先週、受験シーズンの真っ只中に大寒波が日本列島を直撃しました。大雪が続いた地域では交通の乱れや停電などが発生、自然災害が与える影響は大きく「人間の無力さ」を思い知らされます。そんな、自然災害におけるインフラ対策の一つとして考えたいのが「ネット環境の確保」です。メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』にて、著者である吉田正幸さんは、イーロン・マスク氏率いる衛星インターネットサービス「スターリンク」について、災害対策といった重要な役割を果たす点に注目。また、そのデメリットについても考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:災害時のネット通信保険としてのスターリンク
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災害時のネット通信保険としてのスターリンク
一年ほど前から、「スターリンク」に興味があった。
新し物好きの自分にとってはスグにでも設置して楽しみたいのだが、移動がほぼなく、しかも室内での仕事上、必要が全くないのでスルーしていたが、最近になってまた気になり始めた。
それは、ある日のX上のポストで、「スターリンクは快適でおススメ」というような投稿を見かけるようになったことと、災害時にもスターリンクは強いのだろうな、という二点。しかし、現在はどう考えても全く必要がないのだから仕方ない。
それにしても気になるのでYouTubeでいろいろ調べてみた。とにかく災害に強いということと、辺鄙な場所でもネット通信が可能になるのはかなり魅力的だ。旅行に行っても屋外で快適なネット通信ができるというのだから心強い。
このスターリンク、あなたはどう思う?スターリンクはこの先、どれだけ普及するのだろうか?ご存じない方もいると思うので、スターリンクをまずは知ってもらいたいと思う。
「スターリンク(Starlink)」は、スペースX(SpaceX)によって開発された衛星インターネットサービスだ。数千機の低軌道衛星を用いて地球上のどこでも高速なインターネット接続を提供することを目指しているというのだからまさに宇宙的。
地球規模の衛星を用いたところなんてワクワクする。これまでインターネット接続が困難だった地域でも、スターリンクの衛星が空を覆うことで、安定した通信環境を実現するというのだから。
現状の普及は一体、どのような感じなのだろう?
スターリンクは2022年10月に日本でもサービスを開始した。この時点では全く知らなかった。現在では全世界で約100万人のユーザーを抱えるまでに成長しているというから驚きだ。
特に山間部や離島、災害時における通信手段として注目されていて、日本国内でも、KDDIがスターリンクの通信を活用した基地局の設置を進めており、2025年春にはauのスマートフォンとスターリンクの直接通信が可能になる予定。
いいな…au。そして、SMSだけでなく、将来的には音声通話やデータ通信も可能になる見込みらしい。
アジア地域では、日本を皮切りにフィリピン、韓国、ラオス、カンボジア、マレーシアなどでの利用が計画されている。この地域ではインターネットインフラの整備が遅れているエリアが多く、スターリンクが新たな通信手段として期待されているという。
普及するのかどうかの要素。4選!!
1. 技術的進歩と利便性
スターリンクは、従来の衛星通信に比べて通信速度が高速で、遅延も少ないのが特徴。コレは魅力的だよ。会社のマンションは最近、特にネット通信が遅いので困っている。ビデオ会議やオンラインゲームといったリアルタイム性が求められる用途でもスターリンクの利用価値が高まると感じる。
また、地上のインフラが不要なため、設置が容易で、初期費用も比較的低く抑えられる点が良い。YouTubeでも「たったこれだけ!?」というほど梱包の中身が少ない。
2. 災害時の通信手段
自分はココが一番魅力的。2025年に入った今、今年から何があってもおかしくないような捨て身の感覚になっている。自然災害が頻発する地域では、通常の通信インフラでは壊滅的なダメージを受けるだろう。
スターリンクはそうした状況下でも通信を確保できる唯一の手段だ。心強い。実際、2024年の能登半島地震では、スターリンクが通信確保に貢献したというのだから。
3. 価格競争力
スターリンクの月額料金や初期費用は、特に先進国では競争力があるわけではない。インフラ整備が進んでいない地域や、遠隔地では他のインターネットサービスに比べて安価になることもあるらしい。やはりコスパが良ければ、普及の可能性が広がるだろうな。
4. 企業や政府の支援
スターリンクはKDDIや他キャリアとの提携を通じて普及を推進していると書いたが、政府や地方自治体によるバックアップも期待されているというのだ。何かすでに国は情報を掴み、災害に備え始めているのかもしれない、というよりやっていて当然だと思いたい。
例えば、通信インフラの整備が困難な地域でスターリンクを活用することで、デジタルデバイドを解消する取り組みが進む可能性もあるだろう。
普及するのかどうかの障壁として考えられること。3選!?
1. 環境問題と天体観測への影響はどうなのだろう?
スターリンクの衛星は夜空に明るい軌跡を描くため、天体観測に影響を与える可能性があると言われている。また、衛星が増えることで宇宙ゴミの問題や、衛星の反射光が環境に与える影響も懸念されているらしい。
スペースXはこれらの問題に対処するための対策を講じているとのことだが、完全に解決するかどうかは不透明だという話。
2. コスト
ココ大事。スターリンクのサービスの初期費用や月額利用料は、都市部やインターネットインフラが整っている地域では少し割高に感じられた。
特に、一般的な家庭用インターネットサービスとの価格比較で見劣りする部分はある。ただこの先普及すればグッと下がるだろう。現在、プランにもよるが、auのホームページを見ると月額9.800円~39.800円と高い。
3. 法律や規制
各国ごとの法律や規制も普及を阻む要因となり得る。詳しいことは分からないが、特に電波の使用や衛星の打ち上げに関する規制が厳しい国では、サービス提供に時間がかかるのだろう。データプライバシーやセキュリティに関する懸念も当然ある。
スターリンクの描く未来とは!?
2025年以降の展開としては、まず間違いなく、スターリンクのユーザー数は今後も増加し、特にアフリカや南アメリカなどの通信インフラが未発達な地域での普及が見込まれるのは必須。2025年までに数百万規模のユーザー獲得を見込んでいるらしい。これは達成するだろうと思う。
衛星の数が増えることで通信速度や安定性がさらに向上し、新たなサービスやアプリケーションの開発も期待されているスターリンクだが、IoTデバイスとの連携や自動運転車の通信などを考えるとガラッと世界が変わるのだろうな。
競合他社の動きが気になるところだが、低軌道衛星を用いたインターネットサービスに参入してきている。競争が激化することで価格が下がり、サービス品質が向上する可能性は大だ。というよりその頃が登録時かな、と思う。
スターリンクは災害対策や教育、医療などの分野で重要な役割を果たすようになり、社会インフラの一部として認識されるだろう。
スターリンクは、10年、20年という長期的な視点で見ると、地球上全域をカバーする唯一のインターネットサービスとなる可能性がある。
将来的には、気候変動や災害対策、教育格差の解消、リモートワークの普及など、社会問題の解決に大きく寄与するのだろう。しかし、その一方で、環境への影響や天体観測の妨げといった課題も解消していくことがイーロンマスクの率いるテスラ社においての使命なんだろう。すごいね。
ところでシンプルな話、現在の光回線をしのぐメリットがスターリンクにはあるのだろうか?
スターリンクの最大のメリットは、ーーー。(『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』2025年2月8日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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