AIが人間の仕事を奪うと言われて久しい昨今ですが、具体的にはどんな仕事がAIに奪われてしまうのでしょうか? 今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、AIがやるべき仕事、人間がやるべき仕事について語っています。
AIはサラリーマンを淘汰する
1.AIの仕事と人間の仕事
以前、「AIが人間の仕事を奪う」という話が流行った。ビッグデータ処理、機械学習によってAIの可能性が出てきた頃だ。
当時、最初になくなる仕事は、カフェの店員だと言われた。オーダーと会計は自動化可能、飲み物はロボットが運ぶ。カフェの店員の仕事はなくなるというのだ。
私には、見当はずれの意見に思われた。AIの進化でなくなるのは、バックヤードの仕事に違いない。売り上げ予測、予算管理、商品の仕入れ業務、従業員のローテーション管理等はAIが行うことができる。
顧客と接する店員は最も重要である。ちょっとした表情や仕草、顧客との短い会話等がカフェの魅力につながる。カフェとは、飲み物を購入するだけの場所ではない。てきぱきした店員の動きや笑顔が、顧客をリラックスさせるのだ。
人間は合理的なビジネスだけを求めているのではない。感情的な要素こそ重要なのだ。
2.ChatGPTが仕事を奪う
その後、画期的な機能を持つChatGPTが開発された。ChatGPTを活用すれば、簡単なプログラム作成、文章作成や翻訳も可能だ。
サラリーマンは、最新のツールに興味津々だが、自分の仕事がChatGPTに奪われるとは考えていない。漠然としたAIには恐怖を感じても、具体的なChatGPTは恐れないのだ。しかし、ChatGPTは今後も進化するし、ChatGPTの新たな使い方も次々と開発される。
サラリーマンの仕事の9割はルーチンであり、ルーチンは全てAIが代替えできるのではないか。マニュアル化できる仕事も全てAIが代替えできる。全ての仕事を代替えできなくても、人数を半減するのは難しくないだろう。
日本企業は身内を大切にするので、積極的に社員を減らそうとはしない。むしろ、社員の給料を確保するために、下請けを叩いたり、安い原材料を海外から輸入したりする。あるいは、非正規社員の報酬を削るかもしれない。
しかし、積極的にAIを活用し、極限まで人員を減らしたベンチャー企業が世界のどこかで生まれるだろう。そうなれば、世界的にホワイトカラー人材の削減がトレンドになるに違いない。
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