9月19日未明、前日に中国の深センで男に襲撃された10歳の日本人学校に通う男子児童が死亡し、日本国内で大きく報じられています。なぜこのような悲痛な事件が起こってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、中国で相次ぐ日本人をターゲットにした事件を取り上げるとともに、そのたび見せる習近平政権の誠意のない対応を批判。さらに日本政府に対しては、台湾の頼清徳総統のような毅然たる態度で中国政府と向き合うことを求めています。
※ご高齢ということもあり、今年3月からメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の「ニュース分析」コーナーの執筆をスタッフに任せて、自身は「国家論」の連載に集中していた台湾出身の評論家・黄文雄さんが、7月21日に85歳で永眠されました。今後もメルマガは黄さんの思いを継ぐスタッフにより継続されます。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】なぜ中国で日本人憎悪が高まっているのか
日本人男子児童が死亡。中国で高まる日本人憎悪と国民の命を守らぬ日本政府
● 通学途中の日本人男児、中国・深センで何者かに刺される…6月には蘇州で母子ら襲撃
中国で邦人に対するいやがらせが増えているとの報道を見ていたタイミングで冒頭の記事が出ました。どのような事件なのかについては、以下、報道を一部引用します。
中国南部・広東省深セン市で18日朝、深セン日本人学校の男子児童が通学途中に男に襲われた。児童は刺されて負傷し、搬送先の病院で治療を受けている。容疑者は中国当局に身柄を確保され、取り調べを受けているという。
● 通学途中の日本人男児、中国・深センで何者かに刺される…6月には蘇州で母子ら襲撃
刺された男児がどのような状態なのかについては報道にありませんが、明らかに邦人を狙っての犯行のようです。この事件にもありますが、今年6月には「東部の江蘇省蘇州市で日本人母子ら3人が刃物を持った中国人の男に襲われる事件が発生」しました。この時は、バスに同乗予定だった中国人の女性スタッフが子供をかばって死亡する事件がありました。
● 中国・蘇州で日本人母子らが男に襲われた事件、制止した中国人女性が死亡…日本大使館が半旗
最近では、北京にある清の皇室の庭園だった円明園で、日本人観光客が中国人ユーチューバーに暴言を吐かれたという報道がありました。それについて以下、報道を一部引用します。
日本人を案内していた旅行ガイドが、中国人男性に写真を撮るのでよけてほしいと要求すると、この男性はこれを断り、「あなたたちは日本人なのか。私に日本人のためによけろと言うのか。この円明園ではそのようなことを言ってはならない」と答えた。
騒ぎが続いて管理所の職員が登場すると、さらに悪い反応が出てきた。管理所職員は「(日本人は)入って来られない。日本人は嫌いだ。そいつを追い出すことに私も賛成する」と言った。結局、日本人観光客は騒ぎの末にその場所を離れた。
このような内容は、日本人と対峙した中国人男性がその一部始終を撮影した動画を公開したことで知られるようになった。この男性は「亜人」という名で、友人とともに活動するインフルエンサーだった。
● 「円明園から出て行け」…中国で日本人観光客へのヘイト事件相次ぐ
この場合、このユーチューバーが人気集めのためにわざと起こした事件のような気もしますが、やはりこれも邦人を狙った事件です。
この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ
憎んでいるフリをしていた日本に移住してくる中国の人々
中国国内で日本人が狙われている一方で、日本に移住する中国人が増えているというニュースもあります。その理由はいくつかありますが、日本への移住を決めるのは富裕層だけでなく、中間層や若者まで幅広い層の人々だということです。
● 富裕層と若者の国外脱出が止まらない中国、移住先に日本が選ばれる当然の理由
中国国内にいる人々は、中国政府に媚びを売るため日本人を威嚇し、辱めることに腐心し、そうしたことに疲れた人々は中国を脱出し、憎んでいるフリをしていた日本に住んで、日本にある中国人ネットワークの中で言論の自由を謳歌するわけです。
こうした中国人の振る舞いに対して、日本政府はもっと毅然とした態度で挑むべきです。中国政府に対して邦人の安全確保の申し入れを行ったと報道にはありますが、中国政府は中国内で起こった事件については、あくまでも偶然の事故であって、邦人を狙い撃ちしたものではないと公言しています。
謝罪の意を表することは一切なく、図々しくも、どの国においてもこうした偶然の事故はあると平然と言ってのけています。これに対して日本政府は、特に抗議するわけでもなく、「安全確保の申し入れ」をするだけです。日本は甘く見られているとしか思えません。
一方で、中国政府から敵視されている台湾の頼清徳総統は、中国の覇権主義について次のように発言しています。
「中国が台湾を併呑しようとしているのは領土保全のためではない。もしそうなら、なぜ愛琿(あいぐん)条約でロシアに占有された土地を取り戻さないのか」。頼氏は台湾のテレビ局のインタビューで「中国は世界秩序を改変し自らの覇権を実現しようとしている」と訴えた。
米欧に対抗するため戦略的な協力を深めている中露にとって、領土紛争の歴史はデリケートな問題だ。帝政ロシアは清朝が第二次アヘン戦争で英仏に敗北を重ねたのに乗じ、1858年の愛琿条約でアムール川(黒竜江)以北の60万平方キロ余りを割譲させ、2年後の北京条約ではウスリー川以東の40万平方キロ超を得た。現在も中国ではロシアから領土を「不法に奪われた」との認識が一般的だ。
● 「なぜ中国はロシア占領の土地を取り戻さない」 台湾総統の発言に露ハッカーが「報復」
この発言によって、台湾は中国にロシアの領地を取り返せとたきつけたとして、ロシアのハッカー集団が怒り、台湾を標的にしたハッキングを何件か行ったとありますが、頼清徳総統の中国を恐れず毅然とした態度は、見ていて胸がすく思いです。
日本政府も頼総督に学び、このような毅然とした態度を取って欲しいものです。折しもまさに今、自民党内で総裁選が行われている最中です。中国にどのような態度で挑む人物なのかを争点の一つとして、総理大臣となる人物をしっかりと見極めて欲しいものです。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年9月18日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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