近年さまざまな箇所から上る、警察や司法の能力低下を指摘する声。大きな注目を集めた複数の裁判における判決に対して、多くの国民が疑問を呈しているのも事実です。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、そうした「釈然としない」事例を多数紹介。その上で、尊い命が蔑ろにされていると思わざるを得ない現状を疑問視しています。
※ご高齢ということもあり、今年3月からメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の「ニュース分析」コーナーの執筆をスタッフに任せて、自身は「国家論」の連載に集中していた台湾出身の評論家・黄文雄さんが、7月21日に85歳で永眠されました。今後もメルマガは黄さんの思いを継ぐスタッフにより継続されます。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【日本】逮捕・起訴・裁判をめぐる警察・司法の劣化と日本の危機
失われる「だけ」の尊い命。目に余る警察・司法の劣化で危機に瀕する日本
● 注文の列の最後尾で突然襲われ…30秒足らずの犯行か マクドナルドで中学生男女2人刺され女子生徒死亡 福岡・北九州市
福岡で15歳の未来ある若者が通り魔に殺されました。犯人は逃走中で、まだ捕まっていません(編集部註:12月19日午前10時頃、北九州市内に住む40代の男性が男子生徒への殺人未遂の容疑で逮捕されました)。理由はどうあれ、ひとつの尊い命が失われました。
和歌山県では、資産家の夫に覚醒剤を多量に摂取させ殺したとの疑いがあった元妻が、無罪判決を受けました。無罪になった理由は、状況証拠ばかりで決定的な証拠がないという理由でした。
福島県の猪苗代湖では、元会社役員の男が水上ボートを飛ばして泳いでいた8歳の男児をひき殺し、その母親の両足も巻き込まれ切断した事件がありました。犯人の男は無罪。理由は、ボートの操縦席からは男児が死角になっていて、見えなかったのは仕方がないから。
どの事件も、尊い命が失われています。和歌山の事件について、裁判で語られたのは、密売人から元妻が受け取ったのは氷砂糖だった可能性も否定できない。猪苗代湖事件の裁判で語られたのは、男児が死角で見えなかったのは仕方がないから。
事件の経緯はそうだったかもしれません。しかし、和歌山の資産家は不自然な死を迎えました。猪苗代湖ではボートが男児を殺しました。人の命を奪ったボートを運転していた男性が、なぜ無罪なのでしょうか。
男児が泳いでいたのは遊泳禁止区域だったとのことですが、ボートの利用も禁止されていた区域でした。報道によれば、双方ともそのことを知らなかったことで、事故が起きました。双方に過失があったとはいえ、死亡事故を起こした側が、本当に無罪でいいのでしょうか。
● 事故原因は「ボートの加速」と遊泳エリアの「周知不足」 運輸安全委調査結果 猪苗代湖ボート事故
和歌山も同様です。確固たる証拠がないから、資産家の男性は自ら誤って大量の覚醒剤を窃取した可能性もある、として元妻は無罪。しかし、資産家の男性が自ら覚醒剤を摂取した確たる証拠もありません。
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少なくない「犯人の言い分が優先される」という声
もちろん「疑わしきは罰せず」の推定無罪は裁判の大原則です。確たる証拠がないのに、罪人と決めつけるのは、明らかに間違いです。とはいえ、このところの逮捕事案や判決について、なにか釈然としないことが多いのも確かです。
さまざまな事件や判決を見るにつけ、警察や検察、司法の事件解決力、真実を明らかにする力が、明らかに弱まっているように思えてなりません。
冒頭で取り上げたニュースもそうです。飲食店のレジに並んでいた塾帰りの中学生を、犯人は30秒ほどの短い時間に刺し殺し逃げて行った。わずか30秒で、人生を全うするため日々勉強に勤しんでいた、未来ある若者の命をあっさりと奪っていき、いまだに逃げています。
たとえば、2023年7月に、埼玉県川口市でクルド人ら100人が市内の病院周辺に殺到して乱闘騒ぎを起こし、刃物で相手を切りつけるなどした7人の男性が、殺人未遂などの容疑で逮捕されましたが、その後、さいたま地検は全員を不起訴処分としました。
裁判所は不起訴理由を明らかにしていませんが、この乱闘で病院は約5時間半にわたり救急搬送ができない状態になったということもあり、納得できない川口市民も少なくありません。
● クルド人問題、殺人未遂の7人なぜ全員不起訴なのか! 川口市の病院騒動発端、不可解処分に「市民は恐怖でしかない」
近年では事件処理の7割が不起訴になっている一方で、不起訴理由が不明とする記事の件数も爆発的に増えているとのことです。もちろんその理由は検察が理由を明かさないからということです。
これでは市民としては、かなりフラストレーションと不安が溜まります。一部では、言葉の壁のある外国人の取り調べや裁判は面倒なので、検察は不起訴にしているという噂まで出回っています。
このメルマガでも取り上げましたが、最近の中国では、通り魔が人を刺す事件が頻発しています。日本人学校の子どもも、通り魔に殺されました。
● 「肝臓や腸が飛び出た状態だった」 「日本人学校10歳男児刺殺事件」救命を手伝ったママ友の証言
中国人の日本に対する印象は過去最悪だという報道についても、このメルマガで取り上げたばかりです。
【関連】悪意あるSNS動画が元凶か。中国人の「対日感情」が“急激に悪化”した分かりやすい理由
中国で通り魔となった犯人は、逮捕されたあと、賃金が安いのが不満だの、自分の人生に不満だの、社会への不満を口にしていたようです。
● 中国 学校で切りつけ 8人死亡17人けが 殺傷事件続き不安広がる
そして、中国人の日本人に対する印象が過去最悪になった今、中国に住んでいる日本人が狙われるのと同様に、日本にいる中国人が日本人を狙っても、なんら不思議はありません。
あまりにも命が軽々しく扱われています。そして、現在の日本の司法はそれを罰することもしません。
長野県で15歳の男子学生を車ではねた男は、飲酒運転がばれないように、男子学生をひいたあとコンビニで口臭ケア用品を買ってから通報しました。男子学生は死亡しましたが、二審判決で男は無罪。事故から10年が経っても、男はなお有罪にはなっていません。
● 母「こんな国に産んでごめんね」15歳息子が死亡 飲酒隠そうと口臭防止剤 二審の“ひき逃げ”「逆転無罪」見直される可能性 両親「反省のない被告人に実刑判決を」 最高裁で弁論
日本の司法はなぜこれほどまでに機能しなくなってしまったのでしょうか。犯人の言い分が優先され、失われた尊い命がないがしろにされているという声も少なくありません。
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「報道しない自由」で社会正義を歪ませるリベラルメディア
こうした状況の背景には、メディアの問題も多分に影響しているのではないかと思わざるを得ません。一部のリベラルメディアでは、不法滞在外国人の国外退去を求める日本人を「レイシスト」と決めつけることもあります。
以前、自民党の若林ようへい氏が、Xで、
我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰り下さい。
日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解出来ない外国の方は母国にお帰り下さい。
本来外国人に対する生活保護などありえません!母国に保護して貰って下さい。それでも日本に居たいなら日本のルールくらい守れ!
● https://x.com/w_youhei/status/1759579379003474000
我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰り下さい。
日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解出来ない外国の方は母国にお帰り下さい。
本来外国人に対する生活保護などありえません!母国に保護して貰って下さい。それでも日本に居たいなら日本のルールくらい守れ! https://t.co/cgMj57Xdxo— 若林ようへい (@w_youhei) February 19, 2024
と述べたところ、共同通信は「我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰り下さい」という、発言の趣旨の根幹部分をまったく報じず、「自民若林氏、クルド人憎悪あおる 『国にお帰り』とSNSに投稿」という見出しで、若林氏への憎悪をあおっていました。
● 自民若林氏、クルド人憎悪あおる 「国にお帰り」とSNSに投稿
誰が読んでも、傍若無人な態度で日本人に迷惑をかける外国人は、日本に来てほしくないということを言っただけであるにもかかわらず、共同通信は、あたかも日本の文化・しきたりを知らない、よく理解していない外国人に対する発言として切り取り報道していました。
共同通信にとっては、犯罪行為などで日本人に迷惑をかける外国人もウエルカムなのでしょうか。あるいは日本人を拉致した北朝鮮工作員もウエルカムなのでしょうか。そういった外国人拉致犯を「日本に来るな」というのも、憎悪を煽るヘイトなのでしょうか。そうとしか思えません。
クルド問題については、20年前、法務省入国管理局が、日本において難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し、難民ではなく「出稼ぎ」と断定する報告書を作成していたにもかかわらず、日本弁護士会が人権侵害と問題視したことから、この調査結果が事実上「封印」されていたということが判明しています。
● 川口クルド人「出稼ぎ」報告書、浜田議員が法務省から入手し公表 産経確認文書と同一
しかし、このことを報じた主要メディアは産経新聞だけで、もちろんこれまで難民申請クルド人への疑問や批判を「ヘイト」扱いしていたリベラルメディアは「報道しない自由」で知らんぷりです。
こうしたメディアの姿勢が、社会正義を歪ませてしまっている一因かもしれません。
一方で、大阪検察庁の元検事正が部下に性的暴行をしたと訴えられています。被告は北川健太郎、大阪地検のトップ検事正でした。酒に酔った部下に無理やり性暴力をふるっておきながら、口止めをしたり、罪を認めていたはずなのに、一転して無罪を主張したりと、自己保身のためになりふり構わずです。
もちろんまだ真相はわかりませんが、このような検察に罪人を正しく起訴し、裁けるのでしょうか。
日本はこのままでは衰退する一方です。「神道」が根付いた日本を、日本精神を、日本人は取り戻さなければなりません。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年12月18日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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