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岸田文雄が放った“火”に自民党内は大混乱。自派閥解散という「上からのテロ」

自民党派閥のパー券裏金問題をめぐり、突如自派閥の解散を表明した岸田首相。これに二階派、安倍派も続くこととなり党内は大きく混乱しています。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、首相が自派閥解散という大勝負に出た狙いを推測。さらにその手を「上からのテロ」と表現しています。

なんだか腑に落ちない東京地検特捜部「自民パー券ウラ金」捜査。思い出す黄色いペンキ

相撲は激しいぶつかり合いを観るだけでストレスの解消になりますが、一向にストレス解消にならないのが、今の政治的な動きじゃないでしょうか。今日は金曜日で、土、日、月、月曜日になると国会の集中審議があるそうですね。会期はまだ始まってないわけですが、この政治とカネの問題で、国会でも追及が始まりますし、それに間に合わせるように刑事処分をやったんでしょうね、検察は。

26日から国会が正式に始まりまして、長丁場ですね、6月末までやるわけですから。この過程で何がどのように追及され、国会そのもので行われる以上に、色々なメディアが様々な取材をこれから展開して、しかるべき人たちを追い詰めることになるのではないかと思いますが、実際にどうなるかはよく分かりません。

刑事処分については自民党の三つの派閥。安倍派と二階派、これは吃驚しましたけれど、岸田さんの派閥。宏池会ですね。ハッキリとした不記載の問題がある、このことがハッキリしているところ、まあ他にもあると言えばあるのだと思いますが、これらの会計責任者に対する刑事処分が行われた。略式起訴とかが多かったですが。勿論、議員が一人逮捕されていますし、新たに立件される議員が2人いる。そのうちの一人は議員辞職もするらしい。

それでもなんだか腑に落ちないですよね。

何よりも今の動き方というのは、どう言ったら良いのか。派閥の政治資金パーティーにおける収入の、ノルマを超えた分をキックバックし、そのことを政治資金報告書に記載しなかったということですからね。現代の法律の形では、会計責任者以上の処罰はできないということになっているのだそうで。それはよく分かりませんが、いくらでも他にやり方があるように思うのですが。

結局、お名前を観ても、ああ、この人知っているよ、という人は、実は立件も逮捕もされないということです。先ほど言った2人の議員、逮捕された人を含めて3人は別ですが。派閥の幹部の人たちに司法の手は及ばなかったということになりますね。色んな言い訳はあるでしょう。

共謀の証拠がないだとか、あれ、多分口裏を合わせているのではないかと思いますが、キックバックをさせていたことは知っているが…そこは知っていると言うんだよね、だが、そのことを記載していなかった件については知らないと、議員さんらは言っているというのだけど…そんなこと、あるかい!

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溢れてくる心の中にあるバケツの黄色いペンキ

勿論、証拠のあるなしは重要で、裁判は一種のゲームのようなところがあるものですから、公判を維持できないよ、これでは、ということになるとなかなか立件にゴーサインを出しにくいという、それはあるでしょう、あるでしょうけれど、こういう、これもそうではないのだと言われればしかたないけれど、どう考えても、本当のことを仰っているのかなと強い疑問を抱かざるを得ないことが、幹部たちの振る舞いに関してあり、事実上、逃がしてしまう…なんて言ったら…ですが、立件できないということになるとね、そうなると、心の中にあるバケツの中に入っている黄色のペンキがですね、溢れてくるんですよ。

何のことを言っているのか、お分かりだと思いますが。勿論、実際にやれば犯罪ですから、実際そのようなことになりましたけれど、金丸さんの話の時でしたね、検察庁の看板に黄色いペンキが投げつけられるということがありました。あれ、実際にやったらダメですけれど、頭の中で行う分にはね、良いのではないでしょうか。

この話が始まってザッと1ヶ月ですが、みんな感じていたのは、これは少なくとも数人の幹部が立件されて、公民権停止まで行くのではないかということに。政治の世界から当分遠ざかってくださいねということになるのではないかと、何となく思ったものですけれど、案の定というべきか分かりませんが、国会開会までに検察が出した答えというのは、会計責任者に対する極めて甘いと言いますか、ゆるりとした刑事処分に過ぎませんでした。

この話は、刑事処分に関してはこういうことですが、検察審査会へという話が多分出てくるでしょうし、それはそれとしておいておくとして、一つ大きなフックといいますか、新たな事情が誕生する大きな波が立っているのではないでしょうか。

岸田さんが、災害対策服姿でのインタビューでしたが、岸田派を解散すると言った。つまり宏池会ですね。宏池会というと、枕詞のように、歴史と伝統があるという言い方になりがちですが、池田勇人氏以来数々の総理大臣を輩出し、日本の対米追随の軽武装の今の国柄を引っ張ってきた人たちでもあります。その宏池会を解散すると。それは宏池会、岸田派の会計責任者が法的な処分を受けるということの反射効果という意味があるかもしれませんが、岸田派を解散するということで、自民党の中が上を下への大騒ぎになっているというのが、今の状況のようですね。

具体的な取材をしておりませんから、飽くまで報じられたことから感じたことを申し述べるに過ぎませんけど、これ、どちら側に出るかよく分からないですよね。これが、岸田さんにとってポジティブな方向、つまり、今年中におそらく衆議院議員の選挙があって、来年には参議院議員選挙がある。その間に自民党の総裁として生き長らえようという目的があって、その他には内閣支持率が上がっていかないと大変だと。

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派閥に依存している議員にとっての「上からのテロ」

一般の人たちの派閥問題についての処理の仕方に対する評価、これが「岸田さん、なかなか潔いね」。宏池会はある意味で派閥中の派閥なのに、そこを解散するとは、実に潔い人だなあ、支持しようか…というように思ったのか、あるいは「よく分からないね」ということなのか、あるいはもっと、こんなことをしたら、派閥自身がやったことで派閥を解消してしまったら自民党の政治のスタイルが変わってしまって困る、という人が一般の中にいらっしゃるかもしれません。どうなのだろう。

これで支持率が大きく上がるというようなことがあると、党内でのバランスが変わってくる可能性があって、「岸田さんはなかなかやるな」という話になるかもしれない。そちら側の芽があるんじゃないかということもある。

早速、二階派は苦しそうなお話しぶりでしたが、ごめんなさいということと、二階派を解散するということで所属議員の皆さんの了解も得ましたということを表明されました。で、今もまだやっているのかな、安倍派の総会があって…。これ、元々安倍派から出た問題で、これが二階派に累が及び、さらに総裁派閥まで解散させることになってしまったということになると、安倍派はいいのだと開き直るわけにはいかない。なんと面の皮の厚い人たちなのだろうと安倍派の議員が支持者から観られるとすれば、これは安倍派の基本的な立場を崩してしまうかもしれない。だったら、九死に一生じゃないですけれど、上手い方向に転換するチャンスを待ちながら、とりあえず派閥を解散しようか、ということになるかもしれない。

でもそれは、岸田さんの狙い通りですね。きっと。安倍派と二階派を解散させてしまうわけですからね、これで。その流れが出来たときに、麻生さんとか茂木さん…麻生さんは副総裁、元木さんは幹事長。二人とも幹部中の幹部ですね。この人たちが率いる派閥ははたして存続しうるのか、ということになりますね。(生き残るのは)なかなか厳しいんじゃないでしょうかね。これは自民党内からも、野党は勿論ですけれど、それは、総攻撃を受けるでしょう。一人一人の議員が、なにか、こう、国会に戻ってこられるかという話になってくる。

ここまでは、なんとなくですが、岸田さんの打った手は「上からのテロ」みたいな感じで、特に派閥に依存している人たちからすれば、「上からのテロ」みたいな感じでしょうね。岸田さんは自ら火を放ったという感じ。これで求心力を回復して、支持率も上がり、他に大きな問題が起こらなければ、岸田さんはもう少し総裁として頑張れることになるということですね。

(『uttiiジャーナル』2024年1月21日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)

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image by: 岸田文雄 - Home | Facebook

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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