3.ホワイトカラー人材削減
ホワイトカラー人材の削減が進めば、現場の人材不足は解消されるだろう。そして、ホワイトカラーの仕事をAIに代替えさせれば、大幅な人件費がカットされるので、それを製造や販売の現場に回すことが出来る。給与水準が上がれば、販売員や工場労働者でも、結婚し、住宅を購入し、子育てが可能になるだろう。
これは昭和の日本に戻るということだ。グローバル化、情報化の進展は格差を拡大し、一部の特権階級に富を集中させた。一方で、庶民は貧しくなった。高額な教育費を負担し、大企業に入社することが幸せにつながるという時代は、AIによって終焉を迎えるだろう。
4.次世代のAIを考える
次のAIの進化は、どのようなものだろう。
第一は、AI間連携である。AI同士が連携するようになれば、自動化が進むだろう。常に取引をしている会社同士ならば、AI同士がデータ交換をして、価格交渉、納期交渉等を行う。データ交換の記録があるので、すべての見積書、請求書、納品書等が自動発行されるので、事務作業は大幅に軽減される。言った言わないの問題、伝票の記載ミスもなくなる。
新規取引先開拓にしても、会社の情報公開と与信管理が進めば、AIがリスト化し必要に応じて提案してくれる。あるいは、コンペ方式の提案募集も容易になるだろう。
外部スタッフへの歩合給計算、外部クリエイターへのロイヤリティ計算等をAIが行ってくれれば、社内人材だけでなく外部人材の活用も進むはずだ。
第二に、パーソナルAIである。個人が個別のAIを教育し、独自の思考、創作などを行うというものだ。あらゆる分野のクリエイターが自分のAIアシスタントを持つようなイメージである。
現在のChatGPTは、ネット上の情報を基本にしているので、汎用的なアウトプットになってしまう。ユーザーの個性が発揮されないし、オリジナルな発想にはならない、しかし、パーソナルなインプットを優先し、個性が発揮できるようになれば、クリエイティブなAIが生まれるのだ。
■編集後記「締めの都々逸」
「人工知能で アトムが動く あたしゃ人工痴呆かも」
日本の強みは現場の強みです。社長がアホでも、現場がしっかりしていれば会社は回ります。これは国家単位でもいえることで、総理が誰でも日本が傾くことはありません。
現場が主体で困ったことがあれば上司に聞きます。多くの場合、的確な回答など返ってきませんが、報告、相談しないと責任が現場に来ます。この上司の役をAIがやればいいと思うんですよね。
AI上司はパワハラもセクハラもしないしね。そのうち、結婚相談にもAI上司が相談に乗ってくれるかもしれません。AI上司は口も堅いので安心ですから。(坂口昌章)
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