぐ賞金をはるかに凌ぐお金を種牡馬として稼ぎます
日本唐揚協会の発表によると2023年3月時点の唐揚げ専門店の店舗数は推定で4388店舗。2012年の450店舗から10年余りで約10倍となったそうです
つけ麺は大盛にしても原価の高いスープのコストが上がらない
熟成中のパルミジャーノ・レッジャーノを担保として、銀行が融資をしてくれる
パルミジャーノ・レッジャーノはイタリアチーズの王様としてチーズ界の頂点に君臨し、世界的にも安定した需要があるため価格が下がることはまずありません。しかも熟成期間が長いほど価値が高まるので担保として預かっている間も価値が高まります
スーパーで購入するのであれば450gのマヨネーズを購入すべき
漫然と眺めていては気づかない、小さな違いがなぜ生じているのか、ビジネスセンスを試されるトピックばかりです。
イタリアの銀行のチーズ倉庫の話も、産業振興の視点から、とても興味深いと思いました。
人に話したくなるビジネス雑学が満載の一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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