日米の株式市場が「トランプ2.0」の気まぐれに翻弄されて乱高下している。巷では「NISA損切り」という不穏なキーワードまで飛び交い始めた。煽りやジョークも混じっていそうだが、NISA年初一括組が正念場を迎えているのは事実だ。これに関連して、「ほとんどの日本人には、爆益だとか一攫千金だとかよりも、安定した固定収入のほうが合っている」と指摘するのは、米国株をはじめ投資全般に精通し自身も大きな資産を築き上げることに成功した作家の鈴木傾城氏。今回は「安心感」を重視した投資術を解説する。(メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
やっぱり定収入が好き。日本人向きの投資スタイルとは?
日本人のほとんどは「月給」が普通なので、「毎月、決まった額が振り込まれる」というスタイルに心が落ち着く人が多い。
多少の増減はあったとしても、誤差として見過ごせるくらいの増減で、定期的に「だいたい、これくらい」という予測できる額がきちんと入ってきて、それが延々と続く。そこに安心感を覚える。
投資では値上がり益が得られるとしても、株価の上がり下がりはランダムで、変動は非常に激しい。今月は月給分くらい儲かったとしても、来月はボーナス分くらい損することも日常的にある。
そうすると、収入(収益)が不安定で、最終的に得するのか損するのか、今ある所持金は使っていいのか使わないほうがいいのか、日々の予定が立てられなくなる。もし来月、1円も入らないどころかマイナスだったりすると、今日はおちおち買い物すらできないかもしれない。
個人事業主やフリーランサーは、だいたいそういう不確実・不安定・不透明な世界で暮らしている。来月どころか、明日さえ、どうなるのか不明だ。
だが、ほとんどの日本人は、そんな生活をしたくないはずだ。やはり「毎月、決まった額が振り込まれる」のを求めてしまう。
かなりの資産(ストック)があったら、そこから取り崩せばいいので、そういう月給的な感覚は消えていく。そうでなければ「毎月、決まった額が振り込まれる」という安心感は捨てることができないはずだ。
私自身も野良犬みたいな生きかたをしているので、「生活の安定」なんか求めたことは一度もない。ところが、である。長期投資している銘柄から定期的に配当を受け取っていると、期せずして「安定した固定収入」がたしかに得られているのだ。しかも、不労所得で。
それを考えると、爆益だとか、一攫千金とか、濡れ手に粟とか、そういうのを目指すよりも、高配当株・高配当ETFで配当による「安定した固定収入」を目指したほうが、ほとんどの日本人には合うのかもしれない。
つまり大半の日本人は、株価の上昇で儲けるのではなく、むしろ安定した固定収入が得られるほうを目指したほうがいいのではないか……。
高い配当利回りが「定期的」に入る
最近、ごく普通の人たちと投資の話をすることも増えてきたのだが、彼らの話を深く聞くと、だんだんそういう確信が強まってきた。どう考えても高配当株・高配当ETFのほうが合っているのだ。
高配当株とは、企業が株主に支払う配当金の割合が高い株のことを指す。たとえば、年間100円の配当金がある株を2,000円で購入した場合、配当利回りは5%となる。これは普通預金の金利と比べると、かなり魅力的な数字である。
配当利回り5%なら、株式市場ではいくらでも見つかる。私が関心を持って見つめている●●関連企業の●●●●だと、今の配当率は、なんと7%(!)もあったりする。
(編註:「●」の伏せ字箇所はメルマガ内で限定公開しています。以下同じ)
安値で放置されて株価のバリュエーション(評価額)が異様に低いので、7%配当みたいなことになっている。その高い配当利回りが「定期的」に入る。
べつに●●●●という企業を勧めているわけではないが、同社は長年にわたり一貫して配当を支払い続けており、配当を完全に落としたことはない。落とすどころか、過去10年間で年平均約7.4%の増配をもおこなってきている。
増配するというのは、要するに毎年のように給料が少しずつ少しずつ増えているようなものであり、これも日本人好みかもしれない。
私がリーマンショックのときに買ったコカコーラ【KO】やペプシ【PEP】も、じつはそんな配当銘柄として区分されており、買った当時は3%超えくらいだった配当率は、いまやどちらも8%超えの配当率となっている。それだけ増配が続いたのだ。
私はサラリーマンではないので月給はもらえないのだが、コカコーラ【KO】やペプシ【PEP】からは未来永劫にわたって配当がもらえる。
サラリーマンは定年があったりするが、株は保有している限りもらえるので定年はないにも等しい。それを考えると、私は知らないうちにサラリーマンよりも安定した収益環境になっているのかもしれない。
もう株価なんか見る必要もない状況になる
日本の銘柄の場合は年2回なので「月給」的な感覚は得られない。どちらかと言えば、ボーナスをもらう感覚だろう。アメリカの場合は、3か月ごとに配当が入るので、ボーナスと月給の中間の感覚だろうか。
もし「いや、絶対に毎月欲しい」というのであれば、ETF【PFF】(優先インカム証券ETF)というのもある。これだと、何と毎月ごとに配当が入ってくる。完全に月給そのものだ。現在の配当率を確認してみると、6.28%だった。
高配当株・高配当ETFで「安定した固定収入が得られる」のを目指すのであれば、もう株価なんか見る必要もないわけで、それこそ株式市場が荒れようが、リーマンショック級の金融ショックがやってこようが、もう完全に無関係である。
ただし、高配当株だからといって、投資リスクがないわけではない。たとえば、表面的な配当利回りの高さに目を奪われると、思わぬ落とし穴にはまる可能性がある。中には、企業が無理をして配当を維持しているケースもあるのだ。
その企業が将来への設備投資を怠って目先の配当を優先している場合、遅かれ早かれ、その成長力は徐々に失われていくだろう。
高配当株は配当を継続して出し続けることができるかどうかは「配当性向(Payout Ratio)」を見る。
ちなみに、先ほど例に挙げた●●関連企業の●●●●だが、現在の配当性向は61.16%である。これは非常に適正な水準で何の問題もない。一般的な話をすると、配当性向が80~100%は高すぎる水準で、事業投資の余力が少なく、減配リスクが高いと考えられている。
中には配当性向100%以上の会社もあったりするが、こういう会社は利益を超えて配当を支払っているので、減配または無配に転落するリスクが極めて高い。そういうのもあるので、高配当株に投資するのであれば、配当利回りだけでなく、配当性向も一緒に見ておく必要がある。そうした財務的な分析が苦手ならば、高配当ETFを持っておくと、それはそれで報われる。
「安定した固定収入」をもらっている実感
高配当株の投資は「出口(売り)」を考えない投資だ。高配当株を集めた高配当ETFであれば、もう毎年配当利回りをチェックすることさえしなくてもいい。売らないのだから、株価を確認する必要すらもない。
高配当ETFでも、景気が悪化したら配当率が減るようなこともあるが、それは世の中全体が味わっている痛みであり、世の中がふたたび成長し、好景気を取り戻すと、自分が何もしなくても戻るものだ。
つまり、市場が大暴落しようが何だろうが、株価さえも見ることがなく、ただ延々と配当をもらい続ければいい。
私自身は――(この続きはメルマガバックナンバー2025年2月分でご覧ください。鈴木傾城氏が注目する企業・ETFの具体名や、「投資方針に関して考え直したこと」など、本文中の伏せ字箇所を含む全文がすぐに届きます)
米国株式投資の新たなバイブル
この続きは、有料メルマガ購読者さま限定記事です。初月無料のお試し登録ですぐに全文をご覧いただけます。著者の鈴木傾城氏は、米国株式を軸に据えた資産運用術を長年メルマガで解説し、読者から絶大な支持を得てきました。
鈴木氏が提唱する投資方法は、短期的なマーケットの上げ下げに惑わされることなく、着実に不労所得を構築していくためのもの。たとえば突然、NYダウ指数やNASDAQ指数が-80%の大暴落に見舞われたとしても自分の老後は安泰。そんな、巷の「株バブル」とは一線を引いた資産運用の普及・啓蒙につとめています。
毎週のメルマガでは、投資哲学、マクロ経済分析、株式市場全般の動向、個別銘柄の動き、新たに組成された株式ETFの評価、相場急変時の解説などさまざまな情報を配信中。1日で大金を稼ぐような内容では決してありませんが、不労所得の実現にむけて株式投資に取り組む際のよきペースメーカー、よきパートナーとなってくれることでしょう。
「10年~15年に1回の大暴落」がいつ起こるかは誰にもわかりません。それでも日米株式市場の長期上昇相場はすでに10数年以上にわたって継続しています。これは歴史上、極めて稀なこと。その日に備えて、あなたも今日からはじめてみませんか?
(本記事は、メルマガ『鈴木傾城の「フルインベスト」メルマガ編』2025年2月23日号を一部抜粋、再構成したものです。続きはご購読ください)
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