ソフトバンクが10月3日に開催した招待客限定のリアルイベント「SoftBank World2024」初日に参加したという、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。孫正義会長の講演よりも、宮川潤一社長の講演にワクワクが止まらなかったといいます。来るべきAI時代に向けて、宮川社長は何を語ったのでしょうか。
ソフトバンク宮川社長「好む・好まざるに関わらず、AI時代はやってくる」。AIを使わないと人生を悔い改める日は来るか
2024年10月3日と4日、ソフトバンクは法人向けイベント「SoftBank World2024」を開催した。3日は招待客限定のリアルイベントだったため、有名企業のキーマンの姿が数多く見受けられた。
孫正義会長の講演は「OpenAIのo1がいかに凄いか」という話でしかなかったが、宮川潤一社長の講演は現実をしっかりと分析しつつ、ソフトバンクがAI時代に社会インフラを提供していくという意気込みが感じられて、聴いていてワクワクが止まらなかった。
宮川社長は「好む・好まざるに関わらず、AI時代はやってくる」として、単にAIを業務効率に使うのではなく、いかに「価値創造の原動力にするか」「市場を奪われるのではなく、市場を作り出す」ような企業になるべきだとした。
実際、少子高齢化が進む日本では、2040年頃には労働者人口がいまよりも1000万人近く減少すると言われている。当然、GDPも大きく減少するのが目に見えているが、一方で、AIを活用し、業務効率化するだけでなく、新たな価値を創出することで、一人あたりの生産性は今よりも2倍近く高めることが可能だとしてしている。
ただ、宮川社長によれば、経営層のAIに対する姿勢、取り組みにおいては圧倒的に世界に比べて日本が消極的だという。
特に「2024年、生成AIに消極的な理由」と「2008年、スマホに消極的な理由」のランキングを並べ「必要性を感じない」「使い方・利便性に不安」「特に理由は無い」といった理由が共通していた、というのがとても興味深かった。
インドや中国、アメリカの企業がAIへの取り組みを本格化していけば、当然、消極的な日本は置いていかれるわけで、GDPでも大きく差をつけられてしまうことになる。日本の企業としてはいますぐにでもAIに取り組んでいかなければいけないわけで、そうした企業のお尻を叩くのがソフトバンクの役割というわけだ。
確かに振り返って見れば、SoftBank World2024は、過去も消極的な企業の目を覚まさせる役割をしてきたように思える。
2012年のSoftBank Worldで孫社長は「iPhone、iPad、スマートフォン、どれも持っていないという人は、今日から人生を悔い改めていただきたい」なんて発言していたのだった。
iPhoneとiPadは武士の小刀と大刀になぞらえ、両方を携帯する二本差しこそ、現代の武士たるビジネスパーソンのたしなみだと力説していた。
そう考えると、まさに孫会長としては「OpenAIのo1」は、これからビジネスパーソンにとっての刀になると予言しているのだろう。生成AIを使いこなせない人は「人生を悔い改める」日がいずれ来るのかも知れない。
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