アメリカ以外との関係性強化が急務
したがって、日本が紛争に巻き込まれ、戦争状態になった場合、米軍ではなく、日本が自ら自衛隊などによって防衛する必要があります。その際、共闘してくれるアジア諸国との連携強化が必要で、石破総理の「アジア版NATO」構想は的を得ています。
しかし、加盟国が攻撃にあった場合に日本も参戦することになり、そのためには現行の憲法を改正して集団的自衛権の行使ができるようにしなければなりません。また米国がこれを簡単に許すとは思えず、簡単には進みません。米国も巻き込む必要があります。
尖閣諸島や北方領土から中国やロシアが力ずくで日本領土を侵略してきた場合に、「戦えない日本」を露呈するわけにいかず、米国も自ら闘わないとすれば、日本と共闘して戦う可能性のある国との共闘が必要で、いま進めているASEAN諸国との連携や、インド太平洋防衛に関心の強い英国、フランスとの軍事協力も「抑止力」になります。過度な米国依存はリスクが大きすぎます。
日本は核武装ではなく「世界中の核を無効化する」新兵器を開発せよ
昨年、日本被団協がノーベル平和賞を授与されました。これは裏を返すと、世界のどこかで核が使われる脅威が高まっていることの表れとも考えられます。もしロシアや北朝鮮が日本に対して核兵器を使ってきた場合に、米国が報復で核攻撃に出ても、日本は取り返しのつかない被害を受けます。今や核兵器は「使わないための兵器」から「使える兵器」に変節しようとしています。
核の持ち合いが抑止力にならないとすれば、次の段階の防衛体制を考えざるを得ません。日本は敵基地攻撃能力を持つ前提で、トマホークなどの長距離ミサイルによる防衛体制を進めていますが、これも1000キロの射程では朝鮮半島くらいしかカバーできず、中国やロシアの奥地からの攻撃に対して無力です。
日本が原発施設を維持している隠れた狙いは、いずれ核兵器を保有すべきときに備えて、核の技術力、核を保持しておくためとの見方があります。しかし世界で唯一の被爆国である日本が自ら核武装するには、国民の反発が予想されます。
むしろ日本が進むべき道は、世界から核を廃絶することであり、そのためには核兵器を保有していること自体が大きなリスクとなる事態を作り出す必要があります。