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なぜ、中国の自動車販売が3000万台を超えても未だに「安売り」を続けているのか?

中国の自動車販売が2年連続で3000万台を超えたと発表されました。しかし、日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』によると「好調とはいえないのでは」とのこと。その理由とは何なのでしょうか?

中国自動車販売がまた3000万台超え! でも乗用車は微妙では?

中国自動車工業協会は2025年1月13日、2024年の中国の年間自動車生産・販売台数がそれぞれ前年比3.7%増の3128.2万台、同4.5%増の3143.6万台になった、と発表した。

2年連続の3000万台超え。

これだけ見るといかにも堅調な成長を遂げた、と見えるが、細かく見ていくと、国内販売はそこまで好調とはいえず、むしろゼロ成長に近い。その国内販売すら、補助金がなかったら厳しかった、と評価できる。

乗用車販売の状況

以上の台数は商用車も含めたもののため、ここからは乗用車だけで見ていく。

それによれば、乗用車の国内販売は同3.1%増の2260.8万台、乗用車輸出は同19.7%増の495.5万台。

明らかに輸出がけん引した結果であり、中国国内販売は強い状態ではないことが分かる。

期待の輸出に陰り

しかもその輸出にしても、2024年12月、前月11月に前年同月比が2%まで落ち込んだのに続き、1%成長にとどまった。

通年で20%近い成長を遂げたのに、足元は弱含み、2024年前半の貯金に助けられた成長だ。

2025年通年、2024年ほどの成長を維持できるかは疑問。

ガソリン車販売は17%減

ガソリン乗用車の販売は同17.4%減の1155.8万台。

この分野に強い、日系を含む外資の厳しさがうかがえる。

しかし、例えばトヨタ自動車は2024年、中国販売は7%減にとどまっているため、この平均を大幅に上回ってはいる。

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中国勢販売は23%増

また、中国勢の乗用車販売は同23.1%増の1797万台となっており、販売シェアは65.2%となった。

つまり中国勢の乗用車の新エネルギー車(NEV)がよく売れていることを如実に示していることにはなる。

補助金対象販売は660万台

別の情報では、2024年、すでに排出基準などを満たしていない旧車を廃車し新車を買い替える補助金適用台数は290万台。

また、あまり条件のない新車買い替え補助金適用台数が370万台に達しており、両者の合計は660万台に達する。

これは中国内乗用車販売の約3割に相当する。

2兆円の財政出動

それぞれガソリン車に買い替えるか、NEVに買い替えるかで補助金額は異なってくるが、1.3~2万元(約26~40万円)が補助金として戻ってくる。

仮にそれぞれの補助金制度において、ガソリン車半分、NEV半分だった場合、中国政府の財政出動は1000億元程度(約2兆円)。

別に中国政府はこれも含めて、消費刺激策の買い替え奨励策で2024年、3000億元を拠出した、と発表しているから、全体の3分の1が自動車分野に相当することになり、中国消費構造から考えても妥当な推論と言えそうだ。

3割が補助金の恩恵

660万台のうち、この制度があるから新車購入した、と言う人、たまたま新車購入したらこの制度があった、という人、それぞれどれぐらいの比率かは不明。

ただし、2024年の中国新車購入における最大3割はこの制度の恩恵を受けており、小さくないモチベーションになったことは間違いない。

仮にこれがもし無かったら、中国の乗用車販売台数は現在示された成長率3%程度から相当に落ち込み、ゼロ成長前後だった可能性もある。

当初は2024年限定だったこの補助金制度、2025年も継続して行っていくことになった。

結局は価格戦の激化

しかし、輸出の急成長が終焉する可能性が高い中、中国国内販売はより厳しい競争となっていくことは間違いない。

それはつまり、相いも変わらず価格戦が続いていくことを意味しそうだ。

出典: https://mp.weixin.qq.com/s/1mpxGuOOSo_2bd_kk06LIA

※CHINA CASE(https://www.chinacase.xyz/)は株式会社NMSの商標です。

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image by: Tada Images / Shutterstock.com

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