「言葉と行動が別々ではいけない」習近平の言葉に滲む米国への強い不信感

 

ブリンケンが習近平との会談でそうした発言をしたとは報じられていない。中国側は会談の場で「『新冷戦』を求めず、中国の体制変換を求めず、中国を封じ込めず、同盟を組んで中国に対抗せず、中国との衝突を意図しない」という「四不一無意」をブリンケンの口から改めて引き出した。しかし依然としてアメリカの意図を探りかねているという。約束が実行に移されないことを強く懸念しているのだ。

アメリカ政治の本質が利害の対立であり、その調整が必ずしも機能していしないこともよく知っているからだ。例えば、ブリンケンは習近平との会談で、「中国を訪問中、私が現地で接触した各界の在華アメリカ人たちも、みな米中関係の改善を望んでいた」と述べいるものの、財界人の意見は明らかに米議会の対中認識とは隔っている。ワシントンの感覚も同じだろう。

例えばトランプ政権下の2019年、中央情報局(CIA)は習近平体制に市民の反感をたきつけることを狙い、2019年に情報戦を仕掛ける承認をドナルド・トランプ大統領に求めている。その内容を報じたロイターの記事(2024年3月24日)によれば、〈CIAは工作員部隊を立ち上げ、インターネット上で身元を隠して習体制の悪評を拡散したほか、海外の報道機関に中国政府のイメージダウンにつながる情報を流した〉という。

香港の民主化デモから新型コロナウイルス感染症の拡大のなか、中国のイメージが大きく傷ついた原因の一つだ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年4月28日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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