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まるっと見せます。韓国の1人世帯の経済的現実と資産のソロ原則

韓国でも一人世帯が多くなることが予想されています。そのための資産管理はどうなるのでしょうか。無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、現在の韓国の一人世帯の状況とその資産について語っています。

単身世帯の増加は全世界的な現象

加速する高齢化と遅くなる結婚、低下を続ける出産率など、当分の間、1人世帯がかなり多くなることが予想される。統計庁の人口総調査によると、2022年の韓国の1人世帯は750万2,000世帯(34.5%)で、前年(716万6,000世帯)比33万6,000世帯増加した。

このような傾向が続けば、2050年の1人世帯の割合は40%に迫るものと予想されている。単身世帯の増加は韓国だけでなく全世界的な現象だ。2022年基準でアメリカの1人世帯の割合は29%で、3世帯に1世帯に達している。欧州(2020年基準)も同様にフィンランドが44.7%、ドイツ42.3%、スウェーデン39.8%など主要国が1人世帯社会に急変している状況だ。ちなみに日本は29.5%とのデータがある。

韓国の年齢別1人世帯は20代以下(19.8%)が最も多く、20~30代が全体の36.9%を占めている。高齢層は子供の分家、配偶者の死別などでやむを得ず1人世帯になる反面、若い世代は自発的1人世帯が多いと推定されている。若い1人世帯なら、資産管理にさらに気を使わなければならない時期であり、状況だ。韓国の1人世帯の経済的現実とこれを土台にした資産管理「ソロ(SOLO)」原則を調べてみた。

2023年の1人世帯の資産は2億949万ウォン(2343万円)、負債3,651万ウォンで純資産は1億7,300万ウォン(1935万円)程度になる。

2022年の1人世帯の年間所得は3,010万ウォン(337万円)で、全体世帯平均(6,762万ウォン)の44.5%水準だ。ただ、1人世帯の前年対比所得増加率は11.1%で、全体平均(4.5%)より2倍以上高い結果を示した。

若い世代が多く、所得水準自体が高くないため、最低賃金上昇などの影響を多く受ける様子だ。一方、年間支出は2068万ウォン(231万円)で、前年(1870万ウォン)比10.6%増加した。全世帯の平均支出が4,041万ウォンから4,267万ウォンに5.6%増加した内容と比べると、一人暮らしの生活に対する経済的効率性はますます落ちている。

一人暮らしの時、特に若い世代なら、資産管理の第一原則はできるだけ早く貯蓄する(Save)ことだ。自分以外には手に入れる対象がないので、ある程度キャッシュフローが発生すれば貯蓄するより消費志向的になりやすい。所得水準自体が高くなく貯蓄余力があまりない場合も多い。

資産管理に必要な要素は、お金だけではない。資産が増える可能性のある時間もまた必須要素だ。いくら少ない金額でも十分な時間を持って管理していると、一定水準以上の資産が作られる可能性がある。シードマネーを作るための貯金をできるだけ早く始めなければならない。

資産管理には「魔法の福利効果」があるといわれているが、これはいくら強調しても過言ではない。人生でシードマネー(新しいビジネスまたは事業を準備するために必要な資本)をどれだけ早く作るかによって、一生享受できる経済的効用の規模が顕著に変わる。資産管理型の金持ちのほとんどは1億ウォンのシードマネーを30代で作っている。

平均的な1人世帯の所得水準(年3,000万ウォン=335万円)なら、年間1,000万ウォン(112万円)程度は貯蓄してはじめてより良い未来を作ることが可能になる。5年間熱心に貯蓄して5,000万ウォン(560万円)を作ったとすれば、5,000万ウォンを加えて1億ウォンにする時間は5年よりはるかに短縮されるはずだ。

預金のような安定性金融商品だけで運用して資産を増やしていく方法は、所得自体が十分に多くなければ限界がある。資産を運用する立場で市中金利が高くない状況であるためだ。

資産増大のための 72 法則がある。72を年間収益率の数字で割ると、資産が2倍になる期間が出てくる。例えば、年収益率4%を仮定した場合、資産が2倍に増加するまでの期間は18年(72÷4)が出てくる。

熱心に貯蓄してシードマネーを早期に用意したとしても、引退前まで十分な資産を作ることは難しい水準だ。72法則によると、10年程度(10.3年)の期間に資産が2倍に増加するが、運用期間を30年とした場合、シードマネーを最大8倍(23)まで増やす可能性がある。

1億ウォンのシードマネーが30年が経ち、8億ウォンの資産になるのだ。もちろん、投資商品を活用すると価格変動性で毎年7%の収益率を出せないことがある。しかし、良い投資対象を選別して長期間分散投資を実践していけば、年7%の収益率も決して不可能な水準ではなく、それ以上も可能だ。資産を増やしたいなら、良い投資対象を探すことに積極的に乗り出さなければならない。

「レバレッジ(leverage)効果」とは自分のお金ではなく負債を活用してテコにして資産を増大する方法で「テコ効果」とも言う。例えば、10億ウォンで1億ウォンの利益を上げ、利益率が10%になる投資対象があると仮定しよう。ここに5%の利子で10億ウォンを借りて20億ウォンを投資すれば、2億ウォンの利益を上げることになり、5,000万ウォンの利子費用を除いても1億5,000万ウォンの利益が発生する。同じ資本でより多くの収益を上げることになるわけだ。このように利子費用より高い収益率が期待される時、負債を活用して投資するのが有利だ。

しかし、不利な点もある。負債を過度に発生させて投資をすることになれば、利子費用が上昇したり不況などで投資対象の価格が下落する時に耐えにくくなり、むしろ自己資本を早く使い果たす結果を持たらすこともある。資産の絶対レベルが低く、資産を早く増やしたい場合、レバレッジ効果を活用しようとする傾向が強く作用する。

不動産景気上昇に早く便乗するために最大限負債を発生し住宅を購入した「ヨンクル族(有り金全部を叩いて金を集め家を買う若者)」たちが最近ストレスのため大変な時間を過ごしているならばレバレッジ効果の副作用と言える。不動産、株式、暗号通貨など価格が変動する対象に投資する際には、耐えられる範囲でレバレッジを慎重に使用する必要がある。家を買ったはいいが価格がダウンし借りた金に対する利子を払わなければならないとすれば本末転倒だ。

若い頃を客観的に振り返ってみると、今よりずっと経済的に厳しい状況だった。しかしその当時は困難で大変だと思って生きたことはないように思う。それまで以上に良い未来のために目標を設定し、その目標を達成するために生きていたと思う。

目標に向かって努力していると、時間の差は少しあるかもしれないが、いつかは達成される「目標設定の効果」というものもある。目標設定自体が肯定的で、人生を楽観的に生きるようにする原動力だ。ますます良くなる世の中で、より良い人生を享受できるようにしてくれるだろう。未来を楽観しながら現在の生活に努力すれば、相応の結果は自然についてくる。

100 歳時代であるだけに、多くの人に十分な時間と機会が与えられている。若い世代ならなおさらだろう。消極的で自嘲的な態度で生きるのでなく、幸せな未来を夢見て生きていけるよう積極的な心をもつように努力しよう。(韓国日報、キム・ジンウン=NHWMマスターズ首席専門委員(NH投資証券100歳時代研究所長によるコラムより)

image by: Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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