フォルクスワーゲンのBEVが中国で失敗?──そんなショッキングな見出しを受けて日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では、中国の自動車業界で何が起きているのかについて解説しています。
日系三社の数倍のBEV販売でもVW「利益が出ない」中国の現状
中国でBEVに失敗した独VWは回復可能か?-こんなショッキングな見出しの論考が中国現地で発表された。
まだ販売好調なVWが失敗とされれば、日系含むすべての外資のBEVは失敗、を意味する。
この論考の最後でも、VWの中国における苦戦は序章に過ぎず、当然その他の外資の今後の動きにもつながってくると指摘している。
何が起きているのか?
衝撃の減益64%
2024年10月30日に発表された第3四半期の決算報告によると、VWグループは今年、販売と利益の両面で厳しい局面に立たされている。
グループの世界全体の第3四半期の販売台数は前年同期比で7.1%減の217.6万台となり、電気自動車の販売も9.8%減の18.9万台となった。
これにより、VWは今年度の累計業績にも悪影響を与えと予告。
特に、第3四半期の純利益は前年同期比で63.8%減の15億7000万ユーロ、営業利益は41.7%減の28億6000万ユーロとなり、純キャッシュフローも32.7%減少している。
本国工場閉鎖の動き
これらの結果を受け、VWはコスト削減の必要性を強く認識しているが、実際の施策の実施には課題が残る。
オリバー・ブルーメCEOは、ドイツ国内の運営コストが競争力を削ぐ大きな要因であると指摘し、コスト削減のために同国内の複数の工場の閉鎖や数万人の従業員削減を検討している。
しかし、この動きは従業員の抗議を引き起こし、ドイツのシュルツ首相も介入し、労働者の雇用を守るよう求めた。
中国でもリストラ
さらに、VWはドイツに限らず、中国でも2024年9月にリストラを実施した。
販売減少やリストラ、高層部のスキャンダルを背景に、VWは「歴史的な決断の時」を迎えていると表明している。
特に、中国市場における競争力の低下は大きな課題だ。現地の電動車市場は急成長を続けており、BYDなどの現地メーカーに対して後れを取っている。