MAG2 NEWS MENU

韓国政府が専攻医7000人に免許停止の事前通知。韓国医療は崩壊してしまうのか?

韓国で大学医学部の定員増員に医師たちが反発している事態について、政府が免許停止の通知を出したという動きが出ています。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、最新の韓国医療事情について紹介しています。

専攻医7000人に免許停止の事前通報

韓国政府が未復帰専攻の7000人余りに免許停止の事前通知書を発送し、行政手続きに突入した中、医科大学を置く全国40大学は2025学年度の医学部の入学定員を3401人さらに増やしてほしいと政府に要請した。

一部の医大教授らは、専攻医(レジデント)に対する免許停止処分などに反発し、辞職届提出と剃髪式で抵抗し、契約期間が終わった専任医らの離脱も続いた。保健福祉部(福祉部)は、未復帰専攻の7000人余りに対し、5日から免許停止など行政処分の事前通知書を書留郵便で発送した。

福祉部によると、4日午後8時基準で100の修練病院専攻医の90.1%である8983人が勤務地を離脱したことが分かった。福祉部は前日、専攻医数基準の上位50病院に対して現場点検を行い、残りの50病院に対しては書面報告を行った。福祉部は残りの50の病院に対して追加の現場点検を実施し、復帰していない事実が確認され次第、免許停止の手続きを執行する予定だ。残りの101~221か所の修練病院については、自治体で現場点検を行うことになる。

福祉部が前日、専攻医の現場点検を実施した結果、不履行確認規模が7034人であることが分かった。政府はまず、彼らに事前通知書を発送した。

行政処分の事前通知書を受け取った専攻医は、3か月間の免許停止処分が下される見通しだ。(一応3か月の停止であるが、実質的にはもう一度医師の免許を活性化させるのはかなりの時間と労力が必要とされるようだ。)

現場点検を通じて事前通知書を受け取った専攻医はさらに増える予定だ。また、今回の専攻医集団行動事態の主導勢力に対しては、警察告発を検討中だとした。

福祉部のパク・ミンス第2次官は「具体的にいつするか、対象をどのようにするかに対する部分は決めていない。追加的に検討し、政府内で意思決定ができれば別途お知らせする」と答えた。政府が本格的な行政手続きに突入した中、大学では医療界の反発にもかかわらず、医学部の増員申請が殺到したことが分かった。

政府によると、全国40の大学で2025学年度の医学部定員を3401人増員すると申請した。ソウル所在の8つの大学で365人、京畿・仁川所在の大学5か所で565人など首都圏13個の大学が計930人の増員を申請した。非首都圏27大学が申請した増員規模は2471人に達する。政府の2000人増員規模をはるかに上回る規模だ。

医学部の増員にこれまで慎重な態度を取ってきた医学部の教授らも辞職届を提出するなど集団反発した。政府の医学部増員は訴訟戦に飛び火した格好だ。

前日、慶北大学医学部のユン・ウソン移植血管外科教授が「外科教授職を辞める」と宣言したのに続き、この日、忠北大学病院心臓内科のペ・デファン教授も自身のSNSに「免許を停止するという保健福祉部の発表と現在の定員の5.1倍を書いた母校総長の意見を聞くと、同僚たちが再び帰ってくる道が遠くなったという気がする」と辞職の意思を明らかにした。

江原大医科大学教授10人余りはこの日午前、医大前で記者会見を行い「教授と学生など構成員の意思に反する一方的増員方針に反対する」と明らかにした。柳世敏(リュ・セミン)医大学長(胸部外科教授)と柳允鍾(ユ・ユンジョン)医学科長(耳鼻咽喉科教授)は、剃髪式も行った。

全国33個の医科大学教授協議会はこの日「政府の医大定員増員は憲法に反する」として保健福祉部長官と教育部長官を相手に入学定員増員処分など取り消し訴訟を提起し執行停止仮処分申請書を提出した。

専任医の離脱は同日も続いた。ソウル大学・セブランス・ソウル峨山・サムソンソウル・ソウル聖母の「ビッグ5」大型病院では専任医の半分が再契約や新規契約をしていないことが把握された。

大韓医師協会(医協)の医学部増員阻止非常対策委員会はこの日、「医学部と修練病院の存在理由が消えた現実で、無理な医学部増員申請を強行した大学本部と政府の蛮行を強く糾弾する」と明らかにした。

専攻医の離脱による医療空白15日目の医療現場は、今回の事態が長期化するのではないかという懸念の中で、患者と保護者の不安感がさらに広がっている。

この日、ソウル聖母病院を訪れたパク某氏(68・女)は、医療界に向かって「自分のことだけを考えているようだ」とし、「危急患者が放置されているので、早く戻ってこなければならない」と声を高めた。

一方、老母を連れて病院を訪れた50代の男性A氏は、「政府は医学部の増員人員を2000人と釘を刺さず、医師らと交渉しなければならない」とし、「(免許停止は)政府が言うことを聞けと強制すること」と指摘した。重症疾患連合会のアン・ソンヨン理事は、「医師協会と政府の両方が鍔迫り合いばかりしているが、誰のための争いなのか分からない」とし、「人が具合が悪くて死にそうだというのに、双方とも聞いたふりさえもしない」と批判した。

ビッグ5を中心とした大型病院はこのように大問題なのだが、町医者は大繁盛しているようだ。大学病院などはデモやストライキで動きの取れない状況だが、町医者はこつこつ・たんたんと日々に患者のそばに寄り添いながら地道に仕事をしているからだ。

リモート診療もこれまでは医者たちの反対でできなかったのが、ここへきて、リモート診療が一部可能になったりしているようで、病院の在り方や診療の在り方も新しい形が形成されようとしている。医者の権威意識がコテンパンに潰されてもっと人間味あふれる医者の心構えが形成されてゆくことを、この機会に祈りたいものだ。(一部news1参照)

image by: Shutterstock.com

キムチパワーこの著者の記事一覧

韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 キムチパワー 』

【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け