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不倫発覚の直後に「原発新増設」要望書を首相に手渡し。玉木雄一郎「トイレのないマンション」を推進の“狂気の沙汰”

経済産業省が12月17日に発表した「第7次エネルギー基本計画」。東日本大震災以降明記されてきた「原発への依存度低減」の文言が削られたばかりではなく、原発建設推進に向かう内容が大きな賛否を巻き起こしました。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、次期エネ基が原発回帰に大きく振れた裏事情を紹介。さらに「脱原発こそが最大の防衛」である理由を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:脱原発こそが最大の防衛

ロシアが東海第二発電所を攻撃目標に。脱原発こそが最大の防御

年が明けると多くの人は、去年の出来事を「もう終わったこと」として忘却の彼方へと置き去りにしてしまいがちですが、ヘビのように粘着質なあたしは、年が明けても去年のことをネチネチと責め続けます。たとえば、国民民主党の玉木雄一郎代表の不倫問題です。

玉木代表は2006年、自身のブログに政治家の資質として「絶対に不正をしない」「絶対に不倫をしない」という2つの例を挙げ「そもそも政治家として有権者の信頼に耐えうる集団であることを、自信をもって約束できる集団であるべきだと思います」などとおかしな日本語で熱弁しています。つまり「不正や不倫をするような輩は政治家たりえない」と言っているわけです。

それなのに玉木代表は、昨年11月11日の「ポッキーの日」、写真週刊誌『FLASH』に自身の不倫を報じられました。自ら政治家の資質として挙げていた例を破ったということは「私には政治家としての資質がない」と認めたことになります。普通なら「議員辞職」、最低でも「代表辞任」でしょう。しかし玉木代表は「党役職停止3カ月」という痛くも痒くもない形だけの処分でお茶を濁した上、それまで通りにテレビやラジオに出まくったのです。

ま、それは別に構いませんが、何よりもあたしが許せないのは、不倫が報じられた約2週間後の11月27日のことです。この日、玉木雄一郎氏は国民民主党の幹部らとともに石破茂首相と面会し、政府が策定する次期エネルギー基本計画に「原発新増設」を盛り込むように求める要望書を手渡しやがったのです。

おいおいおいおいおーーーーい!黙って不倫だけしてりゃいいものを、何やっての?このバカ!…というわけで、玉木氏は、この「原発新増設」について、自身のツイッター(現・X)で「現実的なエネルギー政策」だの「安価で安定的な電力供給がなければ経済成長も賃上げもできません」だのと主張しました。しかし、これは完全なミスリードなのです。

皆さんご存知のように、2011年3月の福島第1原発事故から、まもなく14年が経とうとしている現在も、日本は未だに「緊急事態宣言」が解除されておらず、福島県では2万6,000人を超える人々が原発事故による放射能汚染のため、今も県内外に避難中です。

また、福島第1原発内の約880トンと推定されている殺人レベルの核燃料デブリは、まだ耳かき1杯分の0.7グラムを試験的に取り出しただけで、すべてを取り出して安全に処分する目途はまったく立っていません。毎日大量に発生し続けている高濃度の放射能汚染水も、トラブル続きの「アルプス」によって自称「安全なレベル」にまで処理した上で海洋投棄を続けていますが、こちらも根本的な解決策は何もありません。

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年が明ければ過去のこと。自民党と国民民主党の作戦勝ち

こうした現状のため、さすがの自民党も選挙時の公約では「再稼働」に触れるのが精いっぱいで、「原発新増設」についてはパンドラの箱の奥深くに仕舞って来ました。しかし今回、野党である国民民主党からの要望ということで、まさに「渡りに舟」、自民党はマッハのスピードで経産省に打診して、原発について「次世代革新炉の開発・設置に取り組む」との文言を盛り込んだ「第7次エネルギー基本計画」の原案を策定し、12月17日、経産省に発表させたのです。

玉木氏が11月27日に石破首相に要望書を提出してから、わずか3週間後という早業です。これは、どうしても12月中に発表し、一時的に批判の声が挙がっても、年が明ければみんな忘れる作戦なのでしょう。実際、前回の第6次エネルギー基本計画が発表されたのは2021年10月、その前の第5次は2018年7月、その前の第4次は2014年年4月であり、年末のバタバタした時期の今回の発表は異例中の異例なのです。

この原案に対して、朝日新聞は「原発回帰ありき」、毎日新聞は「被災地、原発回帰に怒り」、東京新聞は「こりずに原発回帰」などと一斉に批判の声を挙げましたが、それも一時的なものとなり、年が明ければ過去のこととなってしまいました。自民党と国民民主党の作戦勝ちです。

玉木雄一郎の「原発は安価な電力」という大きなウソ

さて、ここで先ほどの玉木氏によるツイッターでのミスリードについて説明します。これは多くの人が知らないか忘れていると思いますが、あたしたちが毎月支払っている電気料金には、原発事故後10年目の2021年10月から、今もずっと「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」が上乗せされているのです。前者は原発事故による賠償金の不足分で約2兆4,000億円、後者は廃炉作業のための国民負担分で約4,740億円です。

こんなものを消費者に負担させなければ運用できないくせに、何が「安価な電力」なのかと、あたしは玉木氏や原発推進派の皆さんに聞きたいです。「原子力は未来のエネルギー」などと大嘘を垂れ流していた何十年も前のデタラメ試算を未だに引っ張り出して来て「原発は発電コストが安い」などと抜かす大バカは、今すぐ福島第1原発の廃炉作業に行ってください。

アメリカの金融・経済情報サービス「ブルームバーグ」が、均等化発電原価(発電方式別の発電コスト)を試算したところ、もはや完全に前時代の遺物となりつつある原発の発電コストは、最新型の風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの「3~6倍」も掛かると報告されました。こうした事実を踏まえれば、今すぐにすべての原発を止めることはできないとしても、決して「新増設」などはせず、再生可能エネルギーに置き変えつつ、原発はフェードアウトして行くべきなのです。

そもそもの話、もしも福島第1原発事故が起こらなかったとしても、原発は「トイレのないマンション」なのです。原発を運用し続ける限り、無限に増え続ける使用済み核燃料の処理の問題は、今もまったく解決していません。自分が生きてる間さえ良ければ未来などどうなっても構わないと思っている無責任な人たちは「地層処分」などと抜かしていますが、4つのプレートが常に干渉し合っている上に、北から南まで2,000を超える活断層が縦横無尽に走っている日本列島の地下に使用済み核燃料を埋めるなんて、正気の沙汰とは思えません。

人が近づけば数十秒で死んでしまう使用済み核燃料は、無害になるまで10万年以上も掛かりますが、これを比較的安全な状態にするための容器は100年しか持ちません。つまり、地下数百メートルに埋めた大量の使用済み核燃料は、100年ごとに掘り出して、新しい容器に入れ替えて、また埋めなければならないのです。これを10万年先まで、一体、誰がやってくれるのでしょうか?

今のあたしたちにできることは、せめてこれ以上は使用済み核燃料を増やさないこと、これ一択です。それなのに、どうして東大まで出てる玉木氏は、高卒のあたしでも分かるこんな当たり前のことが理解できないのでしょうか?その答えは簡単です。国民民主党は電力総連や電機連合など原発に関連した産業別労働組合から支援を受けており、これらの労組の組織内議員を党内に何人も抱えているからなのです。

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全国の原発を廃炉にしたほうが日本は遥かに安全な国に

さて、ここでちょこっと車線変更して、昨年の大晦日に報じられた英国フィナンシャルタイムズのスクープを紹介します。直訳すると「ロシアが日本と韓国への攻撃のために将校を訓練していた」という見出しで、記事では同紙が入手したロシア軍の2014年の機密文書の内容を紹介しています。この機密文書にはロシア軍事アカデミーの記章が刻まれており、今後、NATOとの戦争が勃発して東アジアまで拡大した場合に、ロシア軍は日本と韓国をどのように攻撃するか、それを軍の将校らにシミュレーションさせるために作成された文書だそうです。

文書には日本と韓国の攻撃目標が計160カ所、具体的に記されており、約半数の82カ所は司令部や航空基地などの防衛関連施設ですが、その他は原発や工場、橋などの民間インフラです。記事では、すべては紹介されていませんでしたが、日本では本州と九州を結ぶ「関門トンネル」や茨城県東海村の原発「東海第二発電所」が攻撃目標に上げられていました。真っ先に攻撃する原発が「東海第二発電所」というのは、もちろん首都東京に最も近いからです。

そして、その攻撃方法についても、極めて具体的に書かれています。たとえば、北海道の奥尻島にある航空自衛隊のレーダー基地については、基地の写真と正確な位置や建物の大きさだけでなく、「戦略爆撃機『Tu160』1機から12発のミサイルを発射すれば85%の確率で破壊できる」と明記されています。一方の韓国も、浦項(ポハン)製鉄所や釜山(プサン)の化学工場などが、巡航ミサイル「Kh101」の攻撃目標として具体的に挙げられています。

また、この機密文書には、ロシア軍が日本と韓国の防空能力をチェックするために、2014年2月に「長距離戦略爆撃機ツポレフ95」2機を使って日本と韓国の領空侵犯を行ない、スクランブルで対応した両国の戦闘機の装備などをチェックして報告していたことも記されています。

7年8カ月続いた第2次安倍政権で、安倍晋三首相はプーチン大統領と27回も首脳会談を重ね、計3,000億円もの上納金をプレゼントし、「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」などと抜かしていましたが、ロシア側は安倍政権下で「日本の攻撃目標」を策定し、軍の将校らにシミュレーションさせていたのです。

安倍首相が仲良くしていたロシアでさえもこのアリサマなのですから、中国や北朝鮮が同じことをしている可能性は、高原の牧場のソフトクリームよりも濃厚でしょう。そして、その攻撃目標の中には、漏れなく日本中に林立する原発が含まれているのです。もしも世界最大の柏崎刈羽原発が他国からの巡航ミサイルの目標にされたら、たとえ核弾頭を搭載していないミサイルであったとしても、その被害の大きさは核攻撃に匹敵します。

こうした現状を踏まえれば、5年間で43兆円も使ってアメリカの売れ残り兵器をアメリカの言い値で買わされるよりも、その予算で全国の原発を廃炉にしたほうが、日本は遥かに安全な国になると思います。だから、あたしは声を大にして言いたい!「脱原発こそが最大の防衛」だと!

(『きっこのメルマガ』2025年1月15日号より一部抜粋・文中敬称略)

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