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「株価急騰」後に年金生活者と氷河期世代を襲う「最悪の貧困」1ドル=500円の悪夢…反日自民アベノミクスの連帯責任で全滅へ

年初から急騰が続く日経平均株価が、一時3万6000円の大台を回復。1990年2月以来およそ34年ぶりとなる高値水準に、投資家たちの期待が高まっています。ただ、日本円の価値低下やインフレと引き換えの株高は、年金受給者や氷河期世代にとってはさらなる貧困化の原因にも。その明快な理由と、知っておきたい資産防衛術を、投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔さんが詳しく解説します。(メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』より)

アベノミクス大失敗の後遺症が日本を襲う!「1ドル=500円」のインフレ到来で年金世代も現役世代も老後は強烈な貧困地獄に!

2024年は、これまでと違って円高になるぞ――と予測する識者も多いのですが、そんな状況は一時的にすぎないでしょう。

せいぜい 1ドル140円台が130円台 に乗る程度でしょう。

120円台に乗るのは、かなり難しいのではないでしょうか。

米ドルの政策金利が下がり始め、日米の金利差が縮小したとしても、それほどの円高にはならないと思われます。

なぜなら、国際決済銀行(BIS)が発表した2023年8月の円の 実質実効為替レート(2020年=100)は73.19 と過去最低となっており、「1ドル=360円」の固定相場だった1970年8月よりも円の価値が相対的に安くなっているからです(2023年9月21日付・日本経済新聞)。

「1ドル=360円」の時代といえば、「一生のうち一度ぐらいは海外旅行にいってみたい」といわれた時代です。

すでに現在、各種の海外旅行の広告やパンフレットを見ても、コロナ禍以前と比べて、ツアー料金の価格は2倍近くなっているものが散見されるほど、値上がりしています。

むしろ、かつてはそこそこ散見された「格安海外ツアー」そのものがまったく消えてしまった――といってよい状態なのです。

それほど、ニッポンの国力の衰退は進み、すでに円の価値はもはや強くはない状況なのです。

悲惨なのは、それだけではありません。

円レートを高めに修正する術は、もはや、すべてアベノミクスによって完全に打ち砕かれてしまっているからです。

日本は、輸入インフレで国民が苦しもうが、短期金利1%、長期金利2%以上にはアップさせられないのです。

たとえ、物価上昇率が欧米のように5%、7%となっても、政策金利(短期金利)は、1%以上には上げられないのです。

これは、すでに昨2023年の時に私たち日本人が体験・実感した事実でしょう。

日銀は、金利を上げられないので、「いまだ安定的な物価上昇率が2%に達しているとは言い難い」とかなんとか、ゴニョゴニョ言い訳をして金融緩和を相変わらず続けています。

しかし、本当のところは違います。

日本は、政策金利を上げられないのです。

日銀保有の国債が巨大な含み損を抱えてしまい、政策金利が1%、長期金利が2%になれば、「債務超過」で日銀資産の12兆円をすっ飛ばしてしまうからなのです。

日銀は「簿価会計」 だから、「含みの損失」は表面化しない――といっても、世界は「時価会計」が主流です。

「簿価会計」だから損失は表面化しない――と標榜しても、世界の金融マーケットはどう評価するのでしょうか。

つまり、円はもっと安くなってもおかしくない現実が目前に控えているのです。

日本は、アベノミクスによる無責任な日銀の大規模異次元緩和によって、もはやニッチもサッチも行かなくなっているからです。

金利の正常化――などは夢のまた夢でしょう。

これが無責任にも10年も継続したアベノミクスの大災禍であり、それがこれからの日本を直撃するのです。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、「1ドル=500円」という驚異的な時代に備えた「資産防衛術」も考えておかねばならない状況なのです。

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「年金受給世帯」も「生活保護世帯」もインフレから身を守る手立てはない!

ところで、65歳以上高齢者の世帯は、どれほどの貯蓄を有するだろうかー─とお思いでしょうか。

2022年の総務省の家計調査報告では、貯蓄平均は2414万円ですが、中央値は1677万円です。

ただし、 貯蓄がゼロ円ないしは500万円未満という世帯も21%も あります。5世帯に1世帯は貯えが乏しい世帯なのです。

65歳以上の無職夫婦2人世帯の手取りでの平均年金月額収入は、約20万円前後となっています(夫の平均年金受給額14・5万円に、第3号被保険者(専業主婦)だった妻の年金が5・5万円積み上がった年金額)。

平均支出が23万7千円なので、毎月差し引き3万7000円不足しているのが現状とされています。

年間で、44万4千円です。

これなら、ピンピンコロリで死ぬ場合なら、ギリギリ37年間持つかもしれません(中央値の貯蓄額1677万円÷44・4万円=37・7年)

2019年に話題になった「老後2000万円問題」では、毎月5・5万円の不足で、30年間で1980万円でしたから、その試算と比べると、まだマシですが、いずれにしても、収入がなければ預貯金を崩さざるを得ず、苦しい生活を余儀なくされます。

高齢者世帯は「お金を持っている」とよく言われ、特殊詐欺のターゲットにされていますが、このデータを見る限り、それほど裕福でもないのです。

しかも、年金収入はいったんもらい始めれば、ほぼ死ぬまでが固定額です。

インフレに直撃されれば、あっというまに困窮せざるを得なくなります。

30年近くに及んだデフレ経済は、ほぼ終わりといってよい状況も訪れているのです。

インフレ高進の時代になったら、「年金生活者」や「生活保護受給者」は、毎年困窮の度合いが深まっていく生活にさらされることが確実でしょう。

年金で生きていくということが、これからの世の中で、どれだけ頼りにならない生活か――ということが実感されるのです。

問題はそれだけではないのです。

つねに政権に 忖度する腐ったマスメディア は報道しませんが、現在現役の50歳代よりも若い世代の人たちは、現在支払っている「年金保険料」が「払い損」になることが確実視されているのです。

それは当然です。

現役世代2・0人で高齢者を1人支えているといわれる現状の「年金保険制度」では、金額の面で「保険料支払期間の総額」と「受給年金の総額」がすでに支えきれなくなり、赤字状態だからなのです。

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今50代よりも若い世代は年金保険料が「払い損」になる!今20代の現役世代は、払った年金保険料の半分しか老後に貰えなくなるのが確実!

厚労省は、けっして「年金払い損」の事態は生じない――ということを懸命にアピールしています。

民間の各種の試算では、現在50代の人から、徐々に「払い損の金額」が拡がっていくことが予想されています。

ましてや、現行の65歳からの年金支給スタート年齢を、これから70歳や75歳以上に移行させれば、「現役時代に年金保険料を支払う意味すらなくなる」のです。

つまり、年金制度は、もはや 事実上破綻 しているからです。

厚労省の「年金保険料支払い総額」と平均寿命までの「年金受給総額」は、「受給額のほうがつねに大きい」という試算を公表していますが、これがまったくのデタラメなのです。

「賃金上昇率」と「物価上昇率」をテキトーにいじくりまわし、現役時代に支払う年金保険料総額よりも、老後にもらう年金受給総額のほうがつねに大きい――という数字のトリックを駆使しているからです。

その試算では、驚くべきことに、現在20代の若者でさえ、将来老後に貰える年金受給総額は、現役時代の年金保険料支払い総額の「2・1倍」になるというのですから、椅子から転げ落ちそうになってしまいます。

しかも、この試算がインチキすぎるのは、厚生年金保険料は、勤め先の会社が折半で払ってくれるものですが、支払い保険料に、この会社の折半保険料分を加えていないのです。

会社が支払ってくれる折半の厚生年金保険料を除外して、老後の年金受給総額を膨らませる――などという試算は、まったくナンセンスの極みなのです。

今20代の人なら、現役時代に支払った年金保険料のたった半分しか、老後の年金受給は出来なくなるのが実際のところなのです。

こんな恐ろしい事態・不都合な真実が、すでに現実のものになっているのに、マスメディアは、こうした状況すらも報道しないのです。

マスメディア自体が、政府の「国民騙し」に加担しているのですから、「報道の責任放棄」という無責任度合いも甚だしいでしょう。

これはもう国民の「暴動」が起きてもおかしくないレベルの「国民騙し」なのです。

これが、日本国民すべてに知れ渡ったら、現役世代から「年金即時廃止!」のデモや暴動が起きてもおかしくないはずです。

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これからアベノミクスによる大規模異次元緩和の大災厄が襲ってくる!

ところで、およそ10年にもわたって、ダラダラと続けられた「アベノミクスの大規模異次元緩和」とは何だったのでしょうか。

ここで、ざっと経緯を振り返っておきましょう。

日本は90年代以降バブル崩壊後の金融危機(97年)を経て「失われた30年」という長期の経済停滞に陥っている――のはご承知の通りです。

ちなみに、97年以降、日本は恒常的なデフレとなり、脱却しないと景気回復できないとして、第2次安倍政権(2012年12月~2020年9月)がアベノミクスをぶち上げたのでした。

これが、 「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」 の3本の矢を柱とする政策でした。

しかし、効果が印象的だったのは「大胆な金融政策(日銀の大規模異次元緩和)」だけなのです。

この大規模異次元緩和によって、 一時1ドル70円台を付けた円高を110円~120円台 水準まで円安にしました。

そのおかげで輸出大企業の円換算での売上に貢献したこと、低迷を続けた日本株を官製相場で上昇させたぐらいなのでした。

日銀が目標とした安定的なインフレ率2%は、10年経っても到達できず、2023年4月には黒田日銀総裁は退任しました。

今では後任の植田日銀新総裁が、日銀のかじ取りを担っていますが、すでに22年以降の物価急騰の欧米で利上げが続けられているにも関わらず、23年に到っても日銀はまったく身動き取れず、日本でも物価高を招きました。

アベノミクスという大バカな金融政策など、やる必然性はどこにもなかったのです。

賃金を上げることなく、労働分配率40%という鬼のような搾取で、資本金10億円以上の大企業の内部留保額を511兆円(2022年度末)にまで積み上げさせただけでした。

なにしろ、日銀が異次元緩和で市中から買い入れた国債の割合は、すでに発行国債残高の54%超です(2023年9月末574兆円)。

これはもう財政ファイナンス状態なのです。

これほどの国債を買い入れたものの、2013年3月のマネタリーベース(日銀の当座預金中心の通貨量)135兆円は、23年3月に646兆円と4・78倍になっても、同時期のマネーストック(?3・経済全体の通貨供給量)は1152兆円から1565兆円までとたったの1・35倍にしか増えませんでした。

いかにアベノミクスが大企業優先の「円安経済政策」だけで、国民の所得を増やすまでには到らなかったことが明白でした。

トリクルダウン(富める者を富ませれば貧しい者にも、富が滴り落ちる)を狙えども、消費税率を2回も上げて不況に輪をかけたのでは格差を広げるばかりでした。

つまり、アベノミクスというよりも、アベコベノミクス だったわけです。

結局マイナス金利政策の出口模索も迷走し、保有国債下落での金利急騰で財政負担は危機的状況を迎えかねない状況に日本を追い込んだのです。

要するに、日本国を「財政破綻」へと近づけただけなのです。

自民党は、毎年20数億円の政治献金をくれる大企業だけに配慮しての「円安・ニッポン安売り大作戦」をやっただけ――ということなのでした。

ちなみに、消費者物価指数は、消費税額分も含めて計算するため、消費税率アップは一見「インフレ要因」に映るかもしれませんが、「増税」は明らかに「デフレ要因」です。

消費意欲を減衰させ、購買量を落とします。

消費に罰金が課されるも同然なので、販売者側を値引きに走らせ、企業は賃下げへと動機付けられるのです。

デフレ脱却に向けた異次元緩和をやっているのに、2度にわたって、デフレを深化させる消費税率アップをやってのけたのです。

不況の最中に増税する――このアクセルとブレーキを同時に踏んだような政策こそが、アベコベのミクスだったわけです。

経団連の言うがままに消費税率アップを図り、日本を出口のない状況へと追い込んだのが、反日・売国・世襲の自民党政権だったわけです。

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「1ドル=500円」時代になったら、円表記の金融資産は「紙切れ同然」!

こうなると、今後円はさらに下落する懸念のほうが強いでしょう。

かつての「1ドル=360円」時代が射程に入ってきてもおかしくないのです。

冗談のように聞こえるかもしれませんが「1ドル=500円」だって、ありえない構図ではないのです。

これが、アベノミクスによる大規模異次元緩和を、頑なに続けてきた旧安倍政権の日本経済への置き土産なのです。

さらなる円安が続けば、欧米のインフレ率7%や9%の比ではない、20%、50%、100%といった物価上昇率も視野に入ってきます。

超円安は、確実に輸入物価のものすごい上昇となって、国内経済を襲うからです。

「年金受給世帯」や「生活保護世帯」はあっという間に、この波に飲み込まれます。地獄の困窮生活が訪れるでしょう。

年金制度は解体してチャラにするしかないので 「年金払い損・世代」 にとっては朗報かもしれませんが、以後の日本人の老後は悲惨の一語となるでしょう。

どうすればよいのか――といえば、日本円の金融資産のある人は、今のうちに米国ドル資産に代えておくよりありません。

株式や不動産も、ハイパーインフレでは資産価値が下がりますが、超インフレの波を超えれば、再び復活の余地も十分あります。株や不動産は最終的にインフレには強いからです。

しかし、円で表記される金融資産は、ヤバいでしょう。

筆者がお薦めするのは、以前にも紹介した「米国ゼロクーポン債」です。

もう一度、ここで簡単におさらいしておきましょう。

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米国ゼロクーポン債のメリットとは?

将来の超円安に備えるなら、金利の上がっている現在の米国の「ゼロクーポン債(ストリップス債)」を、10年~20年後に備えた将来の「自分年金」として準備するのが、「円資産防衛術」になるでしょう。

わずか数年後に償還の既発債も現在3%以上の年利回りだからです。

ゼロクーポンとは利息(クーポン)が付かず満期時に1万ドルで償還される割引債なので安く買えて複利効果が狙える金融商品です。

証券会社は手数料収入が乏しいため、けっして積極的にPRはしませんが、円高の時にこれを買った人は現在大きな含み益を抱えています。

たとえば約19・3年後の2043年5月に1万ドルで償還される米国ゼロクーポン債は現在4522ドルで購入でき、満期日に1万ドルで償還されると購入時の2・21倍になり、年利回りは約4・148%です(データは2024年1月12日時点)。

このゼロクーポン債を1ドル140円時に購入すると、円建ての投資元本は、633080円です。

仮に、思惑がまったく外れて、今より2倍の円高が進んだとして、1ドル70円になっても、受け取る円換算額は70万円なので、この時点において、額面金額では元本毀損はありません。

「1ドル=70円」なら、インフレにもなっていないでしょう。

投下元本は約63万円だから、簿価の上では元本割れしない――という計算は成り立つのです。

1ドル140円が250円になったら単純に資金が約1・8倍に増え、350円になったら2・5倍です。

「1ドル=500円」なら、3.57倍です。

もちろん、少しでも円高の時にゼロクーポン債を買うのが米国ゼロクーポン債購入の賢い投資法になります。

いかがでしょうか。

もちろん、元手がないと、こうした投資も出来ませんが、円建ての金融資産を米ドルという価値で守るだけでなく、さらにゼロクーポン債という債券によって、安く購入し時間を味方につけて増やすとともに為替差益も狙っていける――という投資法なのです。

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image by: Kwan Kajornsiri / Shutterstock.com

神樹兵輔この著者の記事一覧

投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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【著者】 神樹兵輔 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週月曜日

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