数千万円の裏金を懐にしても罪に問われることのない政治家と、彼らをとことん追求することもない大手メディア。そんな人間に支配された日本に住む国民は、すっかり道徳心を失ってしまっているようです。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では中部大学元教授の武田邦彦さんが、日本社会の倫理を崩壊させた政治家とマスコミを厳しく糾弾。その上で、彼らが作り上げた「心を持たない人間」が、日本に大きな打撃を与えることになると断言しています。
上から崩れた日本の社会 法務大臣の犯罪が意味したもの
日本社会に影響を与えている政治家たちが犯した犯罪
2021年、河井元法務大臣は、汚職が露見したのち3年の捜査や起訴のあと、実刑判決を受けて収監された。現職の法務大臣が「選挙区なら誰でも知っているというほどの犯罪を犯し、衆議院議員を務め、その後逮捕されるということが日本社会で起こっている。
でも、その社会的な反応は鈍かった。政界や文化人などは追及が中途半端であったし、NHKをはじめとしたメディアの報道も緩かった。「政治家に犯罪はつきものだ」という現代日本の社会崩壊を絵にしたような事件だった。
「法務大臣の犯罪、逮捕、実刑判決」ということが日本の崩壊にどう繋がっているのかもわからない社会に私たちはいる。
メディアが犯罪者を助けているのは、河井元法務大臣の事件ばかりではない。今回の自民党の裏金問題にしても、メディアの事実報道は極めて弱い。その結果としてこの「まぐまぐ」のような良心的なメディアがネットで活躍をしているのだが、視聴者数はNHKより少ないという状態こそが日本の現状である。
自民党の裏金問題というのは、「不法な金で党の結束を図り、利害を一致させている」という現在の日本社会の倫理崩壊を示している。自民党は不法の金を互いに保有し、互いにそれで行動を縛り、序列を決めているが故に、固い団結を誇っている。まるで江戸時代の反社会団体と同じ構造である。
でもそれは日本社会を反映しているとも言える。ジャニーズ問題は、明らかになってみると、明確な反社会団体であった。そしてそれはNHKをはじめ全ての大メディアが知っていたのに、そのメンバーを公共放送や大新聞に出し、その考えや行動を知らせ、かつ人の心を左右するアイドルにまで押し上げた。なんということだろう!
著者自身のことと比較しようとするのでもないし、著者の名誉を守ろうというものでもない。著者が少しの失言をすると、メディアは一斉に私をバッシングして、メディアに出ることができないようにする。表面上は「少しの間違いも許さない!」という態度をとりながら、ジャニーズのメンバーを長く使ってアイドルにした理由はただ一つ、「自分が儲かれば良い、そのために善人のふりをする」ということだ。
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「誠実」だった日本はどこへ。歴史から見る社会衰退への変化
このような日本社会における「倫理崩壊」が政治や学問、それにメディアに止まれば良いが、もちろん、そうはならない。道徳というものは「上から崩れるもの」であることは歴史が示している。「上に立つものが範を示す」と言われるように、昔なら殿様、明治なら天皇陛下、そして今なら社会的に上位の立場にいる議員、大学教授、メディアなどが「範を示す」ことが社会を正常に保つことだが、何しろ法務大臣が逮捕され、自民党最大派閥が裏金で揺れ、メディアが少年の性的虐待が常態化している会社のタレントを使うようではどうにもならない。
地方はまだ良いが、東京の若者から熟年に至る人たちへの公共の場所における立ち振る舞いは目を覆うものがある。「自分だけが良ければ良い」、「地震などがあれば体裁上、同情しているふりをする」という2つが見事に両立している様子を見ると「心を持たない人間」のように感じられる。
それは日本において特に大きな打撃を受けるだろうーー(メルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』2024年1月31日号より一部抜粋。続きは初月無料のお試し購読をご登録の上、1月分のバックナンバーをお求め下さい)
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