ショイグの「素人さ」が目立つようになったのは、やはり2022年2月にウクライナ戦争がはじまってからです。当時国営メディアは、「3日でキエフを落とせる」などとはしゃいでいましたが、実際は2年経っても戦争の終わりは見えません。それで、プーチンは、「軍事の素人」ショイグを交代させたのでしょう。
ちなみにプーチンは、独裁者ですが、「実力主義者」「成果主義者」ではありません。彼には、「実力」「成果」以上に、重要視しているファクターがあるのです。
それは、「忠誠心」です。忠誠心さえあれば、どんなに失敗しても、どんなに無能でも、悪いようにはしません。
ちなみに国防相を解任されたショイグは、「安全保障理事会書記」という重要なポジションにつきました。その意味については、後述します。
さて、ショイグに代わって国防相に任命されたのは、アンドレイ・ベロウソフです。ベロウソフも、軍人ではありません。経済学者です。
彼は1981年、モスクワ大学経済学部を卒業しました。2012年に経済開発大臣に就任。2013年、経済政策担当大統領補佐官。2020年、第一副首相。2024年、国防相に就任。
なぜ、経済の専門家が、国防相に任命されたのでしょうか?
国防次官が逮捕されていることからもわかるように、「国防省の汚職がすごい!」と言われています。プーチンは、ベロウソフを国防相にすることで、資金の流れを把握し、汚職を一掃し、ロシアが長期戦に耐えられるようにしたいのでしょう。
ショイグ国防相が辞めさせられて、経済学者のベロウソフが代わった。日本では、このことばかりが報道されています。しかし、プーチン人事最大の衝撃は、「ショイグ交代」ではありません。最大の衝撃は、安全保障理事会書記のニコライ・パトルシェフが首になったことです。
彼は、「大統領補佐官」に任命されました。安全保障会議書記の後任は、既述のようにショイグ国防相です。なぜ、これが「最大の衝撃」なのでしょうか?







