休憩時間をきちんととらせない場合、そのぶんの未払い賃金を請求されることがあります。無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社会保険労務士の飯田弘和さんがこの休憩時間の対応について詳しく解説しています。
未払い賃金を請求されることも。会社は「休憩時間」の対応を
雇用契約書や就業規則で定められた“休憩”が取れていないとして、労働者から、その分の未払い賃金を請求されることがあります。
たとえば、雇用契約書で、以下のように定められていたとします。
始業 9:00
終業 17:00
休憩 1時間
この契約では、拘束時間8時間、労働時間7時間となり、7時間分の賃金が支払われることになります。そのため、休憩が1時間取れなかった場合、その分は労働時間として、賃金を追加で支払う必要があります。
ところで、「休憩時間」とは、「労働者が権利として労働から離れることを保証されている時間」をいいます。そのため、現実に作業は行っていないが、何かあればすぐに対応するために待機しているような状態は、休憩時間ではなく、「手待ち時間」として労働時間となります。
休憩時間であれば、労働者が自由に利用できることは当然ですが、その“自由利用”も絶対的なものではないと考えられています。そのため、休憩時間中の外出を会社の許可制にする場合や休憩時間中であっても事業所内での政治活動を会社が禁止するような場合でも、休憩の本来の目的を害さない限りO.K.です。最高裁判決でも、休憩時間の”自由利用”について、「時間を自由に利用することが認められているに過ぎず、企業秩序維持のための制約を受ける」としています。
休憩時間か待機時間(労働時間)かで揉めることが多いのが、夜間のワンオペ作業です。ワンオペですと、何かあったら対応せざるを得ないことが多いと思います。そのため、たとえ、実際には作業等を行っていない時間が多くあり、労働密度が薄い仕事でも、“労働から離れることが保証”されていないとして、労働者から休憩が取れていないとの主張がなされます。これって結構グレーで、地裁判決では、ケースによって必ずしも労働時間と判断されるわけではないのですが、かなり注意を要するところです。たとえ1回10分・15分のコマ切れでもいいので、完全に労働から離れる時間をきちんと作る等の対応をしておいた方が会社としては安心です。
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