あなたの家族や友人が「一攫千金」を言い始めたら、それは十中八九、経済的破滅の前兆だ。ギャンブルにせよ投資話にせよ、世の中そうそうウマい話は転がっていない。それでも、「貯金100万円くらいの人」が現代資本主義社会でハッピーになるには、何らかの方法で「一攫千金」を実現する必要はある。これに関して、「安易に一攫千金を狙う」のではなく「結果的に一攫千金になるやり方を学ぶ」ことの重要性を指摘するのは、米国株をはじめ投資全般に精通し、自身も大きな資産を築き上げることに成功した作家の鈴木傾城氏だ。(メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
「間違った」一攫千金狙いはあなたを不幸にする
貯金100万円くらいの人が何かに投資したらいきなり成功して、1億円が手元に転がり込んでくるような状況を想像してみてほしい。これは典型的な一攫千金の状況だ。こういうのを妄想する人は多い。
そして、一部の人はそれを実現しようとして、FX(為替証拠金取引)や、ミームコインや、レバレッジをかけた株式取引などでギャンブルさながらの取引をする。あるいは、競馬や競輪やパチンコなどの事実上のギャンブルに向かう人もいる。
だが、一攫千金の幻想に取り憑かれた人が破滅した実例は多い。
無謀な賭けをして短期間で巨額の利益を追い求める行為は、計画性や合理性を欠く。日本国内においても、一攫千金を狙い、高騰相場で無計画な投資に走った個人投資家の破滅はいつでも起きている。
1980年代後半のバブルでも、1990年代後半のITバブルでも、2000年初頭のFXブームでも、2005年から2006年のライブドアをはじめとした新興企業ブームでも、2010年代後半のビットコインブームでも、踊り狂って消えていった人はいくらでも思い出せる。
メディアやインフルエンサーがブームをセンセーショナルに取り上げ、成功事例を拡散することで、若年層や投資初心者に「自分も成功できるかも」という射幸心を極限まであおり立てる。
そして、多くの人がそれに釣られて短絡的な利益に目がくらみ、リスク管理や市場分析を行わずにフルインベストする。そして、マーケットの急変や思惑違いにより一瞬にして資産を失う事態となる。
本来であれば、思惑が外れたとしても生き残れるようにしておくのが正常な投資だが、一攫千金の妄想に取り憑かれていると、そんな合理的判断や防衛的判断は働かない。アドレナリン全開の中で、対象に全財産を賭けて、足りなければ借金をして、レバレッジを賭け、自分の手元に大金が転がり込むことだけを考える。
一攫千金に取り憑かれるのは、かくも危険なことである。しかし……
世の中には「結果的に一攫千金になるやり方」もある
一攫千金の妄想に取り憑かれるのは破滅しかねないほどのリスクがあるのだが、世の中には「結果的に一攫千金になるやり方」もある。
フルインベストするとしても、単に煽られて金持ちになる妄想でフルインベストするのではなく、合理的な判断に基づき、防衛的判断も計算した上で大きく賭けると、それが成功すると結果的に一攫千金になることもある。
そういうのは「正しい一攫千金」と言えるかもしれない。
正しい一攫千金とは、偶然や幸運に頼るのではなく、合理的判断と綿密な分析に基づいた投資行動を指す。
誰も気がついていない超優良企業を見つけたとか、大暴落がやってきて優良企業が安く買えるチャンスが手に入ったときにフルインベストするのは、単なるギャンブルではなく、戦略的な資産運用である。
2008年のリーマンショックのとき、相場はほぼ半分にまで大暴落してしまったが、私はその中でコカコーラやペプシを買って、それを今でも売らずに保有し続けて、値上がり益と配当の両方を享受している。
私自身は2008年にフルインベストしたわけではなかったのだが、このリーマンショックの大暴落のときにフルインベストした人は、その後の回復で「結果的に一攫千金」になったはずだ。
あのときは「資本主義が崩壊する」とも言われていたが、世の中を見ていると、みんな相変わらずスターバックスでコーヒーを飲み、マクドナルドで食事をし、ウォルマートで買い物をし、マイクロソフトのOSやオフィス製品で仕事をして、資本主義的生活を継続していた。
そのため、いずれ立ち直る方向に賭けたほうが合理的だったのだ。こうしたときに大きく賭けられた人が「正しい一攫千金」を手に入れている。世の中には「結果的に一攫千金になるやり方」もあるので、どうせ一攫千金を狙うなら合理的に狙いたい。
優良企業を選べるかどうかが人生の分かれ目
いつ、市場の大暴落がくるのか、そんなことは誰もわからない。たとえば、2008年のリーマンショックだが、サブプライムローンがクズの債券の集まりだと気づいて空売りを仕掛けていたグループもいる。
2015年の映画『マネー・ショート』では、そうしたグループの裏事情が描かれているのだが、彼らがサブプライムローンのリスクと壮大な格付け不正に気づいたのは2006年頃だった。その時点から、彼らは市場が暴落すると気づいて空売りを仕掛けた。
ところが、2006年が過ぎ、2007年になっても、市場は上がっていき、彼らは窮地に落ちていった。市場最悪の暴落がくる可能性がわかっていても、「いつ」暴落がくるのかわからず、2年も待たされて、もがき苦しむことになったのだ。
それくらい、相場の動きはわからない。
そのため、空売りでリターンを取るよりも、実際に大暴落がきてから優良企業の株式やS&P500連動ETFなどを「爆買い」するほうがいい。いつ相場が回復するのかわからなくても、暴落したところをフルインベストしているのだから、あとはのんびり待っていればそのうちに「一攫千金」となる。
そう考えると、大暴落のチャンス時に優良企業の株式やS&P500連動ETFを大量に買えるかどうかが人生の分かれ目になっていくということでもある。
暴落局面では、業績の良好な企業も一時的なパニックにより株価が大幅に下落する。このような局面において、財務体質が堅固で持続的成長が見込まれる企業を選定し、資金を一気に投入する行為は、極めて合理的な投資戦略である。
もちろん、S&P500連動ETFである【VTI】【VOO】【SPY】などを大量買いするのも防衛的判断として優れている。
ただし、暴落時に大量買いするというのは、口で言うのは簡単なのだが、実際にできる人はほとんどいない。なぜなら、企業自身も、マスコミも、個人投資家も、ヘッジファンドも、まわりの人たちも、ほぼ全員が「総悲観」なのだ。
企業も当面の見通しは暗いことを報告し、エコノミストもほぼ全員が多くの企業にダウングレードの評価を出す。そんなときに、ひとりで買い向かうのは、相当な勇気が必要である。
10年~15年に1回くらいは千載一遇のチャンスがくる
市場は周期的な変動を繰り返す。そのサイクルの中で、大暴落という稀有なチャンスが10年から15年に一度くらいは訪れる。それは――(続きはメルマガでご覧ください。初月無料です)
「千載一遇の大暴落」を捉える覚悟はあるか?
この続きは、有料メルマガ購読者さま限定記事です。初月無料のお試し登録ですぐに全文をご覧いただけます。著者の鈴木傾城氏は、米国株式を軸に据えた資産運用術を長年メルマガで解説し、読者から絶大な支持を得てきました。
鈴木氏が提唱する投資方法は、短期的なマーケットの上げ下げに惑わされることなく、着実に不労所得を構築していくためのもの。たとえば突然、NYダウ指数やNASDAQ指数が-80%の大暴落に見舞われたとしても自分の老後は安泰。そんな、巷の「株バブル」とは一線を引いた資産運用の普及・啓蒙につとめています。
毎週のメルマガでは、投資哲学、マクロ経済分析、株式市場全般の動向、個別銘柄の動き、新たに組成された株式ETFの評価、相場急変時の解説などさまざまな情報を配信中。1日で大金を稼ぐような内容では決してありませんが、不労所得の実現にむけて株式投資に取り組む際のよきペースメーカー、よきパートナーとなってくれることでしょう。
「10年~15年に1回の大暴落」がいつ起こるかは誰にもわかりません。それでも日米株式市場の長期上昇相場はすでに10数年以上にわたって継続しています。これは歴史上、極めて稀なこと。その日に備えて、あなたも今日からはじめてみませんか?
(本記事は、メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』2025年2月16日号を一部抜粋、再構成したものです。続きはご購読ください)
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