販売員からの「お似合いですよ」をあなたは信じますか? 売らせる常套句として知られているこの言葉ですが、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは店員時代、その言葉の重さに気づいた出来事に遭遇したといいます。一体どんな場面だったのでしょう?
似合うものを売りたくなった理由
昔僕がアパレル店員だった頃の話です。
まだアパレル販売をはじめてたいして時間も経っていなかった頃に、ある男性のお客様を接客しました。
言ってしまえばちょっとコワモテなお客様です。
僕は超ビビリなので、「ちょっと怖いな~」と思いながら接客をしはじめたのですが、話してみると案外楽しく会話ができていました。
そうして試着をしてもらい試着室で接客をしていたところで、僕は「これいいですよ、似合いますよ」という言葉を発しました。
するとお客様は突然顔が真剣になり、「にいちゃん、本気で似合うって言ってる?本気で言ってるなら買うよ」と凄まれたんですね(笑)。
僕が似合うと言っているのがあまり信用ならなかったのだと思います。
めっちゃ怖かったのですが、僕は「本気で言ってます」と自分の思いをぶつけました。
するとお客様はまた笑顔になり、「じゃあ買う」と買ってくれたのです。
もしあの時、本当は似合わないと思いながら接客をしていたのだとしたら、多分僕は戸惑ってしまって言葉につまり、買ってはもらえなかっただろうと思います。
それ以来、お客様に”似合う”という言葉を使うのは、自分がそう思った時にすることにしました。
でないと、お客様から「本気?」と尋ねられて目を見て答えられないような気がしてしまうからです。
真っ向からコミュニケーションを取られると、嘘ってつけません。
表面的なコミュニケーションであれば、それこそそれなりの言葉を並べていればどうにかすることはできます。
ただそうして表面的な言葉や態度で接している時に、相手が本気で真っ向からぶつかってきた時には案外簡単にボロって出てしまうものです。
そこでボロを出してしまうくらいなら、最初からこちらも素直に正直に接していた方が良い。
そういう経験をとても早い段階で僕はお客様からさせてもらえたのは、今でもラッキーだなと思っています。
僕自信、嘘をついてしまうことはあります。
たいした人間でもありませんし、清廉潔白で生きることなんてできません。
でも、本気でぶつからなければならない時に逃げるようなことはしたくないなとは思っています。
そこで逃げてしまうようであれば、もう取り返しはつかなくなる気がするのです。
だから真っ向勝負ができるように、できる限り正直にお客様とは接したいなとも思っています。
幸い今の仕事は、たとえ収益になるとしても「やらない方がいいですよ」など正直に意見をぶつけてしまうこともあるのですが、そのおかげかむしろうまくいっていることの方が多いです。
あの時接客したお客様のことをいつまでも忘れないでいたいですね。
今日の質問&トレーニングです。
1)真っ向からお客様がぶつかってきた時に、自分の接客に自信を持って関われますか?
2)もし今は関われないとするなら、1年後にはどんな自分でいたいですか?
image by: Shuttetstock.com